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俺の癒される時間は、決まってカメラのデータを眺めるときだ
現像させた写真とカメラのデータと照らし合わせながら確認する。
「……過保護な保護者みたいだな」
ぽつりと出た言葉、でも嫌いじゃない
光るような金髪を持って生まれたこの兄妹は、気がついたら俺の身長に近づいていた。
元より俺は背が高い方ではあるが、それでもジーンは俺との身長差を縮めてきた。
その成長ぶりに俺は嬉しくなる。任務とかそういったものではなく、純粋に
でもカメラをいざ構えると、それは昔からしてきたことの繰り返しで
カメラを構えることに疑問は抱いたことはない、のだけれど
そう、生き甲斐というべきか
彼らの成長は俺の喜びになる
手を伸ばし、チョコレートを口に放り込んだ。
甘く舌の上でとろけるそれは昔から好きだ
それを味わいつつ見る彼らの写真
ジーンは立派に育ってるよ
背も伸びたし、手も大きくなった。まだ俺の方が少し手は大きいけど。なんでって、合わせて比べたからだよ
それからこの間は靴がキツくなったとボヤいてたね、仕事用の靴ばかりで久々に履く私靴だったもんな
そうだな、ロッタも大きくなったよ
髪の毛も女の子らしく伸びて、風に吹かれる度に光って見えたよ。ジーンには出来ないよな
ああ、でも。ジーンも髪は長くないけど綺麗な金髪だ。まったく2人共、ズルいよ
任務じゃ、なくなってるか
ココアをいれて休憩しよう
「ニーノ」
う…。小さく唸ってまぶたを開く、ちゅんちゅんと鳥のさえずりが朝の定番を知らせた。
「……あ、れ?」
目の前にはなぜかジーンが居る。あれ、おかしいな。部屋は俺の部屋じゃないみたいだし
状況を把握出来ていない俺にジーンは見兼ねたらしく、少し苦笑していた。
「お前、何喋ってるか分からないまま寝落ちしたんだぞ」
「悪い…全然記憶が無い」
一体どこからどこまでが夢で夢じゃないのか。区別もつかないほどだったとしたら恐ろしい
「一旦、家帰ろうかな…?」
「お前……本当に寝ボケてる?」
「俺…また変なこと言った?」
自宅でココアを飲もうとしていたところが覚えている限り、最後の記憶だ。
酒でも飲んで乗り込んでしまったのなら記憶が無いのも頷けるのだが
俺は酒を調整して飲むようにして気をつけている、やはり何も思い出せない
「悩む前にさ、退いてもらっていい?寝るなら俺のベッド使っていいから」
「うーん……」
起き上がり、普段ジーンが座っているであろうイスへと座った。
ジーンは俺が寝ていたソファーに座ってテレビを見始めた。
しばらく無言で覚えている限りの記憶を掘り起こしたが、やはり自宅で終わっている。
「…ニーノ、何か飲む?」
「あー……」
「ココアにするよ」
頭が働いてない俺にジーンは再び苦笑した。
テレビの声と、スプーンとカップが当たる高い音楽が聞こえた。
ふわっとココアの、温かく甘い匂いが広がった。すん、いい匂い
ぽん、と。頭に手を置かれた。
少しはにかんだジーンの顔、それはずっと見てきた顔
眠そうな顔、悲しそうな顔、笑った顔、困った顔、喜んだ顔、辛そうな顔、苦しそうな顔...
「ニーノ……お疲れ様」
「…え?」
ジーンにそんな言葉を掛けられるなんて思ってなかった。
また少し、笑む彼の表情は……俺を、見透かしているみたいで
「ちょっと休めよ、お前、1人で生きてるわけじゃないんだから」
ずっと、見守ってきていたジーンは立派だった。
そして俺もまた、ジーンに見守られていたのだと
「……夢か?」
「夢じゃないよ、まだ寝ボケてるのか?」
「寝ボケ…たくないな」
ぐーっと伸びをした。
「スパに行きたくなるな」
テレビがそう宣伝していた。スパリゾート特集をしていて、多くの人で賑わっている様子が映っていた。
「予定、入れてもいいけど?」
雑誌をヒラヒラと揺らすジーン、良さそうだなと感想を返した。
「ただし、“リゾート”…は無しで」
「何でだよ?その方がロッタも喜ぶだろ」
ふう、と軽く溜息をつかれた。尚更その様子に疑問を抱いた。
「分からないか?お前と2人きりで行くんだよ」
「…は……?」
人差し指で軽く頭を押された。う、と唸る。
「休み、休暇だよ。どうせ暇だろ?」
にや、と含み笑い
「どうせって……」
敵わないなあ、やはり色々と見透かされているみたいだ
くしゃりと、自らの髪を軽く指に絡めた。
そうして彼を見ないようにして、これは照れ隠しだろうか。自分でも分からないけれど
その強引さに少し惹かれるところもあって。俺が気付いていなかったこの疲れに彼は気付いていて
「俺、やっぱり疲れてるみたいだから、2人で行こうかな」
「当たり前だろ、しっかり休んでもらうから覚悟しろよ」
頼もしくて、嬉しくて、楽しんでしまうのだ
彼は俺の、どこまでを見透かしていたのだろう
知らなかったことは事実だとは思うけれど
(夢みたいだ)
でも、これは事実
だってほら、ココアが飲める。
ジーンのいれた、おいしいココアが
「夢かな?」
「夢じゃないよ、ニーノ」
現像させた写真とカメラのデータと照らし合わせながら確認する。
「……過保護な保護者みたいだな」
ぽつりと出た言葉、でも嫌いじゃない
光るような金髪を持って生まれたこの兄妹は、気がついたら俺の身長に近づいていた。
元より俺は背が高い方ではあるが、それでもジーンは俺との身長差を縮めてきた。
その成長ぶりに俺は嬉しくなる。任務とかそういったものではなく、純粋に
でもカメラをいざ構えると、それは昔からしてきたことの繰り返しで
カメラを構えることに疑問は抱いたことはない、のだけれど
そう、生き甲斐というべきか
彼らの成長は俺の喜びになる
手を伸ばし、チョコレートを口に放り込んだ。
甘く舌の上でとろけるそれは昔から好きだ
それを味わいつつ見る彼らの写真
ジーンは立派に育ってるよ
背も伸びたし、手も大きくなった。まだ俺の方が少し手は大きいけど。なんでって、合わせて比べたからだよ
それからこの間は靴がキツくなったとボヤいてたね、仕事用の靴ばかりで久々に履く私靴だったもんな
そうだな、ロッタも大きくなったよ
髪の毛も女の子らしく伸びて、風に吹かれる度に光って見えたよ。ジーンには出来ないよな
ああ、でも。ジーンも髪は長くないけど綺麗な金髪だ。まったく2人共、ズルいよ
任務じゃ、なくなってるか
ココアをいれて休憩しよう
「ニーノ」
う…。小さく唸ってまぶたを開く、ちゅんちゅんと鳥のさえずりが朝の定番を知らせた。
「……あ、れ?」
目の前にはなぜかジーンが居る。あれ、おかしいな。部屋は俺の部屋じゃないみたいだし
状況を把握出来ていない俺にジーンは見兼ねたらしく、少し苦笑していた。
「お前、何喋ってるか分からないまま寝落ちしたんだぞ」
「悪い…全然記憶が無い」
一体どこからどこまでが夢で夢じゃないのか。区別もつかないほどだったとしたら恐ろしい
「一旦、家帰ろうかな…?」
「お前……本当に寝ボケてる?」
「俺…また変なこと言った?」
自宅でココアを飲もうとしていたところが覚えている限り、最後の記憶だ。
酒でも飲んで乗り込んでしまったのなら記憶が無いのも頷けるのだが
俺は酒を調整して飲むようにして気をつけている、やはり何も思い出せない
「悩む前にさ、退いてもらっていい?寝るなら俺のベッド使っていいから」
「うーん……」
起き上がり、普段ジーンが座っているであろうイスへと座った。
ジーンは俺が寝ていたソファーに座ってテレビを見始めた。
しばらく無言で覚えている限りの記憶を掘り起こしたが、やはり自宅で終わっている。
「…ニーノ、何か飲む?」
「あー……」
「ココアにするよ」
頭が働いてない俺にジーンは再び苦笑した。
テレビの声と、スプーンとカップが当たる高い音楽が聞こえた。
ふわっとココアの、温かく甘い匂いが広がった。すん、いい匂い
ぽん、と。頭に手を置かれた。
少しはにかんだジーンの顔、それはずっと見てきた顔
眠そうな顔、悲しそうな顔、笑った顔、困った顔、喜んだ顔、辛そうな顔、苦しそうな顔...
「ニーノ……お疲れ様」
「…え?」
ジーンにそんな言葉を掛けられるなんて思ってなかった。
また少し、笑む彼の表情は……俺を、見透かしているみたいで
「ちょっと休めよ、お前、1人で生きてるわけじゃないんだから」
ずっと、見守ってきていたジーンは立派だった。
そして俺もまた、ジーンに見守られていたのだと
「……夢か?」
「夢じゃないよ、まだ寝ボケてるのか?」
「寝ボケ…たくないな」
ぐーっと伸びをした。
「スパに行きたくなるな」
テレビがそう宣伝していた。スパリゾート特集をしていて、多くの人で賑わっている様子が映っていた。
「予定、入れてもいいけど?」
雑誌をヒラヒラと揺らすジーン、良さそうだなと感想を返した。
「ただし、“リゾート”…は無しで」
「何でだよ?その方がロッタも喜ぶだろ」
ふう、と軽く溜息をつかれた。尚更その様子に疑問を抱いた。
「分からないか?お前と2人きりで行くんだよ」
「…は……?」
人差し指で軽く頭を押された。う、と唸る。
「休み、休暇だよ。どうせ暇だろ?」
にや、と含み笑い
「どうせって……」
敵わないなあ、やはり色々と見透かされているみたいだ
くしゃりと、自らの髪を軽く指に絡めた。
そうして彼を見ないようにして、これは照れ隠しだろうか。自分でも分からないけれど
その強引さに少し惹かれるところもあって。俺が気付いていなかったこの疲れに彼は気付いていて
「俺、やっぱり疲れてるみたいだから、2人で行こうかな」
「当たり前だろ、しっかり休んでもらうから覚悟しろよ」
頼もしくて、嬉しくて、楽しんでしまうのだ
彼は俺の、どこまでを見透かしていたのだろう
知らなかったことは事実だとは思うけれど
(夢みたいだ)
でも、これは事実
だってほら、ココアが飲める。
ジーンのいれた、おいしいココアが
「夢かな?」
「夢じゃないよ、ニーノ」
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「バ……バレンタインデー?」
素っ頓狂な俺の声に、ロッタはにこにこしながら振り返った。
「そうそう、今や男の子同士でも普通にあげるくらいのイベントになってるんだよ」
「……そう、なの?」
頭をがしがしと掻く、くそ…昨日の酒のせいかまだ頭が上手く回らない
「日頃の感謝っていうか、昔とは意味合いが少し変わってきちゃってるのかもしれないけど」
だよな、と素直に答えた。
捉え方に間違いがなければ、女の子が好きな男の子に対してチョコレートを送るってのが俺の時代では普通だった。
「今は友チョコっていうのよ」
友チョコ、ねえ
どうやらロッタはニーノにあげろと言いたいのだろう
確かにあげるべき相手だとは思うが
「学校では友チョコ、やってるの?」
「男の子同士は……あんまり見ないかな?」
なぜそれを俺にすすめたんだろう
苦笑する俺にロッタはそのままにっこり
俺、笑ったわけじゃないぞ……
そもそも、昨日の酒はニーノがまたどんどんと注ぐからだ
絶対余計なこと言ってる、溜息をつきながら再び頭を掻いた。
「お兄ちゃん、私出掛けてくるね!」
「ああ…分かった」
世間の女の子は忙しそうだ
バレンタインデーの風習は変わってきてはいるとはいえ、女の子から男の子に渡すという形は根強いだろう
うーん、と唸りながら去年を思い出してみればノットに貰った気もする。
ああ、それならニーノからも貰ったような。去年は忙しくて全くそれどころじゃなかったけど
(今年は買わないと、明日にでも渡せば……)
あ…ダメだ、暗転する。
「……ジーン」
ぺち、と頬を軽く叩かれた。
まばたきを繰り返し、唸って上体を起こした。
「…お前、大丈夫か?」
思考を巡らせ、相手がニーノと認識した時に俺は軽くデコピンした。
「痛っ……いきなり何だよ」
「そもそも…お前が原因でこうなってるんだよ……」
そうだったか?と、とぼける発言に軽く睨んだ。
まあそう言うな、彼は持参した紙袋の中身を探り始めた。
「ほら、ハッピーバレンタイン」
出てきたのはチョコレート、飾りっ気のない丸いチョコレートだ
4つ入りで、とっても素晴らしいほどシンプルだった。丸い、ただそれだけ
「……ありがと、でも俺、お返し何もないよ」
「ま、とりあえず食べてみなよ」
摘み、それを口に含んだ。カリッと硬い感触、これはアーモンドみたいだ
舌でとろける甘いチョコとアーモンドが見事にマッチしていて飽きない
「…おいしいね」
「だろ?」
俺はジーンを動かし、また寝転がっている彼を座らせる形にした。
「それで…いつ返してくれるわけ?」
「……ニーノ、今の俺…変だから」
軽く胸倉を掴まれたと認識した時には強引に引き寄せられ、唇が重なっていた。
先程食べたチョコレートの味が広がった。ジーンから、直接、俺に
俺は突然のことで何回かまばたきをした。そっと離れたジーンは無理矢理横になった。
「……おやすみ」
(こんなの反則だ……)
思わず片手で顔を覆った。
Happy Valentine!
素っ頓狂な俺の声に、ロッタはにこにこしながら振り返った。
「そうそう、今や男の子同士でも普通にあげるくらいのイベントになってるんだよ」
「……そう、なの?」
頭をがしがしと掻く、くそ…昨日の酒のせいかまだ頭が上手く回らない
「日頃の感謝っていうか、昔とは意味合いが少し変わってきちゃってるのかもしれないけど」
だよな、と素直に答えた。
捉え方に間違いがなければ、女の子が好きな男の子に対してチョコレートを送るってのが俺の時代では普通だった。
「今は友チョコっていうのよ」
友チョコ、ねえ
どうやらロッタはニーノにあげろと言いたいのだろう
確かにあげるべき相手だとは思うが
「学校では友チョコ、やってるの?」
「男の子同士は……あんまり見ないかな?」
なぜそれを俺にすすめたんだろう
苦笑する俺にロッタはそのままにっこり
俺、笑ったわけじゃないぞ……
そもそも、昨日の酒はニーノがまたどんどんと注ぐからだ
絶対余計なこと言ってる、溜息をつきながら再び頭を掻いた。
「お兄ちゃん、私出掛けてくるね!」
「ああ…分かった」
世間の女の子は忙しそうだ
バレンタインデーの風習は変わってきてはいるとはいえ、女の子から男の子に渡すという形は根強いだろう
うーん、と唸りながら去年を思い出してみればノットに貰った気もする。
ああ、それならニーノからも貰ったような。去年は忙しくて全くそれどころじゃなかったけど
(今年は買わないと、明日にでも渡せば……)
あ…ダメだ、暗転する。
「……ジーン」
ぺち、と頬を軽く叩かれた。
まばたきを繰り返し、唸って上体を起こした。
「…お前、大丈夫か?」
思考を巡らせ、相手がニーノと認識した時に俺は軽くデコピンした。
「痛っ……いきなり何だよ」
「そもそも…お前が原因でこうなってるんだよ……」
そうだったか?と、とぼける発言に軽く睨んだ。
まあそう言うな、彼は持参した紙袋の中身を探り始めた。
「ほら、ハッピーバレンタイン」
出てきたのはチョコレート、飾りっ気のない丸いチョコレートだ
4つ入りで、とっても素晴らしいほどシンプルだった。丸い、ただそれだけ
「……ありがと、でも俺、お返し何もないよ」
「ま、とりあえず食べてみなよ」
摘み、それを口に含んだ。カリッと硬い感触、これはアーモンドみたいだ
舌でとろける甘いチョコとアーモンドが見事にマッチしていて飽きない
「…おいしいね」
「だろ?」
俺はジーンを動かし、また寝転がっている彼を座らせる形にした。
「それで…いつ返してくれるわけ?」
「……ニーノ、今の俺…変だから」
軽く胸倉を掴まれたと認識した時には強引に引き寄せられ、唇が重なっていた。
先程食べたチョコレートの味が広がった。ジーンから、直接、俺に
俺は突然のことで何回かまばたきをした。そっと離れたジーンは無理矢理横になった。
「……おやすみ」
(こんなの反則だ……)
思わず片手で顔を覆った。
Happy Valentine!