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夜のハルルは綺麗だった。
桜の根本付近にはライトが照らされており、花見をしている人が居た。

時代は変わって来ているのをしみじみ感じる。
自分が牢に居る間にも外の世界は進歩している。
アレクセイはその現実に不思議と怖くなかった。


「宿取って来ます」
アレクセイは頷いて、宿を少しばかり行った噴水の近くのベンチに座った。
舞う桜は無駄に綺麗で、出来れば無関係でありたかった。
しかし舞う花は知らず、アレクセイを歓迎する。

『貴方は生きていていいのよ』

と、言われているようで
飛んだ思い違いだと溜息一つ


「大将」
戻って来たレイヴンにアレクセイは視線を向けた。
「…大分、顔が疲れてますよ」
「……そんなことは、ない…」
とは言っても、レイヴンは疲れている事を知っていた。

「俺を、信用して下さい……もう、隠さないで…」
震えた声でレイヴンはそう言った。
「昔の貴方に、戻って欲しい……ただ、それだけです」
「……私は、お前を殺そうとしたのだぞ…」
レイヴンは首を左右に振った。
「あれは俺の知る大将ではない…」

今は何もないアレクセイ
昔を望むレイヴン

「以前とは違う、私……」
見上げればハルルの木、桜が舞う。

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「大将、「シュ……レイ、ヴン…」
ぎこちないアレクセイにレイヴンは眉間にしわを寄せた。
「私は、もうお前の知る私ではない…だから、その呼び方をやめて欲しい」
「………」
レイヴンが、立ち尽くしていた。
その様子にアレクセイは軽く俯いた。
レイヴンの足元の土が、いくつか雫が落ちたように湿った。
顔を上げて何かと思えば、レイヴンの涙だった。
「…あ、すんませっ……」

彼の碧の瞳が、潤っていた。
目を擦って止めようとするが、とめどなく流れる。

「…許せ」
アレクセイはレイヴンを、そっと抱きしめた。
いい年した男性二人が何を抱き合っているのやら
異様な光景であるが、今はそんなのどうでもいい

「は…っ、あぁ…っ」
肩を震わせ、少し懐かしい感じにまた涙する。
(………)
アレクセイはただ彼を、抱き留めるしか出来なかった。
日が暮れ、アレクセイは彼の肩を抱きながら歩いた。


デイドン砦は時間帯によって開閉しているようだった。
通行証が必要になるくらい進歩したかと思えばまだまだのようだった。
軽い検問をする程度で通れるようだった。

「今からこの門を閉鎖する、通りたい者は直ちに検問を受けること!」
兵がそう言い、自分の位置へと戻っていった。

「大将、早めに通りましょう」
「…そうだな」
不振な視線を貰いながらも、見事検問をくぐり抜ける事が出来た。

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カチッ カチッ

時を刻むその音

私を狂わせた私

しばらく食せず

空腹は私を戒め

死と呪縛が私に

一生纏わり付く



「大将」

久々に聞く声にアレクセイは目を開けた。
懐かしい姿を瞳に映す私の目

「あれから、何年経ったと思いますか」
虚ろな表情のアレクセイをレイヴンは見るだけ
「……分からん」
「三年です」
牢の前でレイヴンは座り込んだ。

「私には軽すぎる、まだまだだ」
アレクセイは深く息をついた。
「………」
レイヴンは何も言わなかった。
「仕方ないでしょう、評議会の出した応えです」

まだ牢に居たかった。
誘拐、利用、殺害...
アレクセイは迷った。

「私は…居るべき人間ではない…」
「貴方は現に居る、そんな人間は存在しないんですよ」
レイヴンは私を見ずに言った。

「私、は……」


どうしたら良い?



「探しましょう」

外で待ってます。
レイヴンは踵を返して行ってしまった。


「アレクセイ・ディノイアを釈放致します」
騎士団から脱退したアレクセイは途方にくれていた。
誰も彼を見ようとはしなかった、むしろそれは幸いだった。

「大将」
後ろからスッと現れたレイヴン
「来て下さい」
手首を引いて足早に帝都を出た。


「シュ、ヴァーン……」
色々聞きたい事がある。
やっと外へ出たものの、危険であった。
「大将、今この世界には魔導器がない状態です」
アレクセイは少し離れた帝都を振り返る。
城の外へ出た時も違和感を感じた。

「結界が、ない……」
「貴方が牢に居る間に様々な事がありました」
レイヴンはそれより、と荷物を探り出す。

「これを着て下さい」
白いフードコートを手渡された。
「あとこれも」
長剣を手渡された。
「流石に俺だけじゃ貴方を守れないんで」
アレクセイは言われる間々にフードコートを着て剣を備えた。

「ダングレストへ行きましょう」
言われる間々にアレクセイは従った。

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