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(御客様、一名入リマス―――。)


「アレクセイ…」

元々暗い部屋は彼の漆黒の姿を更に染めた。
ブーツの音がなぜだか高く響き、私は震えた。

『ローウェル君……私に何の用かね』

後ろに回された両手首にがっしりとした手枷が嵌められていて、あまり動けない。
彼は私を見えない所から見下しているようだった。

私が俯くと、彼は膝をついて私と同じ顔の高さまでにした。
暗くて見えなかった彼の顔がはっきりとした。

間近で見ると整った顔が鮮明に映し出された。
私は唇を緩めた。

『恨みを…晴らしに来たのか?』

「…そうじゃねぇよ…!」

ユーリは勢いよく私の胸倉を掴んだ。
ずい、と引き寄せられて私は息を飲んだ。

「あんた、信用されてたのに…どうして誤った……」
彼の口から出たのは私の考えと一致した。

『帝国に、絶望した…ただそれだけのことだ』
「あんたならっ!」
激しく揺さ振られ、彼がぼやけて見える。

「あんたなら…変えてくれるって、誰もが望んだんだぜ!?」


誰かに似ているようだ

私に反抗する、誰かに


『懐かしいな』

「………」


今更どうこう言ってもどうしようもない。


『ローウェル君、君の親友をきちんと支えてやりなさい』

「おい…」

『私は、愚かで犠牲をたくさん作り、このような結果を生んだ』

「テ、メェ…」

『それと―――――。』

私は微笑んだ。
しかし、それもすぐ歪んだ。


『…レイヴンを、頼んだ…』

「おいっ、アレクセイ!?」



私は暗闇に掻き消された。

これ以上は話をさせてはいけない、と


続く階段は下り方向

さぁ、私に傷をたくさん刻むが良い

いくつでも受けてやろう


私が、この場所で生きているうちなら

いくらでも

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