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コホン、とわざとらしく咳払いをした魔女に俺は怪訝な表情で座るように指示された場所へ胡座をかいた。
「ようこそ〜!マギルゥ奇術団の座談会へ!」
『ちょ、ちょっとマギルゥ…!今日は奇術団じゃないでしょ…!?』
舞台袖からそんな会話が聞こえたが、苦笑しつつ聞こえぬフリをして舞台を眺めた。
「おお…そうじゃった…… え〜…マギルゥとその仲間達による六々トーク♪」
『あれ?僕の貰った台本だとタイトルが違ったような気がしたんだけど……』
『この紙切れ1枚って台本だったんですか…!?早速行き当たりばったりじゃないですか…!』
漏れて聞こえる仲間の声に、内心大丈夫かと思いながら徳利を取り出した。

「まず初めにお断りじゃが、今から出てくるものは全て幻覚という名のイメージなので細かい所は気にするでないぞ♪」
さらっととんでもない事を言っているが、どういうことだ?と不思議に思いながらもそのまま猪口に心水を注ぐ
ジャラジャラと音がしたので目をくれると、アイゼンが出したであろう鎖がカーテンを広げていた。まさかの人力、いやこの場合は人力というのか?
パッとカーテンが十分に開き切って照明が舞台に照らされたかと思えば、中央にどっかりと座ったシグレの姿があった。
「なっ……!?シグレ…!?」
姿勢を変え二刀小太刀を構えようとする前に空を掴み、手元を見るとさっきまであった得物が姿を消していた。
「お前の探し物はこれか?」
舞台上から兄貴の声がし、振り向けばさっきまで此処にあった物がシグレの両手に瞬間移動していた。
舌打ちをし大太刀を構えようと柄を掴んで鞘から取り出そうとするも、カチカチと鳴り何かが突っかかっているようだった。
「ぐっ…何、なんだよ…!!」
「よく聞け、俺も未だに理解出来てねぇがここでは一戦交える事が出来ないらしい」
納得したくはないが、シグレが言うのだからきっとそうなんだろうし既に試したんだろう
一呼吸おいて溜息をついた。マギルゥが冒頭で言っていた言葉の意味がここで理解出来るとは
「俺の號嵐も盗まれたしな!どうにもならない以上は愉しむしかないだろ」
「元気よく言う事じゃないぞ……」
「…とまぁ、早速仕組みを理解してもらった上で進めるぞー?」
舞台袖から真横に顔を覗かせたマギルゥがそう言い、一度舞台が暗転した。

もやもやしながらも“斬る”ことが適わない以上、癪であるが此処は楽しむしかないのだろう
再びパッと舞台が照らされたかと思えば司会にはマギルゥとその横にはシグレが居て、雛壇には見慣れた連中がそれぞれ座っていた。
「さて始まりました!お兄ちゃんLOVE♡LOVEトーク!!」
「なんでまたタイトルが変わってるのよ……」
上段に座るベルベットが呆れ、隣に居るアイゼンも分からんと答えていた。
「あの……私達は…」
中段にはテレサとオスカーが座っており、とても困っていそうだった。刃を交えた事はあるが、まともに喋った記憶はない
「お兄ちゃんラブ、ですか…… つまり姉上が兄上だったら、ということでしょうか?」
「ええと、おそらく違う気が……なぜ呼ばれたのでしょう…?」
下段にはライフィセットとエレノアが座らされており、唯一兄弟姉妹には該当しない2人でまとめられたようだった。
「始まる前からドタバタしてたけど、楽しみだなぁ〜」
「そもそも何をするんですか?幻覚だったらこの状況はとても良くないのでは…」
エレノアの言う事はごもっともだが、マギルゥが絡んでいる以上は何かあるんだろう
そもそも師はあのジジイであるし、事実武器も没収されてしまっているのでどうしようもない

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