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「レオ、気をつけろよ!」
骸骨達は一斉にこちらへ飛び、スティーブンさんは靴を鳴らした。
僕は後ろへ走り、建物に隠れながら戦闘の起こった方向に眼を開いた。
氷の散らばる音がし、破片がこちらにまで跳ね返って来た。
被害は無いのだが2体に苦戦しているようでなかなか仕留められないようだ、ならば
スティーブンさんを除いた全員の視界をシャッフルしてやる!
瞳に熱を持ったが出来る限り骸骨達を狂わした、1体につき瞳は3つだから2体ならその2倍だ

「エスメラルダ式血凍道…ランサデルセロアブソルート!(絶対零度の槍)」
パリパリと音がしたと思ったら、男の骸骨が氷漬けにされていて止まっていた。
その後ろに女の骸骨も道連れとなっていて、随分な広範囲の領域を氷一面にしてしまった。
それを彼が一蹴したらしく、氷の槍が骸骨達を砕いて散らした。
周りを見渡してからスティーブンさんの所へと近寄った。
「スティーブンさん!こっちです!」
「ん?おぉおおっ」
彼を引っ張り、一番初めに僕が目覚めた裏路地へと走った。
曲がり角にソニックが見え、手をぷるぷると振って誘導してくれていた。
「何だ何だっ!?何が─────」
「この空間が崩壊してるみたいなんです!早くっ!」
骸骨達の作った偽物のヘルサレムズ・ロットが黒く溶け落ちながらか蒸発していた。
スティーブンさんを誘導し、渦巻くそれに飛び込むと何かに勢い良くぶつかった。

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此処は…裏路地?目を擦り、冷え切った体を起こして立ち上がった。
どうも気分が朦朧としていていけない、確か僕はライブラの本部にあるソファーで寝ていたはずだ

(何だってこんな場所で寝てたんだ…?)

考えても分からないし、寝てからどれくらい経ったのかも知る術がない
体中を調べれば金もないときた、財布もあるだけでやはり金は一切なかった。
盗まれたと思ったが、財布以外に隠している金すらもなくて動揺した。
何がどうなってこうなったのかは理解出来ないが、行動せねば情報も得られない
路地を抜け、大通りに出たはいいが…ヘルサレムズ・ロットのどこかなのだろうが全く見覚えがない
どうしてこうなったのかという疑問は考えるだけ無駄だ、とにかく知ってる場所まで行こうと歩き始めた。

しばらく歩いたところで僕は自然に後ろを振り向いたその時だった。
ドンとぶつかり慌てて姿勢を直しながら謝ると、そこには少し不満そうなスティーブンさんが居たのだ
「えっ…スティーブンさん!?」
彼だけではない、彼の後ろに背の低い…まるで車椅子を座っているかのような影が見えて
僕の妹であるミシェーラがそこに居たのだ、何でこんな所に!?どうして連絡も無しに…

「うるさいな……」
「スティーブン…さん?」

現状に理解が出来ない、どういう経緯でミシェーラとスティーブンさんが出会ったのか
僕に話も通さずに、一体どうなっている?これはどういうことだ

「レオナルド!」
「わあぁっ!?」

視界が遮られた、聞き覚えのあるこの声は…
「スティーブン…さん?」
目の前に居るスティーブンさんとミシェーラ、そして僕に背を向けて立っているのは…スティーブン、さん?
なぜスティーブンさんが2人居るんだ?でもそれを気にしたらミシェーラが居る意味も分からない
「少年、本当に見えているものはそれであっているのか?」
「え…えぇっ!?」
よく見るとそれは異形な形をしていた、スティーブンさんによく似た偽者は舌打ちをした。
『ダメだ、本者が居ちゃ意味ネェよ』
『……あら、もう失敗?』
スティーブンさんとミシェーラに化けていた奴らは徐々に化けていた姿を戻して骸骨のような容姿になった、骸骨なのに目玉が付いていて更には額にも目玉がある。
そいつらの胸部には大きな口もあり、鋭く尖った牙がいくつもあった。
『夢喰イの俺達に見つかったんだ、化けの皮剥がしただけでも優秀じゃネェか』
『珍しいわネ、きっと今夜はパーティよ』

異形だなんて全く気付かなかった、完全にスティーブンさんとミシェーラだと思ってた。
この眼を持っていながら、どうして気付かなかったんだろう
周りは幻想で、確実なのは僕とスティーブンさんと骸骨の男女2体だけ
おかしな場所はいくらでもあった、金もなければ見たこともない街並み

「レオ、落ち着け」
にっこりしているスティーブンさん、余裕がある。
「見抜けなかったのは仕方がない、俺もきっとそうなったら警戒しなかったと思うしな」

『なぁ…もう話し合いはいいか?夢だけじゃ腹一杯にゃならねェんだよ』
痺れを切らした男の骸骨は胸部にある牙、彼らにしたら歯を撫でていた。
『アタシ、あっち食べたいわ』
女の骸骨はスティーブンさんを指し、照れているのか知らないがモジモジしている。
やはり異形からしてもスティーブンさんはイケているのだろうか、そう考えると溜息が出た。

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複雑な気持ちを抱きながらレオナルド・ウォッチは霧の掛かった夜空を見上げて長く息を吐いた。

元々一般人だった僕だが、きっかけもあって裏社会にも通ずることのある秘密結社ライブラに身を置くこととなった。
そこまでは覚悟の上だ、己の持つ神々の義眼のことも知りたいし妹であるミシェーラの視力も戻したい
これが一般社会では分かり得ないことだということも、だからここで協力して行こうと決めたのだ

そんな時、ライブラの中でも最近よく関わってくれる人が居た。
名前はスティーブン・A・スターフェイズ、ライブラの副官的存在であり頼りになる人だ
彼はスーツを着込んでおり長身で端正な顔立ちをしており、いかにもモテそうなオーラが漂っている。

彼と関わって来て疑問を抱いたのはそれからしばらく経った時だったはずだ
スティーブンさんと一緒に居たいとか、ちょっとしたことなのに微妙に贔屓してくれたりとか
そういう部分ばかりが目に付き、女の子でもないのにちょっとした恋みたいなものを感じた。
まさか、と葛藤していればスティーブンさんから具合が悪いのか?などと聞かれて悩む時間すらない
だからその辺曖昧になっていたし、認めていいのかも分からず過ごしていた。
はっきり言えば僕は女の子が好きだし、結婚とかどんなもんなんだろうとか思って

なのに、何なんだろう
この悶々とする、どうしようもない気持ちは

「わあぁぁあっ!!!」

思わず書類をぶちまけ、舞う紙の白がちらつく
きちんと寝てないから思考がおかしいんだ、きっとそうだ
ソファーへ横になり身を縮こませてそのままで居ようと思ったが、さすがにこれでは怒られると思って起き上がった。
怠い体に鞭を打って散らばった紙を集めて行く、よく考えたらそこそこ量のある紙を散らしてしまった。

「どうした?」

声のする方に顔を向けると、悩みの種となっている本人が不思議な表情で入って来た。
ドキリとしたがここで下手をしてはならない、というかスティーブンさんが近くに居たなんて知らなかった。

「あ、や、すみません!足がもつれて紙が…」
「大丈夫か?ケガは?」
「ケガはしてません、もしかしたら眠いのかもしれないです…」

眠いのは事実だ、思考だってこんなにおかしい
後頭部を掻きながら紙を拾うと、いきなり体が浮いた。
どうやら担がれたらしい、驚いて声も出たし何枚か紙も落としてしまった。
ゆっくりとソファーに降ろされ、寝たらいいよと微笑まれながら彼は紙を拾い始めた。
そんな、と起き上がって紙を拾おうとすれば靴裏が見えて先程と同じ笑みだというのに怖く見える。
ひんやりとした冷たさを微妙に感じて動けなくなってしまった、何気に酷い

「しかし随分散らしたね」
「だから拾いますって…」
「動くなよ」
「はい……」

しばらくしてようやく拾い終わったらしいが、また何か違った音がした。
何だろうと顔だけ音のある方に向けると、どうやら飲み物を用意しているようだった。
「少年は何がいい?」
「じゃあ…コーヒーでお願いします」
「顔に似合わず意外だな」
「何気に酷いこと言ってません?」
コポコポと沸き立つ音がし、嗅覚がよい匂いを察知し始めた。
はい、とマグカップを渡されたので礼を言ってから匂いを嗅いだ。
コーヒーに詳しくはないが、この苦味を感じさせる独特の香りが非常に楽しませてくれる。
「俺さ、コーヒーあんまり好きじゃないんだよ」
「そうなんですか?それこそ意外ですね」
スティーブンさんのマグカップをよく見てみると、匂いや見た目からしておそらくミルクティーを淹れたのだろう
「飲めなくはないんだけどね、でも…せっかく飲むなら甘い方が好きかな」
「はは、なんだか不思議ですね」

どうやらイメージ的に普段コーヒーを飲んでいそうだと勝手に思い込んでしまっていたらしい
スティーブンさんは当然立派な大人だし、だからこそ大人らしくコーヒー…と印象付いていたみたいだ
「コーヒーっぽい印象あった?」
「むしろコーヒーをたくさん飲んでいそうです」
そうか〜と言いながら後頭部を掻いて笑っている、その笑顔に思わずつられて笑った。
上手く言えないのだが喋っていると楽しいし、もっとスティーブンさんのことが知りたくなる。

「少年、飲んだら少し寝たらいい」
「……そう、ですね。ちょっとだけ寝ます」
「おやすみ」
「はい、おやすみなさい」

もう一口飲んでからソファーへ横になり、良い香りに包まれながら思考を静かに止めていく
段々と暗闇への休息に呑み込まれる、僕は最後に靴の音を聞いてから意識を飛ばした。

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