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「大将、怪我ないですか?」
心配な面持ちで顔を覗き込んで来たのはレイヴン
今はもう私を『騎士団長』ではなく、『戦友』としてお互いを見ていた。
「あ、あぁ…気にするな」

久々に暇が取れて彼を手合わせに誘っていたのだ
彼はギルドに居る間、かなり弓としても実力を伸ばしていたようだ
器用に私を翻弄し、近距離では剣で、遠距離では弓を使用してくる。

「…情けない話だな、私はまだやれるというのに」
自信をなくしているアレクセイにレイヴンは眉を八の字にした。
「そんなこと言わないで下さいよ
見た限りでは体が鈍っているみたいだけですから」


実は、しばらく無気力な時期がアレクセイにはあった。
彼の“仲間”とやらに、かなりうだうだ言われたのを覚えている。
しかし、それでもアレクセイには生気というものがなかった。

それが約三週間程続いたものだ
貧弱した肉体から今、以前の自分自身を形にしている所だ


「…よし、行くぞ」
「え!休憩し始めたばっかじゃ…」
朱い目で軽く睨まれ、レイヴンは肩を竦めたが、立ち上がった。
「もう…相変わらずなんだからー」


修行を終え、アレクセイはきちんと体の様子を見てからベッドへと入り込もうとした。
しかし、ズキリとふくらはぎが痛み、アレクセイはそれに顔をしかめた。
「…筋肉痛、か……久しい刺激だな」
ぼすっ、と体をベッドに投げ込んだ。
「……私は…」

手の平を見つめた。
こんなところに答えなんてある訳がないのに



「…シュ、ヴァーン……」

ぽつりと呟いてみた。
今はもう亡き彼


「どうしました、アレクセイ」
「!?」

レイヴンなのに、レイヴンではない彼
とすると彼は――――。

「俺を、呼んだでしょう?」
「…い、いや…それに、シュヴァーンは…私が、生き埋めに…」
彼は首を左右に振った。
「確かに、シュヴァーンは死んだ
しかし、心はレイヴンと通っている
…今夜は、俺で居させて下さい」


色々と蘇ってくるようで
アレクセイは心が震えた。



「」

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