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「私からの約束は、すぐにネルの元へは行かないこと」
「…会うなってことか?ふざけたこと言ってるとテメェでも斬るぞ」
私は最後までちゃんと聞いて、と言いながら睨んだ。
ふて腐れているが、後頭部を掻くだけに終わる。
「大怪我を負っているの」
「アイツが…!?」
ガタッと勢いよく立ち上がったが、私の約束を思い出したようで何ともいえない表情で座り直した。
一気に紅茶を飲み干し、音を立ててカップを置いた。
「ネルに会うのはもう少しだけ待っててほしいの、その間は此処に居て構わないから」
と伝え、何とか彼に落ち着いてもらうことにした。

「ところで…本当の目的は別にあるのでしょう?」
「……ねぇよ」
その低く呟かれた一言に私は驚いた。
てっきり国からの伝達などでこちらに来ていて、ネルに対してかこけていると思っていたのだが
「本当に、ないの?」
「二度も言わせるな」
そっぽを向き、彼はソファーへ横になった。
ということは、ネルに会うためだけに来たということになる。
彼とは長く居たわけではないが、あの長旅から少しは丸くなったのかもしれない

「怒らないでほしいんだけど、聞いてもいいかしら」
「怒らせるような質問か、嫌な予感しかしねぇな」
反射して聞こえる声は篭っていた、しかし私は何だか嬉しかった。
「あなたはネルのこと、好きなの?」
率直に聞くと、彼は起き上がって私を横目で見て来た。
「…………ああ」
悩んだような様子が見られたが、素直に真実を語ってくれたようだ
それは私が彼女にとってかけがえのない親友だと聞いていたからだろうか
「そう、安心したわ」
微笑むと、彼は怪訝な表情を見せた。
「何だかんだでお互いがお互いを上手くサポート出来ているからよ」
軽く鼻で笑われたが、視線を逸らすように窓際を見た。
素直じゃないな、と思ったがそれはネルも同じだった。

そんな時、失礼しますという声と共にノックがされた。
私はどうぞ、と返事をして入らせた。
アルベルを見て目を見張ったが、私に向き直った。
「ネル様が目を覚まされました」
「ありがとう、すぐ行くわ」
部下が下がり、彼はソファーから立ち上がった。
「さて、行きましょう」
目が合い、軽く頷いてから彼と共にネルの元へ向かった。

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