忍者ブログ
New
(10/18)
(10/18)
(10/18)
Search
[ 635 ] [ 634 ] [ 633 ] [ 632 ] [ 631 ] [ 630 ] [ 629 ] [ 628 ] [ 615 ] [ 606 ] [ 605 ]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

じ、と指輪を改めて見てみる。しかし初めに見た感想とそう変わりなく、紅くて女性に贈り物したら喜ばれる一品だろう
だがどうしても引っ掛かる。ロクロウやダイルは明らかに苦い表情をし、一切触ることもしなかった。
業魔からは気味悪がられている、触るのも躊躇うほどの何かがあるのだろう
本当に“浄化の指輪”だとしたら、業魔化を抑える作用でも働く物なのだろうか。だとしたら、欲を抑えられる業魔からしたら息苦しいことこの上ないことだろう
(でも、俺の憶測が合っているとすれば────。)
指輪を戻す際、指先に何かが触れた。埋もれてて初めは気付かなかったが、小さいメモが出てきた。
「指輪を嵌める指一覧?」
「またド丁寧に指定してくるものですな」

『私は右手の人差し指へ
貴方に左手の人差し指へ』

顎に手を添え意味をくみ取る。おそらくこの指輪の持ち主は意中の相手に指輪を贈ろうとしていたのではないだろうか
そして最後の一言はおそらく叶わなかった、そんなところだろう
しかし、意中だとしたらなぜ左手薬指でないのか。そもそもこんなに指輪が必要なのか、人間は指輪を多く贈る習慣などなかったはずだが
「ま、とにかく良い物を見せてもらえたのでド感謝しますよ。噂話ではなかったと」
「それでも結局どういう指輪かは分からないままだがな。念のため、何か分かったら伝える」


分からないなら試してみるしかないわけであって、この指輪にそう悪い何かがあるとも思えない
思わずため息が出た。指輪を嵌めるのはいいが、一体どこの指に?とはいっても指輪なのだから正直どこに嵌めても同じかもしれない
あのメモにわざわざ指定されてあった意味とはなんなのか
あまり深く考えず両手袋を外し、利き手ではない右手の人差し指へ嵌めてみた。すると、紅く光っていた宝石が中でゆっくりと渦を巻き始めた。
(な……んだ、これは)
力がみなぎって来ただとかそういう感じではないが、身体が見えない何かに覆われているような
覆われているという表現は正しくない、のだが言葉にするならそれしか当てはまらない
「おーい、アイゼン?…って、まだその指輪見てたのか?」
俺を探しに来たであろうロクロウが顔を出した。しかし指輪を見た途端にまた複雑そうな表情になる。
「……ロクロウ、試しに嵌めてもらっていいか?」
「断る。なんか嫌なんだよ、その指輪」
不機嫌さを隠さないロクロウ、この指輪を前にすると非常に彼らしくなくなる。確かに斬ることが欲となっている彼を抑え込む物だとしたら本能的に拒否して当然だ
「そうか」
ほんの少しだけでも嵌めてもらえれば良かったのだが、無理強いはしたくない
他に嵌めてもらえそうな業魔など居ただろうかと唸っていると、後ろに立っていたロクロウが軽くため息をついた。
「その指輪、そんなに大事な物なのか?」
「大事……違うな、可能性があるんだ」
可能性って何のだ?と聞き返された。俺はそこで気が付いた、俺自身が落胆していたことに
ロクロウに少しだけ期待していたからだ、この指輪が本当に“浄化の指輪”であるならばもしかして

「それは、嵌めたら教えてやらないこともない」
「…分かった、気は進まないがその可能性ってのも気になるしな」
ロクロウがあれほど嫌がっていた指輪を手にとった。とは言いつつ表情は変わっておらず、嫌そうなままではあるが
「左手の人差し指に嵌めてみてくれ」
「お?薬指じゃなくて人差し指でいいのか?」
「……お前、俺と婚約するつもりか?とはいえ、俺は右手の人差し指だがな」
ちらっと右手を見せた。よく分からんが分かった、とロクロウはゆっくりと左手の人差し指へ指輪を嵌めてみた。
嵌めたからといって早々何かが変わることはなく、ロクロウは不思議そうな表情で突っ立っていた。

拍手[0回]

PR
Comment
Name
Title
Font Color
Mail
URL
Comment
Password
<< Catharsis4  HOME   Catharsis2 >>

Copyright © Labyrinth All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog 
忍者ブログ [PR]