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俺は徐元直、最近は大規模な戦もなく やや平穏な日々を送っていた。
「わんわん、こっちだよ わんわんっ」
いい年した男が一人、民家の近くでしゃがみながら鳴いていた。
もしそこに何もなくて鳴いていたのなら完全に不審者だ
しかし俺の目の前には犬がいる、愛らしい柴犬だ

つぶらな瞳がたまらなく、くりんと巻かれた尻尾
犬を見ると何かを思い出しそうになるが思い出せない
それはともかくとして、俺はその犬を必死に招く
なぜか、理由は“可愛いから”だ

「…わんわん、わーん」
二度目の挨拶、犬は瞬く 俺に不思議な視線を送る。
トコトコとこちらに歩いて来る、可愛いなぁ
軽く手を叩いてこっちだよ、と意思表示をする。

「じょぉおしょおどのおぉお!!」
騒がしくやって来た人物に柴犬は驚いてどこか行ってしまった。
「あっ!」
あっという間に見逃してしまい、俺は軽く溜息をついた。
隣にやって来た人物に肩を竦め、中腰から立ち上がる。
「何だい姜維殿…」
俺の落胆さに気付いた姜維殿はしょんぼりした表情になった。
「あの…お邪魔しましたか?」
彼の手元にはホカホカの肉まんがあり、確かそれは期間限定だったはずだ
それを数日前食べたいな、と何気なく言ったのを覚えていてくれたみたいだ

しかし犬を驚かせ、俺にとっての癒しが逃げてしまったのは残念だ
「ああ…わんわんが……」
呟くように少し落ち込む、あの犬の手触り

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