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紅い、海を見た

それがなんだか、心地好くて

体が自然と楽になるのだ




今、私は縛られている。
がっちりと縄が肌に食い込んでいる。

「私を殺してくれ、誰でも良い…」

その願いを何度発しただろうか

「死にたいんだ!早く殺せ!!」

分厚いドアからは、反応がない

「誰か……殺せ…」




俺は、絶望した

彼は俺以上に、死を望んでいた。

何を話しても死にたいとしか言わないのだ


彼の狂う様にあの時、気付いていたら

この未来は変わっていたかもしれないのに






世間の声は、様々だった。
殺せ、という声 利用出来るという声

それは俺にとっては悲しいものでしかなかった。
俺自身は、生きて償って…それから幸せを掴んで欲しいと


「おっさん、まだ諦めてねぇのか?」
青年の声に考えから呼び戻され、顔を見いやる。
「当たり前でしょ、大将は俺の大切な人なんだから…」
「本人は“死にたい”って言ってるらしいな」

アレクセイがどうも苦手なユーリはそう言った。


「…そうね、あんまりユーリとはこの話したくないわ」

正直、俺としては最近ユーリがやけに…アレクセイを死刑に導こうとしている気がするのだ


「……はっきり言う、まだ主従ごっこするつもりか?」
「!」

頭に温度が急激に上がった。
凄く、ドクドクする。

「オレは忠告してんだ、アイツはどうやっても助からない」
「そんなん分かんないでしょ!?
預言者でもないクセに、偉そうなこと言わない方が良いぜ」

その直後、ふわりと甘い匂いが舞った。
「二人共、うるさいわよ?」
青い女性、ジュディスちゃんがにっこりと笑っていた。
瞬時に苦笑したが、隠し切れていなかっただろう

「ちょっと、そこらへん歩いてくるわ」
逃げるように店から出て行った。






気が付いた時には後悔の道を歩んでいた
だけど、それはレイヴンの為だと
彼に言わなければ一人で抱え込んでしまう

「貴方の考えも、分からなくないわ」
ジュディは先程レイヴンが座っていた席についた。
「でも、ダメよ 貴方の考えが入り過ぎ」
「許せねぇんだよ…あんなヤツのどこに……」

良いところなんてありゃしない

正直、オレはアイツが早く死んで欲しいと願ってしまっている。

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