忍者ブログ
New
(10/18)
(10/18)
(10/18)
Search
[ 26 ] [ 27 ] [ 28 ] [ 29 ] [ 30 ] [ 31 ] [ 32 ] [ 33 ] [ 34 ] [ 35 ] [ 36 ]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

再び、アレクセイが病に倒れた。
かなり重態だと小耳に挟んだ。
呼吸器官が圧迫され、呼吸困難

昨日向かった場所が妙にエアル濃度が高かったからかもしれない
俺はしばらく離れていろと言われ、貴方一人で行かせてしまった。



なぜ、一緒に行かなかった

 来てはいけない

貴方だけ一人、被害を受けるなんて

 被害は少ない方が良い

その時、幾度も胸を押さえてたのはこの症状?

 私は大丈夫だ、そんなに弱くない



「アレクセイ!」
駆け込み、彼をすぐにでも抱きしめたかった。
しかしそれは医者に拒まれた。

すぐそこに貴方が居るのに――――!!


貴方は目をつむっていて。
半裸で、息を荒くしていた。
体にある汗は、呼吸出来なくて苦しんでて

口元には呼吸を補助する道具が張り巡らされていて
貴方の生死が今、ここで分かってしまいそうで


貴方はうっすらと目を開けて、俺を見て笑って
また力無く目を、瞳を閉じた。



「アレクセイ!!アレクセイ!」





泣いたんだと思う

部屋で、一人固まって

子供みたいに


貴方が居ないと俺は





「シュヴァーン」


もそりと体を動かせば、貴方が居て
「え、…何、で……」


「心配したんだぞ」

 それは俺の台詞です

「大分食も口にしてなくて、お腹空いたろう?」

 貴方が苦しんでるのに、食なんて出来ない

「…どうした?」

 ずっと、貴方を捜していたんです


無言で泣き始めた俺に貴方はまた無言で抱きしめてくれた。


あの時、逃げてごめんなさい

あの時、避けてごめんなさい

あの時、   ごめんなさい




「シュヴァーン、     」




よく聞こえなかった。
首を傾げて尋ねるが彼は笑っただけだった。

ああ、何だか分かったような
分からなかったような


「答えは――――」
俺はその言葉を静かに待った。

拍手[0回]

PR
ノックをすれば無言の応答
明かりが漏れているため、居るのは分かっているのだが

いつものように、部下の部屋にはノックしてすぐ入るのだが
今はそんなこと、出来なかった。

「シュヴァーン…?居るのだろう?」
「―――――えぇ、居ますよ」

久々に聞いた彼の声
なぜだかホッとする。

「…けど、仕事…溜まってるならさっさとやらないと、間に合いませんよ」
ドアノブに手をかけようとしたが、それは途中で止められた。

「っ……そうだな、悪かった」
「謝る事なんて、無いですから」

それを聞いて、私は静かに立ち去った。




あれから、いつぐらい経ったろう

アレクセイはまた仕事が忙しくなり、部屋すら出ない
シュヴァーンもまた、部下とのやり取りで忙しくなっていた。


「シュヴァーン隊長、今日はもう結構です」
部下であるルブランが書類を手にまとめてそう言った。
「なぜだ?まだあるはずだが…?」
「何をおっしゃいますか、後はこちらに任せたと申したではないですか」
そうだったか?と尋ねれば彼は深く頷いた。

「あ、それと アレクセイ騎士団長閣下がお呼びになっていましたぞ」
「…いつ頃だ?」
「昼前だそうです」
それを聞いてしばらく黙るシュヴァーンにルブランは眉を潜めた。
「シュヴァーン隊長?」
呼ばれてシュヴァーンはハッとなった。
「あ…あぁ、悪い もういいぞ」
「はっ、失礼します」



色々考えていくうちに、昼を迎えた。
ノックして名を名乗ればいつもの対応
静かに部屋へと入って行った。

「あの…何でしょう」
「…もう少しこちらへ来なさい」
渋々来るシュヴァーンだったが、やはり何だか避けている様子

「シュヴァーン…?」
流石にその変な様子が伝わる
「何でしょう」
「…私が、何かしたか?」
「いいえ」
返答にアレクセイは眉を潜めた。
「なら、なぜ…「ご用件は何ですか?」
言葉が遮られ、アレクセイは一瞬だけ固まった。
「…すまん、何でもない……」


目が、伏せられた。


今度はシュヴァーンが尋ねる番になった。
「何でもないって……それは一体「帰れ」
ぴしゃりと、短く言い放たれた。
「…帰れと、言っている」
「……はい、失礼しました」
威圧に負けて、シュヴァーンは部屋から出て行った。




何やっているんだろう

俺は、

ああ

見えない壁が邪魔をしているのか

なんて馬鹿な事なんだろう

私は、

こんな事をしたかった訳じゃない

拍手[0回]

夜も真っ只中
風はやけに煩く
時に寂しく語る
私は一つ溜息をついた

「アレクセイ」

視線を向ければシュヴァーンが居た。
彼は私の元に来て手元を見つめた。

「アレクセイ」

もう一度、先程より低い声で呼ばれる
しかし私はそれを無視した。
すると、彼は私の頬に両手を添えた。

そうすれば止まる私の手

「シュヴァーン」
そう言って声で制すが無駄だった。


「ん、……」

静かに重なる、私と彼の唇
温度が直に伝わる
何だか無駄に心地良くて

「ッ…ダメ、だ……」
私は顔を横に反らした。

「アレクセイ…」
足りなそうに私を見る。



「…明日には……」
「………」


シュヴァーンが黙っていると、髪が撫でられた。
鎧のしていない彼の手は優しくて

「もう、いいですから…満足です」
俺は彼の手を掴んで、そっと離した。

「すいません」
謝れば少し揺らぐ彼の瞳
逃げるように部屋から出た。

彼の声が聞こえた気がするが、邪魔は出来ない



暗い真夜中の廊下
俺は泣いた



朝から何だか騒がしく、気になった。
そこらの情報の早い兵に事情を聞けばアレクセイが倒れたということらしい

俺は、迷った。


会いたい
けど、会ってはいけない


会ったところで俺に何が出来るのか
そうだ、何も出来やしない




「シュヴァーン……」
ようやく一人になって呟いた最初の一言

嗚呼、彼も迷惑だというのに
居心地が良くて、すぐに想ってしまう

淡い期待が巡る
(…会いたい……)

緊張する体を抱きしめるように横になる。
けど、結果的には体調管理すら出来ない私を見て失望するだけだろう


(はっ…馬鹿馬鹿しい)

甘ったれるな
そう、強く自分に叱った

つもりだった。




容態は悪化した。

頭はズキズキ痛む
身体は思うように動かないし、自分でも分かるくらい熱い
脈も普通以上にドクドクいってて気持ち悪い

医者はただの熱とおっしゃった。
熱も油断出来ない、そんな暢気な思考だった。


しかしそれも頭痛によりすぐに吹っ飛ぶ
「はぁ……痛、い…な……」
頭に手をかざし、しばらくその体勢



熱は三日目でようやく治った。
仕事をせずに三日経ってしまったため、アレクセイは今日も徹夜

早く終わる仕事が三日も溜まればそれはそれで量がある。
しかし、その前にやらなければならないことがアレクセイにはあった。

拍手[0回]


Copyright © Labyrinth All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog 
忍者ブログ [PR]