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「大将、そんな趣味がはぁっ」
がつんと殴ると、彼は痛いと呟いた。
「彼女はヘリオードから来たようだ、今一人で出掛けさせる訳にもいかんだろう」
「けど何でそんなことに?」
「それがな……」

少女は親からの虐待を受け続け、なんとか逃げて来たのだ
体は傷だらけで、小さく震えている

「よく一人で逃げたな」
アレクセイは少女を抱き留め、撫で続けた。
「うん、うんっ…!」
何度も頷き、呟いた。

「ところで、名前は?」
「名前…?」
再び聞くと少女は黙った。
「…どうした?」
少女は顔を左右に振った。
「名前、ない……」
「…そうか……」


名前が、ない

普通は親から授かるものだ

それがないのだ


「寝心地は悪いかもしれないが、ゆっくり寝なさい」
「うんっ」
ぎゅっとアレクセイの服を掴んで少女は丸くなった。
アレクセイは少女を抱え、体温を逃がさないようにした。

「大将、優しいですね」
「………」
答えられなかった。


翌朝

アレクセイとレイヴンは少女をどうしようか迷っていた。
今この状況の世界で少女を騎士団に預けて良いのか
フレンを頼れば間違いはないのだが、こんな問題を騎士団が彼に伝えてくれる訳がない

だからといって少女を振り回す訳にもいかない
まだ幼く、自分の身も守れない


「あたしはっ、ついてきたいっ…もうやだ、助けてっ」
虐待を思い出して少女はアレクセイに泣き付いた。
「っ………」
「大将」
目でどちらか問われた。
「…連れて行こう」
少女を抱き留め、レイヴンは頷いた。


「ねぇ…お名前は?」
少女はアレクセイの服をぐいぐい引っ張った。
「……アレクセイだ」
「レイヴンよ」
「…なんかどっかで聞いたことあるよーなぁ……」
アレクセイとレイヴンは見合った。

アレクセイは少女の背に合わせて屈んだ。
「ところで…名前、ないと呼べないぞ?」
少女は一瞬表情を悲しくさせたが、考える仕種をした。
「…輝きたい!ぱあぁって!…アレみたいに!」
少女が指を差したのは太陽だった。
「…スーノ、はどうだ…?」
「スーノってたいおう?」
アレクセイは頷いた。
「たいよう、だ」
少女は満面の笑みの表情を浮かべた。

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