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朝の雰囲気を感じ取り、レイヴンは目を開けた。
時計を見ると昼前だった。

「…………」
ユーリは居なかった。
朝飯は置いてあって、またどこかへ行った様子だった。

(…もう……嫌だ…)
お互いに好き、だったはずなのだ
しかし今は何だ
どこかヤれる場所にでも行っているのだろう

見せ付けられた感があった
ユーリは俺を捨てた
そう見えた、見えて当然だ


「あー…思い込みだった訳ね…」
虚しく、そして悲しくなった。
「…馬鹿よねー…俺のせいなのに」

自分でそうさせたのだ
レイヴンは笑った。

「そーよね…エッチも出来ない相手よりマシよね…」
頬に熱い雫が流れた。
「あはは…何泣いてんだか……」

レイヴンは俯いた。
「…もう、嫌……」
そっと宿から出た。


帝都で川の流れる市民街に来た。
「…俺の顔、やばいわ…」
川に映された自らの姿が惨めだった。
軽く溜息をついて、髪をおさえているゴムを取った。
ばさりと髪が落ち、手櫛で髪を整えた。

「………俺…?」
そこにはレイヴンではなく、シュヴァーンが居た。
しかし、そいつも惨めな表情だった。
泣きそうな顔で俺を見ていた。
溜息をついて、しばらく俺を見ていた。

(情けない…はっきり、しよ……)
レイヴンはべしっ、と両頬を叩いて立ち上がった。


レイヴンは部屋に戻り、ユーリの帰りを待っていた。
ユーリは夕方辺りに帰って来た。
「ただいま」
「……ユーリ」
ユーリはレイヴンに視線を向けた。
「俺ね、もう…青年と付き合いたくない
だから俺、青年とは別れるわ」

本当は好き
だけど、もう嫌なのだ

「…!」
「別れるっつってんの、青年とは反りが合わないから」
レイヴンは座ってた椅子から立ち上がった。
「レイヴン!」
去って行くレイヴンにユーリは抱き着いた。
どこにも行かせまい、そんな勢いだった。
「悪かった……」
ユーリの沈んだ声が後ろから聞こえた。

「俺ね…別に、ユーリとエッチしたくない訳じゃないのよ…」
声が震える
「……エッチが怖い…」
ユーリは何でだ?と言った。
「ア…アレクセイに…ヤられたことが、あって…」

今でも体が強張る
アレクセイはもう居ないのに

「それがまだ…その影響か知らないけど、心臓がたまに、痛くなる」

ユーリは何も言わなかった。
というより、何も言えなかった。

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