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(御客様、一名入リマス―――。)


「アレクセイ……」

顔を上げれば、そこには綺麗な顔立ちをした人が居た。
二十歳にも達していないというのにしっかりした子だ
カツ、と靴の音を鳴らして歩いて来た。


『来てはなりません、姫様』
「いいえ」

こちらへ来てはいけない

『いけません』
「いいえ」

来てはならないから


「アレクセイ」

花のような彼女の服は、まさにぴったりだった。
似合うでしょうか、と尋ねに来た頃が懐かしい
しゃがんだ彼女は私の顔を両手に沿えた。

『駄目です、姫様』
「アレクセイ」

彼女のはっきりした顔が目の前に現れた。
私はなぜだか、視線を反らせなかった。


「あなたは誤りました」
『……』
「もっと良いやり方を考えられなかったのですか?」
『……』
「あなたがいつ、ああなってしまったのかは分かりません」
『……』
「でも、ですね…」
『…はい』
「私、アレクセイがくれるあのキャンディ」
『えぇ…』
「好き、だったんです、よ……」
『……』
「いつも、楽しみ、でし…た……」


『姫様』

懐から袋に包まれたキャンディを取り出した。
『いつもあなたの為に、取り寄せてました』
「信用を失わない為、ですか?」
『半分はそうです…もう半分は…』
アレクセイは彼女の手を離させた。
それから袋を彼女に押し付け、離れた。

『もう、時間のようです』
スッ、と離れた。
「! ま、待って下さい!」
彼女は慌てて私を掴もうとする。

『立派に、生きて下さい…姫様』
「アレクセイ!!」

彼女の声は、広く響いた。



『好きでした』



それが裏目に出る事は哀しかったけれど

私はもう、引き返せない位置に居たのです。



コロン... コロン、コロン...

キャンディがボロボロと零れ始めた。


「美味しかったです、よ…」

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