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オレとあいつが知り合ってから二年程経った。

以前は立場は違えど、同じ騎士団に所属していた。
当時のオレは何かと貴族って括りだけで苦手だった。
だからあいつには興味はなかったし、関わりもなかった。


なのに、いつの間にかオレはあいつを好きで居て
あいつが以前、どうしていようが笑顔にさせたかった。

そりゃあいつはたくさん悪い事をした。
あいつだって分かっている。

だからこそ、オレがパートナーとして居る意味がある。



「ローウェル、終わったぞ」
凛々の明星のデータのまとめ役として彼は今活躍している。
「了解、悪いな」
まとまったデータを移動させる。
「これくらい、どうってことはない」


流石、リタが驚くだけある。
今まで本棚なんか驚く程にすっからかんだったのが、
同棲し始めてからはアレクセイ専用本棚化している。
リタとも連絡を取り、精霊について話し込んだり

ああ、共通する会話が出来るリタが羨ましい
本を開いたって文章はすっ飛ばしに絵を見たりするだけ
全く持って話に乗れないのは明白であるのだ


本当に、騎士団長って仕事はこれ以上忙しかったのだろうか
イメージ的には書類がどっさりあって
判子をしつこいくらいに押して
万年筆とかで文字を滅茶苦茶書いたりとか…
たまには顔を出して修行だってするだろうし
下の者を相手にだってするだろう


騎士団長を辞めた以降、やはり体力的にも落ちたらしい
とはいっても、まだ若そうに剣を振る辺り現役か

「今日は時間あるし、どこか食べ行くか?」
本当か、と嬉しそうな表情でオレを振り返る。

「今日下町でちょっとした祭りがあんだよ
もうそろそろ始まってる頃だと思うぜ」
「祭り…、私が行って…良いのか?」
不安そうに言うアレクセイをオレは苦笑した。
「大丈夫だって、心配すんな」

下町の連中だって、分かってくれているはず


以前に比べ、多少裕福な家庭も増えた。
けれど、下町を愛し続けてくれている。
屋台は並び、どこからも声が響く

「何か食いてぇ物あるか?」
「…あのケーキっぽいのが」

ケーキ?と思って首を傾げればクレープのことだった。

「手持ちケーキ?」
「クレープ、な」

屋台へ向かい、一覧を指差す。
「おじさん、オレはチョコバナナ生クリームクレープで」
アレクセイは?と聞けば眉を潜めて唸るだけ
「な、何でも良いのか?」
頷けばアレクセイはじゃあ、と呟いた。

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