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チリリッ
「うっ」

左胸を押さえた
その手の平は鼓動を示す


「…?」

やけに胸が熱い
息がしづらい


青年―――ユーリ・ローウェルは顔をしかめた。

「…肋間神経痛、か?」


肋間神経痛は
呼吸をすると心臓辺りがズキズキ痛んだりするもの
その原因はストレス、不自然な体勢、運動不足等だが

そういうものの痛さではないのだ


「はっ…何なんだっ…!」

個室だから良かった

ユーリはベッドに倒れ込んだ
呼吸が荒くなってくる
目を見開いて、激しく空気を欲した。


苦しい、苦しい、苦しい、苦しい、苦しい、苦しい!
誰か、助けてくれ、助けてくれ、助けてくれ!!

心臓付近の服を強く掴んだ

「はっはっばっ!あ゙ぁ゙っ!!」

ユーリは自然と目に涙を溜めていた。
とにかくこの苦しみから逃れたかった。


「ユーリ!?」
バタンとドアが荒々しく開かれ、レイヴンが駆け寄って来た。

「レ、イヴ…ッ!?」
ユーリは更に目を見開いた。
「ユーリ!」
その様子にレイヴンは焦った。
「っ…ゔあ゙あ゙ぁっ!!」
部屋にその声はこだまする。

それは、自分の身にも起こった事があった。
「まさ、か…ユーリ……!」
「レイヴンッッ!ぐっ…あ゙…」
ユーリは意識を飛ばした。


レイヴンは、自分の身体に異常を感じていた。
常にこの心臓魔導器は小さく、赤く光っているのに、今は色を失っている。
しかし、心臓は…生きている。

ベッドへ寝かせ、今は正常な鼓動をしているユーリの心臓にほっとする。
「もしかして…」
もしかしなくても、そんな感じがする。
「今の俺の心臓は…ユーリのなのかな」
ユーリの心臓を確認したが、外側からでは分からなかった。

「少しでも楽になろうとしたから、か…?」
俯いて、レイヴンは唸った。


「…レ、イヴン…?」
もぞっ、とユーリが動いたのが確認出来た。
「ユーリ…!」
レイヴンはすぐさま反応した。
「レイヴン……」
しばらくお互いを触れる事で確認した。

「…泣きそう、だぜ?」
ユーリがレイヴンの顔に手を添えた。
手には、彼の少し生えた髭の感覚がした。
「ユーリ…」
レイヴンは目を細め、目の奥から何かが漏れ出た。

しばらくして落ち着いたレイヴンに、ユーリは微笑んだ。
「オレ、な…死ぬかと思ったんだ」
そのぐらい胸がキリキリ痛んだ、とユーリは言った。

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