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「ありがとね、リタっち」
「それはいいけど…これからどうすんのよ?」
アレクセイは白いフードコートを羽織っていた。
「うーん、どうしようねぇ…」
レイヴンは考える仕草を取る

共にギルドの仕事は出来ないし、何より顔が似過ぎている。
仮名を名乗らせればもしかしたら何とかなるかもしれないが
広い世界だ、アレクセイに似る顔は居るかもしれない
だからといって似ているのは顔のみではない
朱く澄んだ目に、白く美しい髪までそっくりで
身長も変わらずそのままで逆に間違いを探せというのが無理だ

「…あんたの補佐なんてどう?ハリーって奴も話したら融通ききそうだし」
そうねぇ、とレイヴンは更に唸る
「他に良いあてもないし…身近に居た方がいいわよね」
リタもそれに頷いた。
「本当はもっと調べたいけど…任されてることがあるし
また時間があったら…見させて」
「そりゃいいけど……」
レイヴンはリタに近付いて耳打ちをした。

「…次は殴るってのは勘弁ね…」

そう言うとリタは多少沈んだ顔になる。
「…知って、…たの…?」
レイヴンは少し微笑んだ。
「分かりやすすぎ…次はやめて、ね」
頭を撫で、レイヴンはアレクセイを振り返った。

「さ、行こっか」
アレクセイは頷いた。


出ていく白いコートが翻った。
リタは静かに唇を軽く噛んだ。




レイヴンの背後から音がなくなった。
何かと思えばアレクセイは立ち止まっていた。
否、それは強制的に立ち止まるようにされていた。

「よう、天を射る弓(アルトスク) No.2のレイヴンさんよぉ」
明らかに柄の悪い連中がいつの間にか俺らを囲んでいた。
それも、アレクセイを犠牲にして

今まで絡まれた事はあっても単体で
アレクセイを含めて絡まれた事などなかった。
戦闘知識はあるが、あのアレクセイは妙に俺を大事にしたがる

「何よ?…どうやら帝国でもギルドでもなさそうだけど」
「はンッ!そんな縛られた団体に入るなんて身が腐っちまうぜ
用件はアレクセイ・ディノイアだっけか こいつさえ殺せりゃ満足なんだよ」
レイヴンは目を見開いた。
彼はアレクセイであっても、あのアレクセイではない
「アレクセイを…離してくれないかね……」
「せっかくの獲物を離すなんざ…そりゃバカのすることだぁなぁ」
そうよね、と小さく呟いた。
アレクセイは多少眉を潜めつつ、それから小さく口を開いた。

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