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私は感情を剥き出した子供のように

あんたは感情を殺した子供のように




「だから何であんたは周りも見ずに飛び出すんだい!」

「阿呆か、いち早く気付いたから出て行ったまでだ」


二人の口論は激しい


「あんたみたいに後先考えない奴は死ぬよ!」

「その場で後先なんか考えられるか」


結局バール山脈で野宿をとることとなった。
夜が訪れ、辺りが寒くなり始めた。


アルベルは一人、滝のある方向へ足を進めた。
衣服を適当に脱ぎ捨て、冷えた滝に触れた。
髪はふともも辺りまで張り付いていた。


「…はっ………」

冷たさに声を吐いたが、アルベルはそれ以降無言になった。
軽く浴び、滝から姿を現したアルベルはタオルで体を拭いた。


その時、背後から首元に刃を向けられた。
「…何してたんだい」
低い女性の声が後方から聞こえた。
「……テメェの方こそ、何してんだ」
「私が質問してるんだ、ちゃんと答えな」
アルベルは髪から滴る水を払った。
「…浴びてただけだ、お前こそ何しに来た」
「あんたが死んだら戦力として困るからね…不意に敵にやられないよう居ただけさ」


行動を見られて居たという訳か
手元の竜穿が仕舞われる。
武器をわざわざ出して警戒したのは俺をまだ仲間と認めていないからだろう
または敵に


アルベルは鼻で笑い、タオルで腰を巻いた。
「…何かおかしいことがあったかい」
明らかに気分の悪そうな声が背後からする。
「疑ってることに笑える」
「当たり前だろう!?あんたは敵なんだからね!」

そう言った瞬間、ネルの視点が変わった。
咄嗟にダガーを取ろうとしたが、それは遮られた。
ネルの首にはアルベルの左手が首を絞めていた。
男の力は半端なく強かった、が どこか本気ではなかった。
ネルは上にあるアルベルの顔を睨む事しか出来なかった。


「テメェが俺をどう思おうが勝手だが『女王の命令』だっつったのはテメェだろうが
そんな心掛けでこれから先進むんなら死ぬぞ」
それを聞いていたネルは目を細めた。
「…確かに私はそう言ったさ…けど、あんただけはやっぱり許せない」
アルベルは溜息をついてネルから離れた。


「私は…許さないからね…」
「それなら俺も許さねぇ」
乗ってきたアルベルにネルは睨んだ。
「あんたは人間をたくさん殺したんだ!!」
「それはテメェにも言える事だ!」

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