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僕はレオナルド・ウォッチ、秘密結社ライブラという組織に所属してからしばらく経っていた。
軽くこなせる任務を僕は任されていた、神々の義眼を持つとはいえ一般人に変わりはないという理由からだ
とはいっても、僕に適した任務にだって優しいのから難しいものまで当然ある。

「少年」
突如呼ばれて僕は慌てて起き上がった、どちらかと言えば飛び上がったという方が正しいか
どうやら少し前に終えた任務から帰って来ていた後、ソファーで寝転がった上に寝てしまっていたらしい
「は、はいぃ!!?」
勢いソファーから崩れ落ちてテーブルに体ごとぶつかった、非常に痛い
「〜〜〜ッ!!す、みま…せん……何ですかッ…!?」
痛みに耐えながらも僕は取り繕う、声を掛けてくれた相手はスティーブン・A・スターフェイズさんだ
大丈夫か?と苦笑しながらも体勢を直す手伝いをしてくれた、何度も謝りながらソファーに座り直した。
「この始末書のまとめ、してくれて助かった。本当はザップが!…やるべきものだったんだが、奴は今別の任務についててな」
「つまり尻拭いですよね……」
まあそう言うなよ、とわしゃわしゃ髪を荒らされた。
それでも何かすることも特別なかったから別に構いやしないのだが
「ところで少し」
スティーブンさんが喋り掛けてきたところで僕の腹が盛大に鳴った。
「……すみません…」
「ちょうど良い、食べに行くぞ」
「え?それってどういう……」
スティーブンさんが振り返り、少し微笑みながらこう言った。
「前々から君を飯に誘おうと思ってたんだよ」
「ひょっとしちゃって…奢りですか?」
頷くのを確認したところで僕はすっ飛んだ、スティーブンさんとは食べに行った事が無かったからだ。

彼の車に乗って数十分した所の高級レストランに来た。
「……ここは」
「シャレてるよな、入るぞ」
「わわわ、こんな品の高いトコに入れませんって!」
だからだよ、と流し目で答えられてそのまま行ってしまった。
今更引き返せるはずもなく、渋々とスティーブンさんに着いていった。
中に通され、引かれた椅子に着席してから辺りをそっと見回した。
静かだが穏やかな音楽が流れ、夜を迎え始めている風景に思わず息が漏れた。
相変わらずの濃霧だというのにとても綺麗で、こんな所もあったのかと驚いた。
「どうだ?」
にっこりと笑うスティーブンさん、これに満足しないという方が無理だ

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「何を苛立っている」
普段も鋭いが、今は特に鋭く尖るような目つきだ
その唇は開かない、しかし嫌な雰囲気が流れているのは分かる
「用がないなら出て行ってくれ、掃除しなきゃならないんだから」
ここでどう言えば、彼の表情は和らぐだろうか
俺は感情豊かではない、だからどうしたらいいかも分からない

「……会いたかっただけだ」
目的を一つ、ただ残念なのは彼が笑っていないこと
溜息をついている、俺はどうしたら良いのか
「女の匂いを付けて来ないでほしいんだよね、とても不愉快になるんだ」
「…そんなことで怒っていたのか?」

ぐわっとザエルアポロの霊圧が跳ね上がった。
ピリピリとしているらしい、随分と気が短いようだ
投げ付けられた試験管が顔に当たり、それが落下して派手に割れた。
「いい加減にしてくれ!お前の顔なんか見たくないって言ってるんだ!!」
ザエルアポロが怒っている、なぜだ…なぜ怒っている?
「出て行け」
背中が見える、俺は一度だけ瞬いて踵を返した。
このまま部屋に居ても彼の機嫌は直らないだろう

廊下を歩き、気持ちがぽっかりあいた気分になる。
彼は連行した女に怒っているのか?それとも匂いか?
分からない、そんなことで怒るような奴だっただろうか
だが今確実に分かることは、彼と接触してもそれは収まらないということだ

目をつむり、静かに息を長く吐いた。
思い出すあの霊圧、何だか苦しくなる。
胸が、キュッと締め付けられる。
それに戸惑いながらも、夜の砂漠へと向かった。




「ザエル、アポロ、さまっ」
「ザエルアポロ、さまっ!」
ピョンピョンと跳ね、白い何かが舞っている。
ゆっくりと起き上がった、カッとなってからどうなったんだっけな
「……ティッシュ?」
目の前に舞い降りたそれを掴むと、柔らかい素材で出来た紙だった。
頬に伝う濡れたそれに二人は気付いたらしかった。
くしゃりと軽く握って、悪態をついたが目元に一度だけ押し当てた。

(泣いていた…?この僕が?)

はっきりと涙が滲んでいた、同時にぽっかりとしたような気持ちになった。
それがまた何だか気味が悪くて、僕はティッシュを適当に投げた。
片付けなければ、ゆっくりと起き上がって溜息をついた。

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ああ、とても腹が立つし研究に身も入らない
何本目の試験管を割っただろうか

「ザエルアポロ様っ」
ピョンピョンと跳ねるルミーナにベローナ
視界の邪魔で仕方がない、蹴っ飛ばして試験管をもう一本割った。
行き所のない怒りが溢れて止まらない

「くそっ」
試験管を足で踏み潰し、拳を作った。
誰に対しても怒りをぶつけられないから尚更だ
僕の怒り、それは同じ十刃であるウルキオラに対してだった。
奴は藍染様に恭順な姿勢だ、それは分かる。
問題は内容だ、連行した人間の女である井上織姫と共に居る。
そこはまだ我慢出来る、だが監視担当にウルキオラというのに納得が行かない

「…はっ」
手で握り潰した試験管の硝子をパラパラと叩いた。
人間の女、ノイトラやグリムジョーが喜んで見に行きそうだ
自宮に居てはイライラするばかり、立ち上がって部屋を出た。

静かな部屋を求めた、しばらく誰とも干渉したくはない
膝を抱えてるようにして椅子へ座り、顔を沈めた。
しばらくこうして一人になって自身を落ち着かせた。




霊圧を探っても、探っても曖昧な間々だ
ウルキオラは、ザエルアポロを捜していた。
彼の宮へ向かったが、従属官であるルミーナとベローナが居るだけだった。
「ザエルアポロはどこだ」
「分かんない?」
「分かんない!」
びたんびたんと足元で跳ねている、これでは捜しようもない
一瞬光る何かを見つけ、それを摘み上げてよく見てみた。
「試験管…」
白い床だった為に分かりづらかったが、試験管の硝子がかなり散らばっていた。
歩けばパリンと割れて行く、一体何本割ったのやら
行方も分からないのなら待つしかないのだが、あまり長い時間は居られない
彼がよく座る椅子に触れ、ゆっくり座って待つことにした。

何を考えているのか、相変わらずよく分からない
それは相手も同じだろう、だからこそこうして

「なぜ君が居るんだい」

目を開ければ、扉には捜していた人物が立っていた。
「こんな所に用はないだろう」
彼は硝子の上を構わず歩き、割れる音を響かせた。
なんだかその様子に俺は歯痒さのようなものを感じた。
「ザエルアポロ」
彼は無言でこちらを見て来た、それは鋭かった。
なぜ、そんな表情をするというのか
俺は顔を合わせたかっただけだったというのに

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