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酷く傷付いた気がする
気がするだけかもしれないが
着ろ、と示された服を見れば赤い服
それは私がかつて着ていた服に似ているような気がする
そうか、彼もどちらかといえば赤い服だ
全て着替え終えるのに時間が掛かった
左手首を強く握られて骨はあまり動かないし
両足すら頼りにならず、まともに動かせるのは右腕や右手のみ
何とか着替え終わると、狭い部屋に風がおこる
「アレクセイ」
姿を現したのは妖精のような姿の小さい精霊
「覚えていますか?以前はクロームと名乗っていました」
「…ああ、……何となく…」
褐色肌で青い髪のクリティア族の女性で、私の秘書をしてくれていた
「君は…エルシフルの娘、だったか……」
「ええ、でもそれは以前の私」
クロームは浮遊しながら私に近寄った。
「これからシルフと、呼んで下さい」
シルフ、と呟けば頷いてくれた。
「あの、頼み事があるのですが……」
その顔は少し辛そうに見えた。
「…私に出来る事ならしよう」
シルフは近くの机に降り、私に向き直った。
「デュークを、助けて下さい 私はもう随分昔から彼の苦しむ姿を見て来ました
彼は私の気付かない場所でとても辛そうにしているのです」
シルフは、以前のクロームの面影が残っているように感じた。
秘書だった時は軽く微笑む事はしてくれた
今思えば大体が無表情に近かったかもしれないが
「…私は…―――」
「貴方しか居ないんです」
彼女は私に助けを求めていた。
それは見た事なくて
「彼の支えになって欲しいんです
デューク次第だということも分かります…」
「…ああ、構わぬ」
そう言うとシルフは微笑んだ。
痛んだ体中をシルフはあっという間に治してくれた
体がスッ、と楽になって どうやら動けるようになったみたいだ
しかし、左手首だけは 微妙な痛さが残った間々だった。
「…治してもらったのか」
辛そうな顔をしない私にデュークは問うた。
「ああ…非常に感謝している」
そういうと鼻で笑われた。
「…お前には自殺願望がないのか
あったら殺してやろうと思ったのだが」
「……私だけは、そう思ってはいけない…そう考えただけだ
生きてしまったのだから、あの二人に謝るまでは死ねない」
デュークは目を細めた。
「どこまでお前は愚かなんだ、謝ってどうする」
「―――――……どういうことだ?」
気がするだけかもしれないが
着ろ、と示された服を見れば赤い服
それは私がかつて着ていた服に似ているような気がする
そうか、彼もどちらかといえば赤い服だ
全て着替え終えるのに時間が掛かった
左手首を強く握られて骨はあまり動かないし
両足すら頼りにならず、まともに動かせるのは右腕や右手のみ
何とか着替え終わると、狭い部屋に風がおこる
「アレクセイ」
姿を現したのは妖精のような姿の小さい精霊
「覚えていますか?以前はクロームと名乗っていました」
「…ああ、……何となく…」
褐色肌で青い髪のクリティア族の女性で、私の秘書をしてくれていた
「君は…エルシフルの娘、だったか……」
「ええ、でもそれは以前の私」
クロームは浮遊しながら私に近寄った。
「これからシルフと、呼んで下さい」
シルフ、と呟けば頷いてくれた。
「あの、頼み事があるのですが……」
その顔は少し辛そうに見えた。
「…私に出来る事ならしよう」
シルフは近くの机に降り、私に向き直った。
「デュークを、助けて下さい 私はもう随分昔から彼の苦しむ姿を見て来ました
彼は私の気付かない場所でとても辛そうにしているのです」
シルフは、以前のクロームの面影が残っているように感じた。
秘書だった時は軽く微笑む事はしてくれた
今思えば大体が無表情に近かったかもしれないが
「…私は…―――」
「貴方しか居ないんです」
彼女は私に助けを求めていた。
それは見た事なくて
「彼の支えになって欲しいんです
デューク次第だということも分かります…」
「…ああ、構わぬ」
そう言うとシルフは微笑んだ。
痛んだ体中をシルフはあっという間に治してくれた
体がスッ、と楽になって どうやら動けるようになったみたいだ
しかし、左手首だけは 微妙な痛さが残った間々だった。
「…治してもらったのか」
辛そうな顔をしない私にデュークは問うた。
「ああ…非常に感謝している」
そういうと鼻で笑われた。
「…お前には自殺願望がないのか
あったら殺してやろうと思ったのだが」
「……私だけは、そう思ってはいけない…そう考えただけだ
生きてしまったのだから、あの二人に謝るまでは死ねない」
デュークは目を細めた。
「どこまでお前は愚かなんだ、謝ってどうする」
「―――――……どういうことだ?」
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今は凄く怖い
彼らは私を止めるべく、立ちはだかるイエガーに遠慮しなかっただろう
世界を危機に追い詰めるようなことをしたのだから
もし、後一度だけ
一度だけ許されるならば
彼の顔を見ておきたかった
私は本を閉じた。
シュヴァーンは私を憎んでいるはずだ
心臓魔導器を埋め込んでから彼は変わった
私が言える立場ではなかったが
生き生きとしていた碧の澄んだ目は明かりを無くした。
表情も固くなり、パターン化していた。
あの時は気付かなかった。
彼はある時期、本物の道具になろうとした。
私の酷い暴力が怖くなったのか、どうなのかは分からないが
それでも、ユーリ・ローウェル一行に影響を受け
彼は私の知らぬ内に道具になることをやめた
シュヴァーンを生き埋めにし
新しい名、レイヴンとして
そういう意味でシュヴァーンを本来生き埋めにしたのも私
シュヴァーンも
イエガーも
私の手で殺したのと同然だった。
今更だが
本当に悪い奴だ
「洒落にならんな……」
心臓が、偽の心臓が
憎たらしく思えてきた。
彼らも、そう思ったのだろう
不運なことに私は生き返ってしまった。
いや、逆だろうか 正解なんて分からない
今はデュークが帰って来るのを待つしかない
まともに歩けやしない体で出ても死ぬだけだ
せめて、あの二人に謝るまで、死ぬ訳にはいかないのだ
「…は…っ………」
ぺちり、と 軽く頬を叩かれる感じがした。
目を覚ませばデュークが私を見ていた。
「デュー、ク………」
「よく死ななかったな、流石というべきか」
デュークは私の左手首を力強く握った。
「ぐあ゙ぁっ!!」
みし、と音が鳴った。
骨が悲鳴を上げているようだ
それから彼は手を離した。
だらりと私の左手は垂れた。
「……星喰みは消えた」
痛みに息を荒くしつつも、耳は傾けた。
「ユーリ・ローウェル達の手によってな」
どうやら変わった事はそれだけではないようだ
魔導器は消え、精霊が生まれ...
「お前は世界を変えられると信じたのか?」
傷が
「…ああ……」
えぐられて
「…星喰み復活、か……愚かな事をしたな
本を読んだ事で深く理解したろう?」
彼は振り返って私を見た
「お前は最悪な死人だと」
アレクセイは頷いた。
「…そうだ私は 最悪な、死人だな」
彼らは私を止めるべく、立ちはだかるイエガーに遠慮しなかっただろう
世界を危機に追い詰めるようなことをしたのだから
もし、後一度だけ
一度だけ許されるならば
彼の顔を見ておきたかった
私は本を閉じた。
シュヴァーンは私を憎んでいるはずだ
心臓魔導器を埋め込んでから彼は変わった
私が言える立場ではなかったが
生き生きとしていた碧の澄んだ目は明かりを無くした。
表情も固くなり、パターン化していた。
あの時は気付かなかった。
彼はある時期、本物の道具になろうとした。
私の酷い暴力が怖くなったのか、どうなのかは分からないが
それでも、ユーリ・ローウェル一行に影響を受け
彼は私の知らぬ内に道具になることをやめた
シュヴァーンを生き埋めにし
新しい名、レイヴンとして
そういう意味でシュヴァーンを本来生き埋めにしたのも私
シュヴァーンも
イエガーも
私の手で殺したのと同然だった。
今更だが
本当に悪い奴だ
「洒落にならんな……」
心臓が、偽の心臓が
憎たらしく思えてきた。
彼らも、そう思ったのだろう
不運なことに私は生き返ってしまった。
いや、逆だろうか 正解なんて分からない
今はデュークが帰って来るのを待つしかない
まともに歩けやしない体で出ても死ぬだけだ
せめて、あの二人に謝るまで、死ぬ訳にはいかないのだ
「…は…っ………」
ぺちり、と 軽く頬を叩かれる感じがした。
目を覚ませばデュークが私を見ていた。
「デュー、ク………」
「よく死ななかったな、流石というべきか」
デュークは私の左手首を力強く握った。
「ぐあ゙ぁっ!!」
みし、と音が鳴った。
骨が悲鳴を上げているようだ
それから彼は手を離した。
だらりと私の左手は垂れた。
「……星喰みは消えた」
痛みに息を荒くしつつも、耳は傾けた。
「ユーリ・ローウェル達の手によってな」
どうやら変わった事はそれだけではないようだ
魔導器は消え、精霊が生まれ...
「お前は世界を変えられると信じたのか?」
傷が
「…ああ……」
えぐられて
「…星喰み復活、か……愚かな事をしたな
本を読んだ事で深く理解したろう?」
彼は振り返って私を見た
「お前は最悪な死人だと」
アレクセイは頷いた。
「…そうだ私は 最悪な、死人だな」
心臓から電流のような痛みが走り、目が覚めた。
デュークに会った日以降、目が覚めなかったようだ
何日食べてないのか分からないが、空腹をかなり感じた。
胸を見れば包帯の上からだというのに、嫌な紅が漏れている。
どうしようもないから起き上がった。
すると懐かしい物を見た。
私の着ていた服だった。
汚く、破けたり、血だらけではあったが
起き上がった時に気が付いた、肩が軽いな、とか
常に鎧とか、堅苦しい物ばかり着ていたから体が軽いように感じる
足を床に付ければ冷えているそれ
しかしそんなに寒くはないから、部屋を見回す
「ヘルメス式…心臓、魔導器……」
私に埋めるだけの必要な資料だけ
きっとデュークは、どちらでも良かったのだろう
これで私が生きようと、死のうと
空腹を満たすため、アレクセイはとりあえず探した。
多少食べたとしても、何も言われないだろう
テーブルにあった小さなサンドイッチを一口
久々に物を食べて何だか満たされた。
動いて気付いたが、必要な治療以外はしてくれなかったらしい。
右手や右腕は唯一動くが、左手や左腕はきっと骨が折れている。
足は動くことは動くが、非常に痛い
しかしそれでも、生きているだけ良いと思うのがいいのだろうか
非常に痛むところだけを自らで治療した。
そもそも治癒能力はあまりない
だから動けるようにはなったが、その場しのぎのようなものだ
特に今の状態では自らの治癒能力はあてにならない
近くにあった本を掴み、タイトルを見れば“災厄”と書かれていた。
古びた本だが、しっかりと中は読める
「…その名も“星喰み”……」
イメージ図なのかは分からないが、海洋生物を連想させた。
小さな窓から見える空には、このイメージ図と似たような魔物が浮遊していた。
「あれが………」
自分が生み出してしまった災厄
世界を変えられる、そう信じてやってきた事が
逆に追い詰めるようなことをしてしまっていた
絶望感が、のしかかってきた
ページをめくればザウデ不落宮は星喰みを封印するものだと分かった。
それを自ら起動させてしまい、危機を呼び起こしてしまった
愚か過ぎて目眩がした。
私が最も、謝らなければならない者
許してもらえるなんて思ってはいないが
イエガーは、本当に死んだのだろうか
あの時の私は、狂っていたから
足止めくらいになればいいと思っていたから
デュークに会った日以降、目が覚めなかったようだ
何日食べてないのか分からないが、空腹をかなり感じた。
胸を見れば包帯の上からだというのに、嫌な紅が漏れている。
どうしようもないから起き上がった。
すると懐かしい物を見た。
私の着ていた服だった。
汚く、破けたり、血だらけではあったが
起き上がった時に気が付いた、肩が軽いな、とか
常に鎧とか、堅苦しい物ばかり着ていたから体が軽いように感じる
足を床に付ければ冷えているそれ
しかしそんなに寒くはないから、部屋を見回す
「ヘルメス式…心臓、魔導器……」
私に埋めるだけの必要な資料だけ
きっとデュークは、どちらでも良かったのだろう
これで私が生きようと、死のうと
空腹を満たすため、アレクセイはとりあえず探した。
多少食べたとしても、何も言われないだろう
テーブルにあった小さなサンドイッチを一口
久々に物を食べて何だか満たされた。
動いて気付いたが、必要な治療以外はしてくれなかったらしい。
右手や右腕は唯一動くが、左手や左腕はきっと骨が折れている。
足は動くことは動くが、非常に痛い
しかしそれでも、生きているだけ良いと思うのがいいのだろうか
非常に痛むところだけを自らで治療した。
そもそも治癒能力はあまりない
だから動けるようにはなったが、その場しのぎのようなものだ
特に今の状態では自らの治癒能力はあてにならない
近くにあった本を掴み、タイトルを見れば“災厄”と書かれていた。
古びた本だが、しっかりと中は読める
「…その名も“星喰み”……」
イメージ図なのかは分からないが、海洋生物を連想させた。
小さな窓から見える空には、このイメージ図と似たような魔物が浮遊していた。
「あれが………」
自分が生み出してしまった災厄
世界を変えられる、そう信じてやってきた事が
逆に追い詰めるようなことをしてしまっていた
絶望感が、のしかかってきた
ページをめくればザウデ不落宮は星喰みを封印するものだと分かった。
それを自ら起動させてしまい、危機を呼び起こしてしまった
愚か過ぎて目眩がした。
私が最も、謝らなければならない者
許してもらえるなんて思ってはいないが
イエガーは、本当に死んだのだろうか
あの時の私は、狂っていたから
足止めくらいになればいいと思っていたから