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「バ……バレンタインデー?」
素っ頓狂な俺の声に、ロッタはにこにこしながら振り返った。
「そうそう、今や男の子同士でも普通にあげるくらいのイベントになってるんだよ」
「……そう、なの?」
頭をがしがしと掻く、くそ…昨日の酒のせいかまだ頭が上手く回らない
「日頃の感謝っていうか、昔とは意味合いが少し変わってきちゃってるのかもしれないけど」
だよな、と素直に答えた。
捉え方に間違いがなければ、女の子が好きな男の子に対してチョコレートを送るってのが俺の時代では普通だった。
「今は友チョコっていうのよ」

友チョコ、ねえ
どうやらロッタはニーノにあげろと言いたいのだろう
確かにあげるべき相手だとは思うが

「学校では友チョコ、やってるの?」
「男の子同士は……あんまり見ないかな?」

なぜそれを俺にすすめたんだろう
苦笑する俺にロッタはそのままにっこり
俺、笑ったわけじゃないぞ……

そもそも、昨日の酒はニーノがまたどんどんと注ぐからだ
絶対余計なこと言ってる、溜息をつきながら再び頭を掻いた。
「お兄ちゃん、私出掛けてくるね!」
「ああ…分かった」

世間の女の子は忙しそうだ
バレンタインデーの風習は変わってきてはいるとはいえ、女の子から男の子に渡すという形は根強いだろう
うーん、と唸りながら去年を思い出してみればノットに貰った気もする。
ああ、それならニーノからも貰ったような。去年は忙しくて全くそれどころじゃなかったけど

(今年は買わないと、明日にでも渡せば……)
あ…ダメだ、暗転する。




「……ジーン」
ぺち、と頬を軽く叩かれた。
まばたきを繰り返し、唸って上体を起こした。
「…お前、大丈夫か?」
思考を巡らせ、相手がニーノと認識した時に俺は軽くデコピンした。
「痛っ……いきなり何だよ」
「そもそも…お前が原因でこうなってるんだよ……」
そうだったか?と、とぼける発言に軽く睨んだ。
まあそう言うな、彼は持参した紙袋の中身を探り始めた。
「ほら、ハッピーバレンタイン」
出てきたのはチョコレート、飾りっ気のない丸いチョコレートだ
4つ入りで、とっても素晴らしいほどシンプルだった。丸い、ただそれだけ
「……ありがと、でも俺、お返し何もないよ」
「ま、とりあえず食べてみなよ」
摘み、それを口に含んだ。カリッと硬い感触、これはアーモンドみたいだ
舌でとろける甘いチョコとアーモンドが見事にマッチしていて飽きない
「…おいしいね」
「だろ?」

俺はジーンを動かし、また寝転がっている彼を座らせる形にした。
「それで…いつ返してくれるわけ?」
「……ニーノ、今の俺…変だから」
軽く胸倉を掴まれたと認識した時には強引に引き寄せられ、唇が重なっていた。
先程食べたチョコレートの味が広がった。ジーンから、直接、俺に
俺は突然のことで何回かまばたきをした。そっと離れたジーンは無理矢理横になった。
「……おやすみ」


(こんなの反則だ……)
思わず片手で顔を覆った。








Happy Valentine!

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「ごめんね、ギフト」
拳を作って俯きがちに彼は言った、見たことのない表情だった。
それを見て、何となく彼も言いたいことがたくさんあるのだと察した。
「……しばらく、何も関わらずに、休みたい」

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