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未だにこの雰囲気に馴染めそうにない
いや、馴染めたらどんなに楽しいだろうか

少年少女達が笑いながら夕飯を頂いていた。

楽しそうだ、と思うが私はそこには入れない
以前、少しでも印象を良くしようと それだけではないが
一緒に居る中で、仲が悪い間々だといけないと思ったから話に入った事がある


『…料理が上手いのだな』
パティにそう言えばあからさまに嫌そうな顔をされた。
しかし、されて当然だ と思って気持ち我慢していた。
『ちょっとどこか行ってくれんかのう』
蒼い目だからか、凄く冷めた視線で追い払われる気分だった。
『……すまない』

勿論、これだけじゃない

一枚の写真を笑顔で見るカロル
『何見てんだよ?』
ローウェルがそう覗き込むと少年は笑った。
『ドンの写真!お願いして貰ったんだ!』
『へぇ、イイもん貰ったなぁ』
うん、と少年は小さく答えた。
『でも、ドンにまだ話したい事たくさんあったのにな……』
しょんぼりする少年をローウェルは無言で頭をわしゃわしゃしていた。
代わりに鋭く、突き刺さる視線が背中に伝わった。



「大将」
声のする方に視線をやれば彼が居た。

「はい、食べて下さい」
受け取ると、彼は笑った。


なぜ、笑う


不審に思いながら受け取ると良い匂いがする。

「あの…居ていいですか…?」
私は首を横に振った。

「…考え事がしたい」
そう言わなくてもレイヴンはどこと無く寂しそうだった。

「あまり一人にならないで下さいね」



どうして生きてしまったのか

なぜ私は生きているのか


ここ最近、何度も自問自答だった


単純なのは分かる

最終的には同じ応え






「今回は物探しだって、この森にあるみたいなんだ」
少年は紙から目を離して皆を見た。


「確か花だっけ?おっさんは知らねぇのか?」
ローウェルがニヤニヤしながらレイヴンに問うた。
「あの花しか知らないわよぅ」
レイヴンも冗談で返した。

あの花、言わなくても私は分かった。


「で、その花は黄色のお花なんだって
ヤクシソウって言うんだってさ」
それを見つければいいのね、とクリティアの娘は言った。

「うん、絵もあるからこれを参考に探して」
ひらりと見せた絵は言った通り、小さな黄色の花だった。


「よし、行こう」
少年は皆に頷いた。

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私の左右には兵が居る。

かつて部下だった騎士団長も居る。
殿下も、姫様も見受けられる。

私を、驚いた様子で見ていた。


叫ぶ声がする

何を言っているか分からない


しばらくそこに居て

何か呼び掛けられたような気がするが、私は答えなかった。

長い?いや、短かった。



また牢屋へと入れ込まれ、最期を願う

早く、裁いてくれ 私はもう、動けない



不意に顔を上げたら、人が居た。
「大将、ですか…?」

紫の羽織りを着た男が、居た。
「……生きて、いたんですね…」

「…―――帰れ、お前の為だ」
そう言うとレイヴンは寂しそうな表情をした。

「嫌です、大将…怪我はないですか?今までどこに…?」
「レイヴン」

なんだか初めて名を呼んだ気がする

「私は考えた、君の幸せは私が君に会わないということだと」

私は彼に近付いた。

「しかし、会ってしまったのなら仕方がない
本当にすまなかった、許されるとは思っていない
だが、君に言える事が出来て良かった
…私の側に居てくれてありがとう、私は嬉しかった」

そう言うと彼は呆然としていた。

「アレク…「時間です」

兵がレイヴンの元へと来た。
「え、もう…?だって、大将……」
「時間です」

兵はレイヴンを連れていってしまった。



私は酷く疲れて、そのまま横に倒れた。
大罪人に光なんてない、だから 死んで償おう

永遠に、私がずっと












これは運命なんだろうか

そうしたら私は本当に嫌な人生だ


無罪になっただなんて


しかし、それなりに行動は制限された。
ギルドの『凛々の明星』の監視の元だということだ

最悪過ぎる
否、彼らがということではない

なぜこう上手く行かないのか


牢屋から出され、彼らは居た。

周りには騎士団長、殿下や姫様、兵から一般人、野次馬も居る


「…宜しく、頼みます……」


ようやく搾り出せた言葉はこれだけだった。







パチパチと、音が響く
テントは精霊の力が宿っており、魔物を寄せ付けない作りになっていた。

時折、魔物の声がする。
遠くから、響いて


凛々の明星のメンバーの他にリタ・モルディオが彼らと行動を共にしていた。
魔導器の無い時代になり、それなりに忙しいだとか、行動的に楽なのだろう

そしてアイフリード 今はパティ、という名であるが
以前の彼女が居たギルドに関しては何も言わなかったが、
このギルドにまた皆で旅したいという話だ

そんなことよりも、なぜレイヴンが居るのか聞いてみれば天を射る矢のハリーの命令らしい

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すっかり行き場のなくなった私は空を眺めた。


私は生きてしまっている

「デューク」

私はなぜ生きてしまった

「私は」

甘えられるのならば

「私は」

私は逃げたい

「どうしたら良いのだ」

更に望めるのなら

「私、は……」

死にたい






「う、う…あ゙……」

怖くなった


「あ゙あ゙あ゙あああああ゙あ゙っ!!!!」




「―――――黙れ」




あ。

止まっ、た。






悔しくて

悲しくて


雫が伝った

私の頬から



「ゔ………ぁ…」


心臓が

圧迫されて









次に目を開けたのはあの小さな家の中
今は心臓は動いているが、あの時止められて

恐ろしくて体を丸めた。


もう何も考えたくなくて

世界も、自分も、何もかも



(助けて、くれ……)

体が怖い位震えるんだ



「………」

溜息が聞こえた。







今だから思える

罪を償わなければ、と


償うのは一生を賭ける

その序段すら出来なくて




(…そうか…帝都に行こう……)


結局の所、けじめを付けるにはそこに行くしかない

死刑は免れないが、隠れるより堂々と罰を受け
帝国の手によって裁かれるのが一番かもしれない

大罪人だ、私を生かそうとは誰も思うまい
もし、居たとしても 私は皆の前で死ぬだろう


次の目的は帝都だ





「デューク、最期にお願いがしたい

私を帝都に連れていってくれ」












今、私は牢屋に居る

冷たい床だな

けど、有り難い


どちらにせよ、私は死ぬ


自分勝手に死ぬより

ここに来て死刑と言われ

皆の前で死ぬ方がいい


罪の償い方なんて分からない

でも、償いたくない訳じゃない


レイヴンに私が生きている事を知られても

きっと彼は私に会いに来ないだろう


微妙に、最期に来てくれれば と思ってしまっているが



それにしても、手首の手枷が重い
全く持ち上げられない訳ではないが

若干筋肉が衰えてしまったのだろうと思う


最も謝罪したいのはあの二人もだが

姫様もまた、私が道具と扱って苦しめた一人であって
あの少女、アイフリードは私を深く恨んでいた。

まだまだ、まだ 居る
私は罪を犯しすぎた



嗚呼呼ばれている

目を向ければ鎧の男

懐かしい、格好だ

ゆっくりと立ち上がって

牢屋から出た

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