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「何度も寝返りされちゃオレだって寝れねぇぜ」
苦笑する青年に私もつられて苦笑した。
「すまないな、私のせいで君の睡眠を妨げてしまって」
「あんたなぁ……」
そう言ったら呆れられてしまった。
「そんなんだから前向けねぇんじゃねぇか?」
相変わらず痛い言葉がたまに出て来る


「……って、まぁ今はそれとして、何で寝れねぇんだ?」
「…まだ、不安と緊張が溶けないのだよ
中々体が安定しないようだ…」
ふぅん、とオレは呟いた。
「でも、いい加減食えるもん食っとかないとやべぇぞ…?
……オレ知ってんだよ、あんたが食べた後戻してるとこ」
そう言うとアレクセイは少し驚いた様子でオレを見た。

「…気にすることではない、以前もよくあったことだ」
「以前、ねぇ…今は昔じゃねぇんだけどな
それ、克服してもらうぜ 途中でぶっ倒られても困るからな」
アレクセイは苦笑してまた一口飲んだ。




翌朝、魔物の親玉を仕留める為に『凛々の明星』は森を歩いた。
「待って、静かにっ」
カロルが皆を止めた。
小さいながらに首領として任せられる彼の背は立派だった。
逆にそれがまたアレクセイの眉を潜める原因にもなったが
「来るよ!」
魔物の親玉、それから親玉に従う魔物が数匹現れた。
「やってやらぁ!」
ユーリが鞘をぶん投げ、駆け出した。
彼に続くようにジュディスも槍を一回転させ、走り出した。
雄叫びを上げてラピードも攻撃を開始した。

アレクセイも負けられず、仲間と魔物の行動見て動いた。
しかし魔物の親玉だけはやはりてこずっていた。
隙を見て回り込み、切り上げたが浅かったようだ
「しまっ…!?」
「!…アレクセイっ!?」
片足の爪でえぐられるように蹴り飛ばされた。
「ぅぐっ、ゔ…ゔぅっ…!!」

随分と有り得ないミスを犯してしまった。
以前の自分なら考えられない事だった。



私が怪我で呻いている間に何とか親玉を仕留めてくれたようだった。
あまりの不甲斐なさに私は自分で呆れた。

右目の瞼が傷付いてしまい、包帯で巻かれた。
首領や仲間に申し訳なく謝ったが、もういいから、と言われてしまった。


平衡感覚が分からず、ふらふらとしてしまう。
さっさと寝てろとローウェル君に言われ、従った。

(…………)

虚しさ、悔しさやらが纏わり付いてくる
目を細めたら、目尻から一筋の雫が頬を伝った。

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