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「あぁ、もう居ないんだっけ…」
ユーリは手の平を見つめた。


『魔導器で寿命が延びたからって、本物の心臓よりはやっぱり持ちが良くないみたい』

レイヴンはそう言った。

『マジかよ……』

唖然とした。

『まぁまぁ、そんなに落ち込まないでよ』

笑うレイヴンが好きだけど、嫌い

レイヴンは騙そうとするからだ

笑って、なかったことにしてしまう

オレはレイヴンの事が好き、だから

簡単にその安心に溺れる

だから、嫌だ

『そのレイヴンの笑い方、嫌い、だ』

『ユー、リ…』

『そんな笑い方すんじゃねぇよ…っ!!』

オレはレイヴンに抱き着いた。


離したら消えちまう

消えないでくれ

どうか、消さないで


『俺、ユーリと会えて良かったわ』

にかっ、と歯を見せて笑うレイヴン

『オレは最悪だけどな』

あの時はシュヴァーンとしてのレイヴンだったから

『そんな事言わないの~』

弄られ担当だった、おっさん

胡散臭いとか、かなり言われてたよな

確かにその通りだったんだけどよ


「道具として、だったもんな…」

レイヴンが亡くなって一年はもう経った。

尊敬する人も居れば、裏切り者という人も居る

彼は確かにそう言われてしまう行動は取ってしまったが

レイヴンとしてならば、立派に生きたのではないかと思う

(オレが言えた立場じゃねーけど…)


でも、レイヴンはあまりにも早く死んでしまった。

それがユーリはまだ受け入れられなかった。

現に居ないのだから、結局目を背けているだけ


『…お、れ様ね…ユー、リと…一緒、に……ぐうぅっ』

『喋んな!!レイヴンっ!!』

『はっ……い、居れて…ほ、んと、に…良か……っ…』

『レイヴン!!おい、嘘だろ…?』

魔導器が埋められた者の運命なのか
レイヴンの心臓魔導器は強く朱く光った
それから徐々に光は消えて行った。

『おい!レイヴン!?ふざけんな、まだ…逝くんじゃ、ねぇよ…っ!』


「くそ、夢に出るなんて…っ!」
ユーリは髪を強く握った。


『…ユーリ、俺の分生きてちょーだい…』

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おかしいのは――――。

それはただ擦れただけの気持ち


「青年は初恋が十四歳年上の人って聞いたわよ~」
「初恋なだけで付き合った事なんかねーよ」
ふて腐れながらユーリはそう言った。
「それより、おっさんだってキャナリって人が好きだったんだろ」
「これがまた初恋なんだなー…」
苦笑するレイヴンは後頭部を掻いた。

「何だよ、お互い初恋で終わってんじゃねーか」
「寂しい者同士じゃないのー」
レイヴンは酒を一気飲みした。
「あ、ちょ、おっさん!」
「大丈夫よ」
ユーリは溜息をついた。
酒の一気飲みをしたレイヴンを軽く睨んだ。
「俺様の体、心配してくれてて嬉しいわ~」
早速酔いが回って来たようだった。

ユーリは自分を最低な奴だと思った。
それでも、愛しているというのか

酒の中に媚薬を入れたのはいつものこと

「はっ…なんか……飲み過ぎた、かなぁ」
ユーリはレイヴンを抱き寄せた。
「一気飲みすっからだ」
「ユー、リ……」

そしてまた、レイヴンもそれを知っていた。
何も言わないユーリに依存していた。

お互い、知りながらも伝えなかった。
だが、それを両想いとは取らない。
ただ、セフレのようなものだと感じた事はある

(媚薬だって知られてても…まだはっきりとは言えねぇよ…)
(ユーリの媚薬に助けられてるなんて…いい加減はっきりすべきよね)

お互いに依存し合っていた。
しかし、明かすことはしなかった。

(オレは…ただのヤり相手なんだ…成り行きでなっただけ…)
(ユーリに俺様は相応しくない…ただの、相手よ…)


オレは、おっさんとは合わない

俺は、青年とは合わない


それは擦れただけの気持ち

そんなに深い関係ではない


お互いに、擦れ違っただけ

それはただの慰め合いにしかならなかった。

しかし、二人は強く求めあった。


いつかその気持ちに気付くために――――。

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草原で大の字になる

周りに人が居ないから出来る事

少し吹く風

ゆっくり歩む雲

世界もまた進む


非常に退屈である。

「ふあぁ~っ…」

皆と別れて一人旅のようなものをしている。

「…そろそろ皆のとこにでも戻ろうかね」

一人旅も結構いいものだが、たまに恋しくなる。


『どーせオレが恋しくなって帰って来るんだろ?』

『そーねぇ、青年と一緒に居ると役に立つから』

どーゆーこった、とユーリは苦笑する。

『ま、さ…退屈になったら帰って来いよ』

『はいよー、じゃあ行って来るわ』


一人旅して三ヶ月

「案外俺ったら飽きっぽいのかねぇ」

ふらふらと街に寄って人助けしたり、学んだりとした。

しかし、正直な所あまり発展を感じない。


『退屈になったら帰って来いよ』


「……帰っちゃおーかな」

恋しくなっている心に正直だ

レイヴンは体を起こし、服を払った。

「よしっ、帰ろ!」

子供のような元気のある声を発し、ゆっくりと歩いて行った。


たまにこういうのも、悪くはない。

「ユーリに怒られちゃうけど、ま、いっか」

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