忍者ブログ
New
(10/18)
(10/18)
(10/18)
Search
[ 11 ] [ 12 ] [ 13 ] [ 14 ] [ 15 ] [ 16 ] [ 17 ] [ 18 ] [ 19 ] [ 20 ] [ 21 ]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ブーツを水溜まりに入れれば波紋が広がる
そんな様子をオレは見つめた。

「今日も雨か…」
落下する雫を払い、足早に店へと向かった。

雨だけでも気分が嫌になるのに
溜息をつきながら買い物を続ける



人を待たせている
それも、病人を

(……早めに戻らねぇと心配だな)
万が一、何かあったらマズイだろう




「ただいま」
買い物袋を隅に起き、彼を見れば 倒れた彼の姿が
「! アレクセイっ」

慌てて起こすがだるそうで
顔も赤く脈が早いし、それに熱い

「……っ」

何とか抱え、ベッドへ寝かせる
自分より重い相手は、運ぶのに一苦労だ


「あ、…ローウェ…」
「黙ってろ」

タオルを額に乗せ、寝かせた。
不満げに、相手はオレを見た

そんな顔をされても




雨の日は決まって、アレクセイの体調が悪くなる
それは最近になってのことらしいのだが

「……雨…」


静かに、彼は横になった。
オレの反対側を向いて



息を吐き、キッチンへ向かった。
とりあえず温かい飲み物をやるべきだ
軽いスープなんか作って、飲ませよう

「アレクセイ」
「…雨、が……」

雨は止んでしまったようだ
うなだれる彼の肩を掴む

「雨」

器にスープを注ぎ、それを渡してやる
「…ありがとう」

小さく啜る音が響く

オレは立ち上がり、窓際に寄った。


「アレクセイ」
冷めた瞳で見られたが、オレは手を握って引き寄せた。

「何だ」
オレは無言で指を差した。

「見えるか?」


あ、虹。



「雨が止むと、良い事あるんだぜ
空が綺麗だったり、星が良く見えたり、さ」

手を握られた。

「…雨、好きになれるだろうか」
「なれるよ」






「ある日、一度だけ、笑ってくれたんだ」

横になったアレクセイ
まだ、手は繋いだ間々で

「ホッとしたんだ、良かったんだって…」

「アレクセイ」


頬に伝う雫を払い、笑った。

「オレがついてるから」
「…ありがとう、ありがとう……」



彼が一番弱くなるのはこの時
雨が振る、おっさんについて語る時だ

拍手[0回]

PR
掴んでも、掴んでも
それはすり抜けて

『助け…ッ』

縋っても蹴落とされ、足を引っ張られる
海賊の服を着た骸骨が、私に覆いかぶさる
これは人間だ、何人も私を掴んで来る

『ごめんなさッ!?』

それは反応なし
私の体を、強く軋ませた

『……ッ!』



(嫌だ!やめろ、助けてっ、ごめんなさい!!)

ただひたすらに、無我夢中に





雫の冷たさに目を覚ませば朝日が上がる頃
(………夢…)

体中は冷や汗ばかりが伝っていた

(……手…)
細く、強い 何かに捕まれて


そういえば、と起き上がり 辺りを見回す。

「ローウェル…?」

彼は居なかった。
どこへ行ったのだろう


窓際に足を運び、下を見れば
「よ、アレクセイ」

後ろの扉から彼が


「……居なくて、」
「ごめんな」

拍手[0回]

「うむ、非常に美味しいな」

オレが下町の宿で世話になってる所にアレクセイが来た。
彼は話し合いの元、凛々の明星に所属することになった。
牢に居たアレクセイはとても絶望に満ちていた。
しかしそれも半年経ってからは笑顔を見せ始めた。

「あんたガキかよ、ご飯粒付いてんぞ」
それを掬いとってやれば、くすぐったそうにした。
「すまん、つい、夢中になってしまっていた」
笑顔を見ると、ああ 良かったって思える。
そう、あの時と比べたら大分


オレは最初、アレクセイが凛々の明星に所属すると聞いて愕然とした。
反対だってした、首領のカロルのことだってある。
だが、エステルからの推しもあってか、渋々了承したのだ。

(……優しそうな顔、してんなぁ…)




彼と向き合った時、あの瞳はどす黒い赤だった。
自分は間違っていない、邪魔はさせない そう呼び掛けるような


(考えるのやめよ…)

頭を振り、若者のような食べ方にまた苦笑
あの時の彼とは違った彼だ


またどこかで、オレも彼を尊敬してたりするもんだ

「ローウェル、……」
呼ばれて振り向けば頭を振るアレクセイ
「何でもない、早く部屋に…」
「…分かった」

きっと眠いのだろう
けどオレ達にはまだやることがある




(……月だ)

済んだ空に囲う雲が月を歓迎しているようだ


「……ん、…」


(…アレクセイ)

すっかり疲れたようで、寝てしまった。


布団をかけ、微笑む
「さて…頑張るか…」






体を巡る寒さが続き、目を開けた 時刻を見たら四時
「…寝ちまった…まだ終わってねぇや……」

ギルドの依頼、金銭、データ かなりの量があるのだ

「あれ…」

いつの間にかベッドで寝ていて、アレクセイは床で
かなりの量を処理しなければと思ったのに

「!…おい、アレクセイ!」
揺さ振っても、全く起きる気配がない
「ッしょ!」
ベッドに移動し、一息


(…こんなんだからレイヴンに心配されんだよ…)
一人で、たった一人で背負い込むもんだから

やけに綺麗な頬に、甲で撫でる
(……冷えてる)

よく眠る彼に、笑って欲しい
それなら、どんな顔して笑ってくれるだろうか


部屋から出て、ラピードに一言告げた。

拍手[0回]


Copyright © Labyrinth All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog 
忍者ブログ [PR]