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『逃ゲて下サイ』

そう口が示していた。
レイヴンは考えた。

アレクセイを、どう脱出させるか
考えろ、考えろ 働け、俺の頭!

「…タイダルウェイブ!」
アレクセイは自ら捕らえていた男を肘で弾き、レイヴンに駆け寄った。
「え、アレクセイ……」
無詠唱で水の渦を起こした、幸いレイヴンの位置だけ水が弾かれていた。
「シュヴァーン、逃げマしょウ」
手を引かれ、そこから立ち去った。


「大丈夫デシたか?」
「そ、れよりも…戦えた…のね」
アレクセイはゆっくり頷いた。
「私ハ…守ル、シュヴァーンを……」
レイヴンはホッとした。
二週間程彼と共にしていたとはいえ、本物のアレクセイのように動けるか
しかし、心配無用だったようだ

「俺から離れないで、…下さいね」
アレクセイは微笑み、頷いた。

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「ありがとね、リタっち」
「それはいいけど…これからどうすんのよ?」
アレクセイは白いフードコートを羽織っていた。
「うーん、どうしようねぇ…」
レイヴンは考える仕草を取る

共にギルドの仕事は出来ないし、何より顔が似過ぎている。
仮名を名乗らせればもしかしたら何とかなるかもしれないが
広い世界だ、アレクセイに似る顔は居るかもしれない
だからといって似ているのは顔のみではない
朱く澄んだ目に、白く美しい髪までそっくりで
身長も変わらずそのままで逆に間違いを探せというのが無理だ

「…あんたの補佐なんてどう?ハリーって奴も話したら融通ききそうだし」
そうねぇ、とレイヴンは更に唸る
「他に良いあてもないし…身近に居た方がいいわよね」
リタもそれに頷いた。
「本当はもっと調べたいけど…任されてることがあるし
また時間があったら…見させて」
「そりゃいいけど……」
レイヴンはリタに近付いて耳打ちをした。

「…次は殴るってのは勘弁ね…」

そう言うとリタは多少沈んだ顔になる。
「…知って、…たの…?」
レイヴンは少し微笑んだ。
「分かりやすすぎ…次はやめて、ね」
頭を撫で、レイヴンはアレクセイを振り返った。

「さ、行こっか」
アレクセイは頷いた。


出ていく白いコートが翻った。
リタは静かに唇を軽く噛んだ。




レイヴンの背後から音がなくなった。
何かと思えばアレクセイは立ち止まっていた。
否、それは強制的に立ち止まるようにされていた。

「よう、天を射る弓(アルトスク) No.2のレイヴンさんよぉ」
明らかに柄の悪い連中がいつの間にか俺らを囲んでいた。
それも、アレクセイを犠牲にして

今まで絡まれた事はあっても単体で
アレクセイを含めて絡まれた事などなかった。
戦闘知識はあるが、あのアレクセイは妙に俺を大事にしたがる

「何よ?…どうやら帝国でもギルドでもなさそうだけど」
「はンッ!そんな縛られた団体に入るなんて身が腐っちまうぜ
用件はアレクセイ・ディノイアだっけか こいつさえ殺せりゃ満足なんだよ」
レイヴンは目を見開いた。
彼はアレクセイであっても、あのアレクセイではない
「アレクセイを…離してくれないかね……」
「せっかくの獲物を離すなんざ…そりゃバカのすることだぁなぁ」
そうよね、と小さく呟いた。
アレクセイは多少眉を潜めつつ、それから小さく口を開いた。

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「―――…悪いけど、全然分からないわ
あんたが言った通り、魔導器も付いてないみたいだし」
そっか、とレイヴンは唸った。
「…でも、もうちょっと見させて…
なるべく、居ないでもらえると助かるんだけど」
「分かったわ、そいじゃ…あそこの本まみれの宿で一泊してる」
レイヴンはアレクセイを一度見、出ていった。

「――――ッ、あんたなんか…ッ!!」
アレクセイは首を傾げた。
急な変わりようのリタに疑問の視線
「大ッ嫌いなんだからねッ!」

鈍い音が響いた。
油断していたのか分からないが、案外あっさりとアレクセイは倒れた。

「ヴぁっ……リ、たさん…?」
かなり戸惑っているアレクセイ
「気安く呼ばないでよ!…大罪人がのこのこ帰って来て…!」
リタはどうしても許せなかった。
エステルを酷い目に合わせ、レイヴンもあんなにして…。
過去のアレクセイ?…そんなの知ったこっちゃない

「…すミマせん、私…ゴめんなサい……」
「今更何よ、あんたのせいで…っ!」
アレクセイは目を瞬かせ、再び謝り始めた。



「リタっち~って…あれ……」
勝手に家に入るのもどうかと思ったがやけに物静かだった。
階段を上って彼女を捜せば居たことは居たのだが

多少傷だらけのアレクセイがリタを守るように近くの椅子に座っていた。
近寄って見ればリタの目元や鼻が朱く染まっている。
「おはヨうございマス、シュヴァーン」
すやすやと寝ているリタからアレクセイに視線を当てた
「…どうしたのよその傷、」
聞かなくても分かる、痣が出来ている。
「リタに叱らレマした、でモ…私ガ原因、ダからリタ、悪くなイでス」

決して、相手を悪いようには言わなかった。
レイヴンも少々、納得はした。
彼女は感情が抑え切れなくなっていたのだろう
暴力を振るったのはどうかと思ったが


「ぁ、おっさん…来てたの…?」
「まーね…それで何か分かった?」
リタは体を起こした、近くにあった小さなノートをぺらぺらめくる
「このアレクセイは確かに記憶がない
元々なかった、って捉えるのがいいかもしれない」
「けど…何で俺を捜しに……」
そこはリタもお手上げのようだった。
「あたしも聞いたけど…何も喋らなかったわ」
そっか、とレイヴンは息を一つ吐いた。

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