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「あぁ、もう居ないんだっけ…」
ユーリは手の平を見つめた。


『魔導器で寿命が延びたからって、本物の心臓よりはやっぱり持ちが良くないみたい』

レイヴンはそう言った。

『マジかよ……』

唖然とした。

『まぁまぁ、そんなに落ち込まないでよ』

笑うレイヴンが好きだけど、嫌い

レイヴンは騙そうとするからだ

笑って、なかったことにしてしまう

オレはレイヴンの事が好き、だから

簡単にその安心に溺れる

だから、嫌だ

『そのレイヴンの笑い方、嫌い、だ』

『ユー、リ…』

『そんな笑い方すんじゃねぇよ…っ!!』

オレはレイヴンに抱き着いた。


離したら消えちまう

消えないでくれ

どうか、消さないで


『俺、ユーリと会えて良かったわ』

にかっ、と歯を見せて笑うレイヴン

『オレは最悪だけどな』

あの時はシュヴァーンとしてのレイヴンだったから

『そんな事言わないの~』

弄られ担当だった、おっさん

胡散臭いとか、かなり言われてたよな

確かにその通りだったんだけどよ


「道具として、だったもんな…」

レイヴンが亡くなって一年はもう経った。

尊敬する人も居れば、裏切り者という人も居る

彼は確かにそう言われてしまう行動は取ってしまったが

レイヴンとしてならば、立派に生きたのではないかと思う

(オレが言えた立場じゃねーけど…)


でも、レイヴンはあまりにも早く死んでしまった。

それがユーリはまだ受け入れられなかった。

現に居ないのだから、結局目を背けているだけ


『…お、れ様ね…ユー、リと…一緒、に……ぐうぅっ』

『喋んな!!レイヴンっ!!』

『はっ……い、居れて…ほ、んと、に…良か……っ…』

『レイヴン!!おい、嘘だろ…?』

魔導器が埋められた者の運命なのか
レイヴンの心臓魔導器は強く朱く光った
それから徐々に光は消えて行った。

『おい!レイヴン!?ふざけんな、まだ…逝くんじゃ、ねぇよ…っ!』


「くそ、夢に出るなんて…っ!」
ユーリは髪を強く握った。


『…ユーリ、俺の分生きてちょーだい…』

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