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「ギフトさん、あなたは今全身が麻痺しています。生きていただけでも奇跡と言っていいでしょう」
「……そう」
「感覚は通常より敏感な状態です、しばらくの間は安静にしてください」
まるで老化したかのように手はゆっくりと上がって、そのまま下がった。
普通はショックを感じるのであろうが、オレにとっては些細な問題だった。

「食欲はありますか?」
召喚術を用いた医療器具を操作しながらフラーゼンは質問してくる。
「…分からない、でも、お腹は空いた」
「フォルスさん」
近くに居た彼は放れ、テーブルに置いてあった食事を持って来た。
「食べてくれるかな?」
「……ああ」
覚束ない手で食事するのは危険だと思った彼は、スプーンでスープをすくった。
それからそのスープはオレの口へと入って行く
「大丈夫?熱くない?食べられそう?」
「質問が多いな、それにこれくらい平気だ」
「…良かった」

安堵の表情をした彼の顔は何年振りに見ただろう、幼い頃にオレが無茶してちょっとした怪我をした時だったか
涙目になっている目の前の相手に、オレは複雑な気分を抱かずにはいられなかった。
彼には敵いはしないと言ったが、それでオレの気持ちが晴れた訳でもない
きっとこれは虚しさだ、すっきりしないままオレは次の一杯を待った。

あれから数分経った後にフラーゼンは部屋を出たが、彼は出て行かなかった。
「フォルスは行かないのか?」
「僕が無理言って頼んだんだ、ギフトは僕が看るよって…もしかして、僕じゃイヤだった?」
「……別、に」

無言の空間になった、思い返すことはたくさんある
ありすぎて、どこから考えたらいいかも分からない

「いつまで、オレは此処に居るんだ?」
唐突に、聞いた。困った表情して、言葉に詰まっているようだった
「いいよ、何となく、分かる。退屈だね…」
自問自答、だった。暇になって手の平を見れば肌色と紫色が混ざっていた。
言うなれば痣のようなものが肌のあちこちあった、見ていて気分は良くない
だがそれでもオレの意識がなかった時から治療は続けられたようで、少しだけ薄くなってるのもあった。

(………オレは何の為に)
生かされたのだろうか、もう独りなんて味わいたくないのに

ブラッテルンとしての未来は潰えた。
じゃあ、オレの生き甲斐はどこへ行ってしまったのか
オレの全てと言ってもいい、それがなくなってしまったのだ

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紫や青の、色濃く泥のようなものが視界を埋めていた。
足元にはおもちゃの剣が先程音を立てて落ちていた。
後ろから悲鳴や心配する声でたくさんだったが、それよりも
「――――カゲロウ、もう少しだけ」
「で、でも兄貴…っ」
「お願いだよ、失いたく…ないんだ」
消え行く目の前の、泥のような質の冥土へ今にも触りそうな勢いで頼んだ。
そんな僕を見兼ねたカゲロウは、再び気を引き締めてくれた。
「こんなこと言いたくないけど、ダメだったとしても…許してくれよなっ!」
「君を信じるし、僕自身も信じる。だからっ…本当に最後の最後だ!」
放たれる、今までよりも強烈な光にまぶしさを感じた。
それに更なる力を込め、強く強く、願いながら光を広げた。

「はぁあああぁぁああっ!!」
かつてないほどの声を張り上げ、膨大な光を目の前に放った。
二人で叫んだ、どうか、どうか届いてほしいと
そこから、僕の記憶が途切れた。






誰かに認めてもらいたかった、オレだって頑張っているんだということを
寂しかった、誰からも相手にされずに過ごしていく日々が

(……何、だ…?)

光が近付いて来た、温かな気持ちのする光が
でも、その眩しさが少しだけ怖かった。

ゆっくりと、瞼を開けた時には白い天井だった。
それと同時に、急いで駆け寄って来た何かが視界を埋め尽くした。
「ギフトっ!」
訳の分からないまま抱きしめられ、オレは反応出来ずにいた。
「フォルスさん、まだお体が万全ではないのですから寝かせてあげて下さい」
眼鏡を掛けたフラーゼンがオレの目の前に居る者に呼び掛けた。
フォルス?と少しだけ身を引くと、逆立った赤い髪が見えた。
「ギフトっ……」
彼が顔を見せたそれは肌色とは程遠く、朱色に染まっていた。
再び抱きしめられたが、それによって体中に痛みが走った。
低く呻いたオレからフォルスは慌てて放れた。
「ご、ごめんっ…」
「いいよ…ちょっと、痛かったけど」

周りには友達の彼とフラーゼンしか居なかった。
自我をほとんど失っていたとはいえ、あれだけのことをしたのだ
色々な問題がオレを許しはしないだろう、それよりも身体がどうも動かない

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