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目的もなしに歩いて

何をやっているんだか


ない訳ではなかったが


洞窟を見かけ、入って行く

いつだったか


懐かしい、そう思った



『人間がのこのこやって来るとは身の程を知らないようだ』

魔物が立ち上がった。

『まぁ良い、貴様のその朱い命が今日のディナーだ』

アレクセイは剣をゆっくりと手にした。





「え…?」
シュヴァーンの第一声がそれだった。

「別にいいじゃねぇか、休む事だって必要だろうよ」
まだ関係の良くないユーリはそう言った
彼なりに良い事を言ったのだろうがシュヴァーンは納得しなかった。

「ボクは特に言うことないよ」
まるで関心すらないような

「……私は彼を捜すわ 彼は“仲間”だもの」
ジュディスはシュヴァーンを見いやった。
「それに、嫌な予感がするの……」

ユーリは明らかに嫌そうな溜息をついた。
「どうしてジュディはあいつなんか…」
「彼は彼なりに考えているわ、私からしたらちょっと偏った思考だけど…
でも、批判ばかりは良くないと思うわ 彼はおじ様を大事に思っているし」

「…分かった、捜しに行こうよ」
最後にカロルはそう言った。





『人間風情が……私をここまで追いやるとはな…』
アレクセイは無言の間々、再び剣を構えた。

『だが、見誤るなよ……』

「!」






体が物凄く悲鳴を上げていた。
瞼が右しか開かず、左は痛みが走った。
体中が非常に痛くて、一体何が起きたのだ

「大将…」
心配そうな面持ちでシュヴァーンが私を見ていた。

「わ、たしは…なぜ……」
なぜ、彼が居るのだ


「…貴重な素材を取ろうと洞窟に入ったのでしょう?」
すっかり忘れてしまっていた。
「大将が魔物に襲われてたところを助けたんですよ」

「私を、助け…た…のか……」


カッとなって魔物に挑んで
何だかもう嫌になってしまって



「シュヴァーン、もう無理して居なくていい」
胸を押さえている彼を見てアレクセイはそう言った。
「私は、お前のその姿を見たくない
原因は私にあるのだと薄々感じていた」
そう言うとシュヴァーンは何も言わなかった。
正確に言えば言えなかった、に近い

「…ありがとう、すまなかった…」

伸ばしかけた手が、ぼやける
そう思った時、私は黒い世界を見た


肌色は徐々に白くなり、やがて体温をなくし始めた。
浅い呼吸が彼を安心させるには十分だった。

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アレクセイは静かにその場から離れ、カロルやユーリ達に近付いた。
「いいのかよ?」
準備をしている二人に頷いた。
「まだ、様子が分からない以上…何もしようがない」
そうか、とユーリ短く答えた。
少年の視線が妙に突き刺さって来るのを感じた。

テントはユーリ、カロル、アレクセイとジュディス、シュヴァーンに別れた。
正直なところ、アレクセイは心配でたまらなかった。
しかしシュヴァーンの事を考えれば私を見るだけでも辛いかもしれない

憂さ晴らしに外で星なんか眺めるが全く効果ない
またその苛立ちで剣を手にし、歩き始めた。


ストレスが溜まるもんだから魔物を意味なく殺した
嗚呼、またやってしまった これだから私は――――。

剣から滴る朱く染まった血に私は微笑んだ。
妙に鼻に突き刺さる鉄の臭いに暖かい溜息

嫌気が段々さしてきて、剣を振り払ったその時だった。


「ガウッ!!」

気付いた時には遅かった。
腕を力強く噛まれ、アレクセイは顔を歪めた。

「…目障りだ」


ごとり...

首と体が別れて跳ねた。





「よう」
外に居たユーリがアレクセイを待っていたようだ
「何をしている?」
「あんたが余計なことしないかと思ってな」

まだ、警戒されている か
当然ではあるのだが

「余計な事、か…そうかもしれないな」
「あんたなぁ……」
ユーリはアレクセイに寄り、左腕を取った。
「血だらけじゃねぇか」
「…気付かなかった」
漆黒に染まった彼の顔は私を睨んでいた。
「……問題ない」
アレクセイはユーリの腕を振り払い、静かにテントへ入った。


「おっさんもう元気になっちゃったわー!」
「リタが居たらうざがられてるよ」
シュヴァーンとカロルは二人楽しく笑っていた。


(…本当は嫌なんじゃないか?)



いつも

いつも


私と居る時はやけに緊張して

目が合う事なんて


ない



(自業自得か)


呆れた



私が





「……首領、」

楽しく笑い終えた後に話をかけると明らかに嫌そうな顔になった。

「…少し、ギルドの仕事を休ませて欲しい」
「……いいけど、別に」


『居ても居なくても
ユーリやジュディス、ラピードで十分だったし』


「……失礼する」
フードを被り、アレクセイはテントから離れた。




今は

私が居るべきじゃない


仕方がないことだ


また魔物を一閃した。

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