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『ユーリ、今日は星がよく見えるかもよ』
テッドが今朝そう言ってくれたのをユーリは思い出した。

「あー…たまにはそういうのもいいかもな」
ふと、ユーリが思い出したのは星の観測

レイヴンを誘ってみようか

ふらふらしているレイヴンを探しにユーリは起き上がった。

丁度冬の時期だ
星を観測するのに最適な時


「おっさん?」
酒場に顔を出せばレイヴンがおっ、と言ってこちらに来た。
「ユーリ君じゃあないの~」
「おう、今日の夜に出掛けるぜ」
えっ、とレイヴンは驚いた表情
「厚着してくりゃいい」
ユーリは酒場から出て行った。

(…どこか遠出するのかと思ったわ)
冬で、しかも夜なんて最悪だ
しかし、遠出でもなければ何をするのやら
椅子に座り、軽く酒を注いだ。


「準備はいいか?」
「いいっちゃあいいけど…どこ行くのよ?」
「行けば分かる」

ユーリは街から出て、坂を登った。
林を抜け、少し長い坂を登り切る二人

「おっさん、空見てみろよ」
「おぉっ…星が…!」
そこはユーリも予想していない程たくさんの星があった。


どの星も個性の形や色を主張していた。
それはまるで、この世界に住んでいる人々のようで

自然というのは、考えさせられることばかりで
しかし、不思議と癒される


「…世界って、まだまだ広いわなぁ…」
「あぁ、そうだな……」

しかし、このテルカ・リュミレースという世界はまだ外を知らなかった。
正確には、知ろうとはしなかった。


「おっさん、寒いだろ?」
10cm差もある相手に引き寄せられる。
「えっ、ちょ…!」
暖かい温度が伝わる。
どくんどくん... 正常な鼓動
「まだまだ窮屈だな」
「へ?」
レイヴンはきょとんとする。
「オレ達が愛し合うにはまだこの世界は狭いな」
「…贅沢だわなぁ」
苦笑しつつ、更にユーリに密着した。

二人は、小さいが、強く光る星を見て笑った。

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ユーリ・ローウェルには会えない

お前は私の物だ、私の道具なのだ

盾突いたらただでは済まさんぞ



「っあ!?」

慌てて起き上がると、外は真夜中
体中が汗だくなのに若干寒い

「…ユーリ……」

実際アレクセイに言われた訳でもないのに
そう脳がアレクセイを創り上げていた。

ザウデ不落宮で海に落ちたと言われている。
あのあと無事とは言い難い

「ユーリ…!!」

体を強く抱きしめた。

アレクセイの道具でしかなかったシュヴァーンを救い出したのはユーリ達なのだ
特にレイヴンを蘇らせてくれたのもユーリで

なのに今、彼は居ない

何も出来ない自分を怨んだ
裏切り、失望させた
一度は天秤にかけた


(結局おっさん、ダメ人間じゃない…)

深い溜息が更に部屋を寂しくする。
本当は寝たくない、ユーリを捜したい。

「帰って来てよ……」

切実な願いだった。
乙女な気持ちとか、そんなのではない

「おっさんが、悪かったから……」

この歳になって涙を流すなんて情けない
でも、青年が本当に大事だった。

仲間、そう 仲間なのだ。
『仲間』だから


(でも…仲間じゃない)

自分でも気付いていた。
彼を愛しているんだと。


だから尚更帰って来て欲しい

「…早めに、帰って来てちょーだいよ…」


レイヴンは夢に落ちた。

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この男は最初から覚悟を決めていたのだ

(あの野郎…!!)


毅然としたもう一人のあんた
飄々としたもう一人のあんた


「レイヴン…」

そう呼べばあんたは否定


「馬鹿野郎が!!」

オレは剣を強く握った。


あんたの目は死んでいた

だからオレが生き返らせてやる

だからオレはあんたの命を預かった


あんたはオレのモンだ



「おっさん」

オレはあんたがいつも使っている小刀を握った。

「オレはあんたが嫌いだよ でも、好きなんだよ」


矛盾しているのは分かっている

分かっている上で、だ


「オレは…あんたのあの時の目が嫌いなんだ
二度とあんなことしてみろ…あんたを壊すぜ」

無理矢理唇を奪うと息がもれた。


「おっさん」

小刀を、目に向けた。

刃があるという恐怖

あんたは震えたな


「…………」


下らなくなって、小刀を捨てた。

「オレはあんたが好きなんだ」

あんたの耳元に顔を近付けた。



「殺したいくらいにな」


そう言って笑うとあんたは目を見開いたんだ。

目が言ってた。

怖い、助けて ってな


そう、それなんだ

あんたの目が恐怖を感じている。

その恐怖感のある目とか

顔とか肌とか、あんたとか




「俺は…青年が…―――。」

それを聞く前にオレはあんたを傷つける。


「おっさん、好きだ」

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