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「どうしてアンタはそうやって!」
睨みながら怒鳴る女性の声が朝からしている。
その対象はやはり、彼女にとって嫌悪感を持たれていると思われる男性だった。
「俺がどうしようと勝手だろうが」
そう返しながら彼もまた、彼女を睨んだ。
それに負けず、再び何かを言っている様子に俺達は溜息をつく
「相変わらず馬が合いませんね」
珍しくミラージュもこう言うのだから相当だと思ってもらって構わない
突っ掛かるという言い方は何なのだが、大体ネルからである。
だがそれは大抵アルベルが団体行動を乱すからであった。
「テメェ…いつもうるせぇんだよ!お前は一体何様なんだ!?いつも俺に構いやがって!」
珍しくアルベルの怒声も聞こえる、これはかなりの大喧嘩に違いないのでは
すたすたとアルベルは去って行き、ネルも後を追ったように見えたがやめたようだ
マフラーで口元を隠し、横髪で様子は見えなかったが俺は何かが引っ掛かった。
ネルもまた彼とは逆方向に行ったようなので俺はミラージュと目を合わせた。
「一肌脱ぎましょうか」
「お、そりゃ助かるぜ」



捜しに歩くと、やはり寂しそうにしている彼女の姿を見つけた。
それから隣に座り、ちらりと見れば瞳が潤んで見えた。
「…ごめん、ちょっと、泣きそうなんだよ」
素直にそう言った彼女に俺は後頭部を掻いた。
「ハンカチなんて持ってねぇからな、少し許せ」
腕を取り、それから肩を引き寄せて胸に寄せた。
心に決めている相手にされるのが一番だろうが、それは無理だろう
彼女は抵抗せず、俺の胸元で静かに泣いていた。

しばらくすると、彼女は小さくありがとうと言って離れた。
「原因を聞いても良い感じか?」
「……単なる嫉妬だよ、アイツ…何だかんだで人気あるし、さ」
再び寂しそうな表情を彼女は見せ、俺は軽く溜息をついた。
ネルの気持ちも、アルベルの考えも、分からないでもなかった。

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呆れていたが、視線に気が付いて目を合わせた。
「…何だい?何かあるなら言いなよ」
促しても喋らない彼に、私は眉をひそめた。
しばらくした後に彼が唇をゆっくり開いた。
「なるほど、な……だがもっと分かりやすく言え」
「…は?」
いきなり納得し出した彼にこちらはついていけていない
「俺と結婚したいんじゃないのか?」
その一言に全ての思考回路が停止した、何を言っているんだ彼は
言葉を発せずにいると、彼は後頭部を掻いた。
「先にきっかけを作られちまうとはな」
「ちょ、ちょっと」
彼の中で何かが進んでいるようで、思わず焦った。
が、いきなり真剣な表情になってこちらを見てきた。
「ネル、俺と結婚しろ」


卒倒、という表現が正しかった。
私は恥ずかしさのあまり段々と熱が上がり、様々な考えを巡らせてしまって意識を一時的に失ったらしい
目が覚め、何があったのかと悩んでから思い出してまた一人焦った。
正直彼の言葉があまり記憶になく、何となくではあるが確実にプロポーズはされた。
ガチャ、と扉が開いて視線を向ければ悩みの種である本人が横になっている私の横の椅子に座った。

「いきなりぶっ倒れるとはな…そんなに嫌だったかよ」
「ちょっと、待って…そういうことじゃない」
考える時間が欲しいのだが、そんな余裕もあまりなさそうだ
何だか相手もどこと無く寂しそうに見える。
「そ、れにしたって…急過ぎる」
こんなことで倒れてしまう己にも呆れたが、それ以前に

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そういえば戦争状態になってから、結婚式など開かれることはなかった。
アーリグリフと友好関係になってからは、再びそういう話も聞くようにはなったが

「ネルはいつ、結婚するの?」
唐突な質問に私は目を何度か瞬きさせた。
マリアによって出たその疑問に、ソフィアもフェイトも興味津々だ
「それは…ほら、相手も居ないんじゃ出来る訳無いだろう?」
苦笑しながらさりげない否定を組み込むが、マリアは引かなかった。
「確実なデータはないけれど、戦争状態にあった国及び星の住人は早いうちに結婚すると思うのだけれど…違う?」

思わず言葉を失った。
そうだ、早い人は二十歳を迎えるか迎えないかで結婚をしてしまう
それに比べたら確実に私は晩婚に入る

「それは…確かにそうだけど」
隠密として陛下に仕え、毎日が死と隣り合わせだった自分にとって結婚など考えもしなかった。
「ちょっと意地悪だったかしらね、でもそろそろ考えていいんじゃない?」


ソフィアの夢物語を聞いた後に気分転換で庭園を歩いた。
結婚、というキーワードが頭を巡る。
(そういえばアイツはこういうこと、考えてたりするのかねぇ)
私が思い浮かべるのはかつて敵国の長だったが、今は仲間の一人であるアルベルだ
同世代で同じ星に住んでいるし、彼の考えを聞いてみたい気もする。

悶々と渦巻く思考の間に、声が聞こえたので振り返った。
「おい、何をとぼけていやがる」
「とぼけてなんか…いるか」
「大丈夫かお前」
問おうとした本人が現れ、散らかった考えを何とかまとめた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、あんたは結婚って考えてる?」
「あ?いきなりどうした」
怪訝な表情になった彼は私を心配そうに、いや哀れむように見ていた。
「何だいその目、やめてほしいね」
「マジで阿呆になっちまったのか?」
脛を蹴り、彼が崩れ落ちた。

「――――で、何だってんだ…」
痣になったところに彼はヒーリングを掛けながら近くの長椅子に座った。
「マリアに、いつ結婚するかって聞かれてさ そういえばそういうことも考えなきゃなって思ったんだよ、だからあんたはどう考えてるかなって」
「さあ、な 相手が居もしない時点で想像するだけ無駄だ」
「あんたねぇ…」

彼も私も、年齢的にはもう結婚していていい歳だ
なのである程度考えてたりするかと踏んだが、全くその様子のないアルベルに思わず溜息をついた。

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