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一行はヘリオードへ向かった。
ヘリオードに近付くにつれ、スーノが怯え始めた。
「…スーノちゃん、これ着て」
レイヴンはスーノに小さなサイズのローブを渡した。
「これ着たらあたしバレないかな…?」
「大丈夫よ、リラックスリラックス」
にこり、と笑ってレイヴンはスーノを撫でた。
「…行くぞ」
アレクセイはヘリオードへと足を踏み入れた。

「ちょっとそこの三人組」
振り向けば紫色のカラーをした兵
「何よ?」
「検問だ、来なさい」
レイヴンは固まったが頷いた。

「新しい隊か?」
忍んでレイヴンに聞けばレイヴンは頷いた。
「カスカード・ラル・エスフォード…貴族出身の隊長みたいで」
「…成る程」
大人しくついていけば騎士団本部
「何の用でここに?」
「ダングレストに行きたいんでね
それよりもなぜ」

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「大将、そんな趣味がはぁっ」
がつんと殴ると、彼は痛いと呟いた。
「彼女はヘリオードから来たようだ、今一人で出掛けさせる訳にもいかんだろう」
「けど何でそんなことに?」
「それがな……」

少女は親からの虐待を受け続け、なんとか逃げて来たのだ
体は傷だらけで、小さく震えている

「よく一人で逃げたな」
アレクセイは少女を抱き留め、撫で続けた。
「うん、うんっ…!」
何度も頷き、呟いた。

「ところで、名前は?」
「名前…?」
再び聞くと少女は黙った。
「…どうした?」
少女は顔を左右に振った。
「名前、ない……」
「…そうか……」


名前が、ない

普通は親から授かるものだ

それがないのだ


「寝心地は悪いかもしれないが、ゆっくり寝なさい」
「うんっ」
ぎゅっとアレクセイの服を掴んで少女は丸くなった。
アレクセイは少女を抱え、体温を逃がさないようにした。

「大将、優しいですね」
「………」
答えられなかった。


翌朝

アレクセイとレイヴンは少女をどうしようか迷っていた。
今この状況の世界で少女を騎士団に預けて良いのか
フレンを頼れば間違いはないのだが、こんな問題を騎士団が彼に伝えてくれる訳がない

だからといって少女を振り回す訳にもいかない
まだ幼く、自分の身も守れない


「あたしはっ、ついてきたいっ…もうやだ、助けてっ」
虐待を思い出して少女はアレクセイに泣き付いた。
「っ………」
「大将」
目でどちらか問われた。
「…連れて行こう」
少女を抱き留め、レイヴンは頷いた。


「ねぇ…お名前は?」
少女はアレクセイの服をぐいぐい引っ張った。
「……アレクセイだ」
「レイヴンよ」
「…なんかどっかで聞いたことあるよーなぁ……」
アレクセイとレイヴンは見合った。

アレクセイは少女の背に合わせて屈んだ。
「ところで…名前、ないと呼べないぞ?」
少女は一瞬表情を悲しくさせたが、考える仕種をした。
「…輝きたい!ぱあぁって!…アレみたいに!」
少女が指を差したのは太陽だった。
「…スーノ、はどうだ…?」
「スーノってたいおう?」
アレクセイは頷いた。
「たいよう、だ」
少女は満面の笑みの表情を浮かべた。

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「トリム港に向かうのか?」
「そうよー、パティちゃんはこれからどうすんのよ?」
「同じくトリム港に向かうのじゃ」
アイフリードの面影がある彼女は小さくても可愛かった。
「おっ、うちの魅力にやっと気がついたかの?」
アレクセイの視線に気がついたパティはニヤニヤと笑う
「パティちゃん、からかってないでー」
えへへー、とパティは笑って頬を掻いた。

「さ、行くのじゃ!出港してしまうぞっ」
パティは二人の手を握って船へと乗って行く


(どう反応したら良いのか……)
男二人に少女一人、こんなメンツは他から見たら怪しいだろう
(彼女は、アイフリードだった訳で)
だったというより、アイフリードなのだが

「のぅ、うちの顔になんか付いとるんか?」
「?」
「うちの顔、じーっと見とるから」
「いや…どう呼んだら良いのか……」
その発言にレイヴンは吹き出していた。
軽く睨むとレイヴンは腹を抱えながら口を塞いでいた。
「パティちゃんでいいのじゃ!」
「パティ、でいいか」
「………」
彼女に睨まれたような気がする。


「ほいじゃ、うちはここで!」
パティは駆けて行った。
「………」
違和感に眉を潜めるが、彼女を目で見送った。
「大将」
「…あぁ」

これからヘリオードへ向かう訳だが
「大将、気をつけて下さいよ」
「言われなくとも」
アレクセイは剣を引き抜いた。
彼の真後ろに来た魔物を薙ぎ払った。
「…全く、嫌な奴だ」
「バレました?」
(魔物に気付いててわざと私にやらせたな…)
レイヴンを小突いてアレクセイは歩き出した。

「…薄々気付いていたが、野宿か」
「当たり前でしょー」
アレクセイは軽く溜息をついた。
「大将、火をおこしといて下さい」
分かった、と返事をして木材を取りに行った。


拾っている最中に啜り泣く声が聞こえ、アレクセイは立ち止まった。
「……?」
明らかに子供の泣く声だった。
声のする方へと向かい、近付いた。
岩の反対側から聞こえた、恐る恐る見ればそこには少女が
「うぁああぁ~…っ……!」
アレクセイは慌て、少女に近付いた。
「どうした…?」
少女は私を姿を見るなり更に怯えて泣き始めた。
アレクセイは唇を軽く噛み、少女の頭を撫でた。
「大丈夫だ、安心しなさい」
幾度も慰め、少女の手を掴んで立ち上がらせた。

「どこから来たんだ?」
「へり、おぉど…」
(…ヘリオードか……)
少女の手を掴み、レイヴンの居る所へと戻った。

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