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日は沈み、奥が橙になって来る。
そんな景色を見て、一つ視線を向ける。
沈みかける太陽が、映っている。

確かにあれは、かつて俺の全てだった人であった。
デュークは後のあの人を手に入れて、

俺には届かなかった。
あの人の、全てが



相変わらずメンバーは動揺していて、
少年少女達は特にそわそわしていた。
冷静な、ユーリやジュディスも よく見れば困惑そうだ。


結果はどうであれ、アレクセイを想っていた事は確か、なのに

(…俺が、一番近くに居たのに……)
デュークに嫉妬していて。

デュークの性格も含め 立場上、アレクセイに会う事は難しいだろう
会うべきか、会わざるべきか

正直、分からない

気持ちは凄く、会いたい
だって、あの人が生きてる

でも、怖い
あの人はあの人でも 俺の知らないアレクセイ

そしてまた、アレクセイとデュークは…


ぞっとした。




メンバーから抜け、探し回り、聞き回り
しかし一向に見つからない


そんなとき
下町の外れにある大木の近くにあの人が居たのだ

あの人の紅
フードの男

そしてまた一人の男が俺に視線を送った。


二人に近寄れば、デュークは顔だけ向けた。
「何しに来た」
低く通る声が、どことなく突き刺さる。

「…も、一度…会いたくて……」
小さく、途切れ途切れであったが伝えた
未だにあの人が居るなんて思えなかったから

「お前の知るアレクセイはもう居ない」
そう告げられ、胸が軋んだ。


なんで、なんでこんなにむねがいたいのだろう
しんぞうがほんものじゃないから?いや、そうじゃない


「デューク、」

あの人の声が
俺じゃない人の名を呼ぶ


確かに遠く、遥か遠い人になってしまったらしい
自分を見てくれていた紅の双眸は無く、
自分を呼び掛けてくれていた声は似てて異なる。


「この街は、とても素敵だと…感じる
だが、もう 二度と来たいとは思わない」
あの人が、帝都を捨ててしまった。

「そうか、なら、早く出るとしよう」
デュークは車椅子を動かし、俺を見た。

何も言わずに、また前を向いて帝都をあとにした。


吹き抜ける風なんてどうでも良かった。
あの人があの人でなくなったのは明白だ

俺を知らないアレクセイ
帝都を好まぬアレクセイ


心の何かが崩れ落ちた。


もう、永遠にあの人とは関われない


しばし瞬きをし、魔導器に触れた。





早く、壊れてくれ

そう願った。

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