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ブーツを水溜まりに入れれば波紋が広がる
そんな様子をオレは見つめた。

「今日も雨か…」
落下する雫を払い、足早に店へと向かった。

雨だけでも気分が嫌になるのに
溜息をつきながら買い物を続ける



人を待たせている
それも、病人を

(……早めに戻らねぇと心配だな)
万が一、何かあったらマズイだろう




「ただいま」
買い物袋を隅に起き、彼を見れば 倒れた彼の姿が
「! アレクセイっ」

慌てて起こすがだるそうで
顔も赤く脈が早いし、それに熱い

「……っ」

何とか抱え、ベッドへ寝かせる
自分より重い相手は、運ぶのに一苦労だ


「あ、…ローウェ…」
「黙ってろ」

タオルを額に乗せ、寝かせた。
不満げに、相手はオレを見た

そんな顔をされても




雨の日は決まって、アレクセイの体調が悪くなる
それは最近になってのことらしいのだが

「……雨…」


静かに、彼は横になった。
オレの反対側を向いて



息を吐き、キッチンへ向かった。
とりあえず温かい飲み物をやるべきだ
軽いスープなんか作って、飲ませよう

「アレクセイ」
「…雨、が……」

雨は止んでしまったようだ
うなだれる彼の肩を掴む

「雨」

器にスープを注ぎ、それを渡してやる
「…ありがとう」

小さく啜る音が響く

オレは立ち上がり、窓際に寄った。


「アレクセイ」
冷めた瞳で見られたが、オレは手を握って引き寄せた。

「何だ」
オレは無言で指を差した。

「見えるか?」


あ、虹。



「雨が止むと、良い事あるんだぜ
空が綺麗だったり、星が良く見えたり、さ」

手を握られた。

「…雨、好きになれるだろうか」
「なれるよ」






「ある日、一度だけ、笑ってくれたんだ」

横になったアレクセイ
まだ、手は繋いだ間々で

「ホッとしたんだ、良かったんだって…」

「アレクセイ」


頬に伝う雫を払い、笑った。

「オレがついてるから」
「…ありがとう、ありがとう……」



彼が一番弱くなるのはこの時
雨が振る、おっさんについて語る時だ

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