忍者ブログ
New
(10/18)
(10/18)
(10/18)
Search
[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ] [ 7 ]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「で、なぜお前の部屋なんだ」
明らかに不満そうな声が後ろから掛かる。
広場から自宅までグチグチと言われてはこちらも腹の虫が収まらない
「そもそもお前な、約束した時間から一時間は経ってんだぞ?」
リドウに悪びれた様子はない、呆れた。
「仕方がないだろう、ファンは大事にしないと…ね?」
ね?じゃねぇ、とも言いたかったがどうも反省しないみたいだ
元が捻くれているし、中々直せるものでもない
無論、それは俺にもいえることだ

「はー…もういいよ、もういい」
敵対しているわけではない(と思いたい)ので好きにしろ、と言ってソファーへ横になった。

暗闇の中で理想を描くが、やはり簡単には行かないものだ
俺だって、まだ分からない


しばらくしたところでふと目が覚めた。
するとリドウは床で寝ていた。
普段の疲れでだらし無くなるのは分からないこともないが、彼が床で寝ることに違和感を持った。
関わり始めたばかりで彼をよく知らないからというのが一番なのだが、と思ったところでハッとする。

(……これが、お前か)
まるでうずくまるかのようにして寝ているリドウに近寄った。
それからリドウを抱き上げ、自分が使用しているベッドへと寝かせた。

(……ちっとは自惚れていいのかねぇ)
酒をグラスに注ぎ、夜景をぼうっと眺める。
深夜も列車は止まることなく動き続けている。
光も、まるで星の数ほどあるために一つ消えても気にならない
(明日も休みみたいだし、俺も寝るか…)
少々早い時間だが、あまり問題はないだろう
残った酒を飲み干してから再びソファーに転がり、夢に沈んだ。


朝を知らせる柔らかい光が差し込んで来た。
せっかくの休日だし、起きたくないと思ったが大事なお客様がいる。
起き上がり、さすがに起きて何かしているかと思いながらも自室行けば彼はまだ寝ていた。
起こすのも何なので、軽く水分を摂取しながらふと彼を見る。
かなり深い眠りのようで、彼のまぶたが簡単に開くことはなさそうだ

大人、だというのにどこと無く幼さを抱く
見た目ではない、印象なのか… いや、雰囲気だ

彼の頬に甲で静かに触れた、更に髪にも指で絡める。
愛しさを感じずにはいられなかった、彼をもっと幸せにしたい
道は難解であろうが、共に歩めたらそれ以上の喜びはない

軽く頬に接吻し、寝顔をやや堪能してから俺はキッチンに立った。
さてと、逃げられる前に足止めになる朝食を作らねば、と俺は意気込んだ。

拍手[0回]

PR
遅い、遅い遅い

予定より十分は早く着いた。
だが、相手は予定の時間どころか一時間は過ぎている。

こんなに時間にルーズだとは思わなかった。
いや、むしろプライベートだからか?

思考を巡らせても一向に分かるわけがない
ユリウスのように付き合いが長かったら分かるのだろうか
といっても、ユリウスとリドウの仲は良いとは言い難いが

(すっぽかされたかな……)
グラスも、もう空だ 氷が澄んで見えている。
追加しようか悩んだが、どうも来る気配はなさそうだ
連絡ぐらいしろよな、と思いつつ溜息をついて立ち上がった。

バーからしばらく行ったところで人だかりが出来ていた。
何かの小さいイベントか?と思ったら…見覚えのある姿が
中心に立つ男は紛れも無く、リドウだった。
ヤツは呑気にファンクラブの女を相手にしてやがった。
しばらく見ていたが、変わる様子もないようなのでその場を去った。


トリグラフの広場へ行き、ベンチに座った。
(は~ぁ…なんであんな男を好きになったんだろうな)
しかもあのリドウだ、正体を知らない女だったらさぞ嬉しかろう
付き合いはまだ浅いが、以前の間々なら一蹴されていたことだろう

恐らく、似ていたのだ
一年程前の俺と同じく誰も信じず、頼らず、見せずにいた
見た目だけ大人になって、置いていかれる心

俺はそれを見過ごすことが出来なかった
むしろ、見過ごしてはいけないと思った

本当の意味での独りを知っているからこそ、出来る範囲で手助けしてやりたい
彼は特に、見てやらなければならないと そう感じたのだ

(…まぁいいか……)
彼にとって、それが癒されることなら出る幕はないのかもしれない

思考を巡らせ、少々酔いながらも心地好い風に当たりながらも自然に身を委ねていると、
「ぐおっ!?」
軽く、なのだろうがまるでえぐられるかのような殴りを頭部に受けて目を開いた。
目の前には少々機嫌の悪そうなリドウが立っていた。
「こんなところで何を呑気にやってんだ」
苛立つような仕草に俺は思わず肩を竦めてしまった。
「おいおい、俺が悪くなっちゃうワケ?」
「約束の場所に呼んだクセに来ないなんて言語道断だね」
やれやれと思いながらも場所を移そう、ということになった。

拍手[0回]

指で丸を上手く描けないのは、なぜだろう
途中で軌跡が変わり、それは楕円となった。

はみ出た

いくら丁寧に書いても、最初とは寸法が少々違ったり
機械を使用しない限り、正確な丸は不可能だろう


そんなエレンピオスに雨が降った。
降り続いて何時間経ったかなんて覚えていないが、立派に窓は雲っていた。

「よっ、リドウ」
ふと、丸について思考していた脳がぴたりと停止した。
背後から近寄る気配に俺は小さく息を吐いてから振り返った。
「何しに来た」

半人前の商人がわざわざ関わってくるなんて、どうなっているのか
それに、なぜクラン社に入って来られたのかと問いたい
「久々にこっち来てお前に会わない、なんて…バカらしいだろ?」
「頼んでないね」

いつものように返す。
そもそもなぜ俺に関わろうとしてくるのか
それに、女ではなく年下の男だ

「ピーチパイ、食べるか?」
土産なのか知らないが、ケーキボックスを見せるようにした。

拍手[0回]


Copyright © Labyrinth All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog 
忍者ブログ [PR]