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心臓から電流のような痛みが走り、目が覚めた。

デュークに会った日以降、目が覚めなかったようだ
何日食べてないのか分からないが、空腹をかなり感じた。

胸を見れば包帯の上からだというのに、嫌な紅が漏れている。

どうしようもないから起き上がった。


すると懐かしい物を見た。
私の着ていた服だった。
汚く、破けたり、血だらけではあったが

起き上がった時に気が付いた、肩が軽いな、とか
常に鎧とか、堅苦しい物ばかり着ていたから体が軽いように感じる

足を床に付ければ冷えているそれ
しかしそんなに寒くはないから、部屋を見回す


「ヘルメス式…心臓、魔導器……」

私に埋めるだけの必要な資料だけ
きっとデュークは、どちらでも良かったのだろう

これで私が生きようと、死のうと



空腹を満たすため、アレクセイはとりあえず探した。
多少食べたとしても、何も言われないだろう

テーブルにあった小さなサンドイッチを一口
久々に物を食べて何だか満たされた。


動いて気付いたが、必要な治療以外はしてくれなかったらしい。
右手や右腕は唯一動くが、左手や左腕はきっと骨が折れている。
足は動くことは動くが、非常に痛い


しかしそれでも、生きているだけ良いと思うのがいいのだろうか

非常に痛むところだけを自らで治療した。
そもそも治癒能力はあまりない
だから動けるようにはなったが、その場しのぎのようなものだ
特に今の状態では自らの治癒能力はあてにならない

近くにあった本を掴み、タイトルを見れば“災厄”と書かれていた。
古びた本だが、しっかりと中は読める

「…その名も“星喰み”……」

イメージ図なのかは分からないが、海洋生物を連想させた。
小さな窓から見える空には、このイメージ図と似たような魔物が浮遊していた。

「あれが………」

自分が生み出してしまった災厄

世界を変えられる、そう信じてやってきた事が
逆に追い詰めるようなことをしてしまっていた

絶望感が、のしかかってきた


ページをめくればザウデ不落宮は星喰みを封印するものだと分かった。
それを自ら起動させてしまい、危機を呼び起こしてしまった

愚か過ぎて目眩がした。


私が最も、謝らなければならない者
許してもらえるなんて思ってはいないが


イエガーは、本当に死んだのだろうか
あの時の私は、狂っていたから
足止めくらいになればいいと思っていたから

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突っ込み所満載ですが加筆・修正もしないので置いときます。
当たり前のレベルでアレクセイ生存IFの長編です。



「な、ぜ……」

アレクセイ・ディノイアは左胸を押さえた。
醜く光る紅い命が、指から漏れた。

「皮肉なものだな」

デューク・バンタレイは、アレクセイの頬に手を添えた。
それから確かめるように目、鼻、唇に触れた。

「死人と言われる人の気持ちを理解出来たか?」







『…何で、俺…だけ……』

シュヴァーンの目は、死んでいた。
それは、彼だけじゃなかった。


『…ど、して……私、は…』

イエガーもまた、同じだった。
何故、生き返らせたのかと



失望させるために、生き返らせた訳ではなかった。

少しは思った、既に死んだ人間を生き返らせて良いのか

だが、私は手を下す時はもう迷いはなかった。

そこで私が迷ってしまえば、君達に失礼だと思ったから


けど、君達が口々に言ったのは同じ言葉

そして、同じ表情をしていた。


私は、それでも悔いる事はしなかった。


会う度に殺してくれと、二人は私に言って来た。

それは毎日と言っていい程だった。


あ、れ 。

果たして、私のしていることは正しいのだろうか

もしかして、これは間違っているんじゃないだろうか


私は、必死になった。

世界を変えなければならない


ただ、目の前の事でいっぱいだった。


自分勝手な行動だっただろう






「死人、か………」

私は人間ではなくなった。

それよりも、私の手で、私よりも早く
人ではない人として生き返らせたあの二人の方が―――


胸が痛くなった。


「私は…それよりもなぜ、お前が……」

頭の整理なんて出来ない

だから、思い付く間々に言っている


「…お前の為に体に刻み付けてやった…私よりもまずは自分自身を見ろ」

「…そうか……」


不思議なことに、失望もなかった。

むしろ有り難かった。

これであの二人の辛さが分かるとは思わないが

それなりには、分かるかもしれないと


「世界に災厄をもたらしてしまったのだな…」

「ああ、お前があんなことをしてしまったからな」


溜息一つ

それは深かった。


「だから人間なぞ、信用出来んのだ」


「…そうかもしれないな」



何だか大分疲れてしまった。

体に任せて目を閉じた。

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