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ローグレスの酒場にて、うーんと悩んでいる割には嬉しそうな表情のライフィセットがイスに座って本を読んでいた。
その本は分厚くページの抜けが多い上に古びており、元々は血翅蝶のボスであるタバサの物であった。
しかし調べても分からない上に専門家ですらもお手上げのようで、たまたまその本に興味を持ったライフィセットがそれを譲り受ける事となった。
ライフィセットの隣で心水を嗜みながらもアイゼンは一緒に本を覗き込んでいた。

「分からない事だらけだけど、見ていて楽しいなあ」
ライフィセットは呟きながらページをめくった。結局次の内容を見ても何が書いてあるか分からないが、ライフィセットの好奇心はこのメンバーの中なら誰よりもダントツだろう
「それにしても全く読めねえな、古代語ですらないならそりゃ血翅蝶も諦める訳だ」
タバサを一瞥すると軽く微笑まれた。俺はグラスに心水を注ぎ、もう一度覗き込んでみた。
「あれ、これって確か…ジ……ジパ…」
地図を指差し欠けている文字を思い出そうとするライフィセット、此処は確か
「それは俺のご先祖が居たジャポン地方の地図だな、しかし随分と傷んでいるじゃないか」
2人の間からすっと顔を出したのはロクロウだった。

「ロクロウって変わった服装してるよね、どんな文化があるのか気になっちゃうな」
キラキラとライフィセットは目を輝かせた。同じようにアイゼンも頬杖をつきながら教えろと言わんばかりの表情をしていた。
そうだなぁとロクロウは2人と適度な距離を取りつつイスを引き寄せて座った。
「俺もそんなに歴史は詳しくないが、建物も変わった物が多かった気はするな」
建物?とライフィセットが首を傾げると、ロクロウは神社と呼ばれる神殿があることを教えてくれた。
そこには賽銭箱と呼ばれる物があり、年の初めにはそこへ参拝しに行って金を納めるのだそうだ
「お金はその後どうなるの?」
「さてな、ただ祈願成就だったり穢れを清めたり縁があるようにと加護の御礼をする意味があったみたいだな」
まるで天族と人間みたいな関係に近いかもしれんな、とロクロウは笑う
「金で穢れが消えるなら苦労しねえな」
「そう言うな、あとはなんといっても四季があったらしい」
四季って春夏秋冬のこと?そんな所あるの?という立て続けなライフィセットの疑問にアイゼンも頷いた。
「俺も聞いたことだけはあるが、信じ難い」
「応、場所にもよるが比較的過ごしやすい所だったとは聞いている」

その話にますますライフィセットが興味津々になり、さらに本をめくると見た事のある四聖主の紋章が出てきた。
左からハヤヒノ、ムスヒ、ウマシア、アメノチと並んでいた。
「よく見ると紋章も微妙に違うんだな」
四聖主を元にしてはいるが、旅中で見てきた紋章とはどうも違うようだった。
「もしかするとさっきの四季通りに当てはめてるのかもしれん、その証拠にこの文字がある」
紋章より下には読めない文字だらけで、破れたりで掠れたりで法則性もさっぱりだった。
ロクロウが指差したのは蓋のように見える線、その下に広がるような二本線があった。
「これは……俺だな…」
「…なに?」
自らだと呟いたロクロウにライフィセットも首を傾げた。どういうことだ?と尋ねればロクロウは唸った。
「それは“ロク”と読むんだ」
これが?とアイゼンが怪訝な表情になってその文字を改めて見直したが読めるはずもなかった。
「ま、俺もそれしか知らんがな!」
「それが分かっただけでも充分じゃないか」
そもそもアイゼンが見てもこの四聖主の紋章しか分からなかった。
この文字であろう羅列は12個と更にその下には31個の文字が同じように並んでいた。
「同じ文字が上と下にあって、途中まで並んでるんだね」
「何を示したいのかさっぱりだがな、それにしてもこの文字には力強さと滑らかさを感じる」
今度はロクロウがうーんと唸り、何かを思い出そうとしていた。
「今は使われてない暦、だったと思うが…… 間違ってるかもしれん」
暦ということはカレンダーだよね、とライフィセットはページをめくって見るが続きは滲んで汚れてしまっておりこれ以上はどうしようもなかった。

「後から分かることもありそうだし、楽しみになるね」
微笑んでからライフィセットは本を置き、タバサにマーボーカレーを注文していた。
続いてアイゼンはロクロウを横目で窺い、タバサから盃を受け取って心水を注いでやった。
「お前の祖国、行ってみたいもんだ」
「俺も書物での知識でしかないからな、これからの楽しみが増えたようで何よりだ」
ロクロウは心水を一口呷り、そういえばと思い出した。
幼少期に『六』という文字が書かれた和紙を貰った覚えがある。
当時はよく理解出来ておらず結局どこか行方不明になってそのままになったが、取っておくべきだったのかと思わなくもない
考えを巡らせている合間、目の前に突如としてワインのラベルが視界に入った。
「こっちも呑むか?今話題の心水だ」
「応、そりゃいいな!貰おう」

いつか、機会があれば祖国へ行ってみたいと思いを馳せた夜だった。

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団子をめぐるロクロウとマギルゥのお話



悩むような素振りで行ったり来たりする目の前の魔女を、先程から気にしないようにはしていた。
俺は俺で、特に何をするでもなく昼間に買ってきた団子を食べていた。
「……のう、」
喋りかけられたと思えば、最後の1個が残った団子を串ごと取られた。
「前から気になっていたが、我慢ならんっ」
残っていた桃色の団子が目の前でパクッと食べられてしまった。
「…おいおい、それなら500ガルド俺に払ってくれ」
「そこなのか!?というか1個に対して高すぎるわ!」
「お?違うのか?でもその桜の団子目当てで買ったようなものだしなぁ」
そう言うと彼女は少し苦い顔をした。も、もももしや、とかなんとか小刻みに震えている。
「あ…あれか……!?あ、あれなのかーっ!?」
指をさした先には朝からずっと行列を作っている和菓子屋だった。
「応、噂には聞いていたがようやく立ち寄れたし食べてみたかったんだ。ま、食べる前に誰かに食べられちまったけどな」
少し怒りを含んだ眼差しで彼女を見るとあわわわ、と焦る様子の魔女
「今回食べられなかったのは残念だが、明日には買って来てくれるよな、マギルゥ?」
「わわわ……」
行列と俺を交互に見て彼女らしい反応に思わず笑ってしまった。
「はっはっは、冗談だ!またいつか買いに行くさ」
「あ、あは、あはは〜……」
彼女は苦笑いしつつそろりそろりと後退し続け、十分な距離を取ってからわー!!っと叫びながら逃げ出した。


数日後、彼女の聖隷であるビエンフーがやたらと姿の変わった状態でフラフラしているのを見掛けた。
「おい、大丈夫か?」
「ヒッ……!」
俺の声を聞いてビクリとし、まだダメなんでフ〜!とかなんとか言いながらどこかへ行ってしまった。
「…何なんだ?」

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