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「ネルさんはどうですか?」
目をキラキラと輝かせてソフィアはそう尋ねて来た。
いきなり振られた話題に私は首を傾げた。
「違うわよソフィア、ここじゃ白馬どころかエアードラゴンになるわよ」
遮るようにマリアが人差し指を立てて満足そうに語る。
「ルムじゃダメなのか?」
フェイトも話に入っていたようだが、いまいち全体が掴めない
エアードラゴン?ルム?アーリグリフに関しての話題だろうか
「私に分かることなら話そうかい?」
尋ねると、どうやらソフィアが馬を見たいようなのだ
納得した私は案内すべく厩舎へと向かった。

「シーハーツは馬なんだね」
「アーリグリフのルムやエアードラゴンのようにはいかないけど、馬だって利己なんだよ」
しばらく歩いていくと、厩舎の屋根が見えて来た。
ちらほらと馬も見えて来たようで、ソフィアが嬉しそうな声を上げた。
「わあーっ…お馬さんがいっぱい…!」
子供並の感想じゃないかとフェイトに突っ込まれていたが、即座にソフィアは睨んでいた。
こんなに近くで見るのは私も初めて、とマリアも笑みながら呟く

「ところで、馬で何をする気なんだい?」
あ、とソフィアが思い出したように手をポンとつく
「ネルさんって、好きな人にはどう迎えに来てもらいたいですかっ?」
「む、迎え…?」
フェイトは頭を抱えており、マリアも肩を竦めていた。
「さっきから何をどうしたいかさっぱりなんだけど…」
「そうね…簡単に説明すると―――――。」

白馬に乗った王子様がお姫様を迎えに来るのだという
物語も何もないが、そのような光景をソフィアが夢見ている。らしい

「だって素敵じゃないですか!遠乗り出来ちゃうんですよ?」
「え、そこなのか?」
思わずフェイトがソフィアに振り返って突っ込んでいた。
「と・に・か・く!そこにロマンを感じるんです!」
彼女はとても満足そうに拳を握っていた。
何を燃えてるんだよ、と呆れたフェイトを再び睨んでいた。

「結婚式や大々的なイベントとかだと、確かに馬は使われるねぇ」
本当ですか!?と食いついた彼女の瞳は本気だった。
「馬車に新郎新婦を乗せて行くんだよ」
「あ、新郎が白馬で迎えには来ないんですね」
迎えに行ったあとにどこへ行くんだよとフェイトがぼやくと、何度目かも分からないソフィアの睨む顔が見えた。



多分エリクールでは馬の代わりにルムに乗ってるようです…ね
勝手に馬を出現させちゃいましたがそこはご愛嬌で (´Д`;≡;´Д`)

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眼前に広がるは女の集団と黄色い悲鳴
噂を聞いたのか、フェイトやクリフに集まっていた。
しかしそれ以上に注目を浴びていたのはアルベルだった。
此処はアーリグリフ、まだ冬の時期真っ只中で雪が降りしきる。
そんな中で、女性陣はそれに圧倒されていた。

「ソフィっ…マリアでもいいから…ちょ、助けっ!」
揉みくちゃにされているフェイトだが、ソフィアの顔が非常に冷たい
明らかに寒さのせいではなく、この状況が原因だった。
「私、先に行ってるから」
フェイトを置いてマリアと共にソフィアは宿へと向かって行った。
比較的冷静だったマリアだが、彼女もまた同意して行ってしまった。
二人が行った後でミラージュを見ていれば、彼女は微笑んでいた。
「お邪魔をするのも良くないですし…私も先に失礼します」
その台詞を聞いたクリフは苦笑し、彼女を呼び止めようとしたが無視を決め込まれていた。

そうして私は、アルベルを眺めた。
適当にあしらっているようだが、そういえばと考えた。
(アイツ…人気あるんだね……)
性格は置いといて、顔は確かに良いのだろう
しかし、そうだからといって見ていて楽しい光景ではない

「まあ、頑張りな」
身動きの取れない男性陣にとりあえず言葉を掛け、私もミラージュ達の後に続いた。




「全くもう!フェイトったら何でああやって…!」
と、怒りながらぶつぶつ言っていたのはソフィアだった。
「そういえば珍しくミラージュも突き放したわね」
「呆れていただけですよ」
確かにクリフとミラージュは相棒という間柄だったはずだ
同性ならともかく、異性だと少しはそういった目で見るのだろうか
それはどちらかに聞かなければ分からないが、今のところ恋愛対象というよりは相棒なのだろう

ソフィアは見ていて分かるがフェイトに好意がある。
マリアは分からないが、クリフが肩を竦めていた光景からしてクォーク内でも複雑な事情があるのだろう

なら、私は?
そういえば恋愛なんて、したことがあっただろうか

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フェイトならきっとこんな感じなのだろう
『ネルさん、いつもありがとうございます』
と、にこやかな笑顔で彼は送るに違いない
いきなりではあるが、問題はないだろう
『えっ、急にどうしたんだい?』
『日頃の感謝を込めて、プレゼントしようかと思って』
――――…とか何とか、上手く行きそうで腹立たしい

クリフからしても渡しやすいだろう
『よっ、これやる』
気軽にポイッとプレゼントを投げて渡し、彼女がそれを受け取る。
『これは?』
『マニキュアだよ、ネルに似合いそうだと思ってな』
――――…と軽い感じに言えてしまうから腹立たしい

いや、俺は俺だと納得させる。
だが、それならば俺はどう彼女に渡せばよいのか
面と向かって?誰かを経由して?俺らしさとは?
というかなぜ俺は買ってしまったんだ?と、違う迷路にも迷い込んでいた。

「あんた、そんなとこで何してんだい」
この声は、俺を悩ませている張本人だった。
俺は瞬時にプレゼントを仕舞い込み、振り返った。
「俺のすることに興味があるのか?」
「さっきから突っ立ってるから、変だと思ったんだよ」
服装も妙だから不審者に思われて面倒を作りそうだ、と追加される。
睨むと睨み返される、どう考えても後者の発言は余計だろう
「さっきから、か それまで俺を見てたってことか」
「見てるわけないだろう、突っ立って無駄な時間を過ごした訳じゃないんだし」
「テメェ……」
言い返そうと思ったのだが、堂々巡りな口喧嘩が未来に見えていたので口をつむいだ。

これではプレゼントどころではない
彼女が俺を嫌っているのは暗黙のルールのようだった。
なのに、分かってて買ってしまった俺は阿呆としか言いようがない
それでも何か、彼女に対して納得させた何かが欲しかったのだろうか

外に向かって歩き続けると、彼女はなぜかついて来た。
しばらくしても足音はやまなかったので振り返ってみると、やはり彼女が居た。
「ついて来るな」
「聞けないね、勝手に外へ出られちゃ皆が困るよ」
軽く顔を左右に振った、それから彼女に近寄った。
「これやるからさっさと行け」
仕舞い込んだマニキュアを押し付けるように手渡し、再び歩いて行った。
「あ、ちょっと!待ちなって!」
右腕を掴まれたが、俺は振り返らなかった。
「何なんだいこれ、あと勝手な行動は許さないよ」
「テメェにやるつってんだ、それに外には出ねぇから付き纏うな」

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