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私は姜伯約、丞相の学友である徐庶殿とお付き合いさせて頂いている。
このことは丞相とホウ統殿しか知らない
正直私は嬉しさでいっぱいだったのだが、これから起こることなど一切予想していなかった。

「……姜維、一つお知らせしたいことが」
羽扇をゆらゆらと、しかし少しぎこちない感じに揺らいでいた。
違和感に心で首を傾げていると、慌ただしくやってきた誰かの姿が
「ああ、孔明様!ここにいらっしゃいましたか!早く飲みに行きませんか!」
やたらと気分高くやって来たのは丞相の妻である月英殿だった。
様子を見る限りでは既に酒を飲んでいるようだ

そちらばかりを見ていると、肩を叩かれた。
驚いて振り返れば徐庶殿が微笑んでやあ、と短く挨拶した。
「孔明、行って来たらどうだい 劉備殿も探していたよ」
「…ええ、そうしましょう」
妙な丞相の態度に私は疑問を浮かべたが、酒宴だということもあってすぐに忘れてしまった。
徐庶殿と共に酒をゆっくり楽しもうと思う

しばらくし、徐庶殿がこちらへ向き合った。
不思議に思っていると即座に接吻されたのだ
理解出来ぬ自体に私は一瞬固まってしまった。
激しくなる舌の絡みに現実を知り、慌てて押し退けようとするが敵わない
私は床に倒され、上からとてつもない勢いで唇を重ねられる。

二人だけの空間だったら良かった
今は二人ではないし、皆が居る前なのだ

ようやく離され、唾液が糸のように伝った。
訳の分からない状態に呆然としていれば徐庶殿は隣へ隣へと楽しそうに接吻して行ったのだ
衝撃的なことが起こりすぎて理解に時間が掛かった。
だが事実だと知ると何だか悲しくなり、静かに酒宴から去った。

その場の乗りもあった為か、誰も変だと言わなかった。
逆にそれが辛く、私がおかしいのだと自分に言い聞かせた。



「はぁ~……いやぁ、困ったねぇ…」
ホウ統はそんな姜維を探していたが、一向に見つからなかった。
「…こちらも、居ませんでした」
同じく諸葛亮も探していたのだが、行方知れず
二人は何とか酒宴から抜け出して来たのだが、周りに話すことは極力避けたい

「私はあちらに行きます」
あまり見ないような諸葛亮の様子にホウ統は笠を改めて深く被った。

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