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「何が…騎士団長なのだ……」

馬鹿馬鹿しい

笑顔を奪う、やり方...



「此処に居ましたか」

振り返るとレイヴンがこちらへ来て居る所だった。

「……すまんな」

「…いえ…」


アレクセイは、迷っていた。



私は存在して良いのか

生きていて良いのか




「私は



死にたい」







「馬鹿野郎が!!」


勢いよく殴られた。

分かっている。

私が死を希望したからだ。


「大将は…

分かってくれたじゃないですか…!!」



嗚呼、分かっている。

だからこそ死にたい



「貴方は…


逃げるんですか!!!」




「逃げる…?」

「貴方の犯した罪から、自分から!」




「…しかし、私は…謝ることしか出来ん……」


他に何したら良いのか

罪の償いとはどうすべきなのか



「私には…存在意義がない」

「ふざけないで下さい」


彼の碧の目は、よく見えなかった。


「貴方は、そんな人間でしたか…?」
「…………」

アレクセイは壁へと座り込んだ。
レイヴンは私の頬に手を沿えた。


「許されない…許せない事を貴方はしてしまった…
けど、貴方は…まだ立ち上がれるんです
終わりのない辛い試練がある…それは修行と同じ
やりもしないで、諦めないで下さいよ」

「………レイヴン」
ぎゅうっ、と彼を抱きしめた。
「な、何をっ…」
こんなことをする人ではない、という印象でもあったのか
レイヴンは凄く情けない顔をして驚いていた。

「…すまないな」




朝は、酷く辛かった。

「っ…アレクセイ!!」
「ぬぅっ」

あまりの煩さにアレクセイは布団から顔を出した。
「何だ」
「何だ、じゃないですよ!いい加減起きて下さい!」
溜息をつき、体を起こすと時刻は昼前を示していた。
「…まだ、時間が体と合ってないようだ」
「へ?」
レイヴンがその言葉に疑問を持った。
「いや、牢に居て時間の感覚を忘れただけだ」
あ、そっか…とレイヴンは呟いた。

「大将、無理しないで下さいよ」
「大丈夫だ」
アレクセイは起き上がり、準備をし始めた。

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ノール港へ足を踏み入れた。
そこは随分と賑わっていた。
大漁大漁!と一人の男が大声で客を誘っている。
その男に負けじと女や子供も商売に熱が入っていた。

「……」
そんな様子のノール港にアレクセイは目を丸くした。
「港は特に変わりましたよ」
驚いているアレクセイにレイヴンはそう言った。
「勿論トリム港も変わっ「てぃやっ!」
ぐおっ!とレイヴンが軽く吹っ飛ぶ
可愛い声と共に飛ばされた彼
何事かと見ると金髪の女の子がニヒヒ、と笑っていた。
その女の子に見覚えがあった。
「……!」

「いったいじゃないの~っ」
レイヴンが後頭部を撫でながら振り返った。
「あら、パティちゃん」
彼女の顔だと分かるとパティは微笑んだ。
「ん、こちらはどちら様…」
パティがアレクセイに視線を向けた。

彼女と視線が交わった。

「お前はっ…!!」
「パティちゃん、待って!」
レイヴンがアレクセイとパティの間に割った。
そんなレイヴンをパティは睨んだ。
「何で…あいつが居るのじゃ!」
「パティちゃん!!!」
レイヴンはパティを抑えた。
目で訴え、パティは黙った。


宿で休みを取ることにした二人
そこにパティも居た。

「…すまない」
何度も何度も、アレクセイはパティに謝っていた。
「もう、いいのじゃ」
パティは振り返った。
「以前のお前じゃったらうちは絶対に許さんかった
けど、レイヴンからちょっと話を聞いてて…」

彼女の瞳が潤んだ。

「…ほんと、に……っ」
アレクセイは唇を噛んだ。
彼女の体が震えていた。
「………」
パティは目から大粒の涙を流し始めた。
「う、うぁあぁっ…!!」
泣き崩れた彼女をアレクセイは目を細めた。

なんてことをしてしまったのだろう、と
アイフリードの面影がある彼女は淋しく見えた。
これがあの、アイフリードなのか
側近のサイファーを討ったと聞いた。


それも全て、私のせい

謝り切れない


「…すまない…」



今宵
私は海を眺めた。

月がよく見える夜だった。


考えが色々巡りすぎて頭が割れそうだ
しかし、そんなことでは負けてはいられない



『私は、貴方の作る世界を見てみたい』

いつか言われた言葉



その理想を掴めなかった。

理想は、私が思ってた以上程遠い所にあった。



もう駄目だ

私が、違うやり方で


『変えてやろう』

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「考えてみるとしよう…シュヴァーン、感謝する」
「あの、俺は…!」
アレクセイはレイヴンに微笑んだ。
「昔の私を望むなら、呼んでも良いだろう?」
レイヴンは目を丸くしたが、つられて微笑んだ。


ハルルで一泊した二人は、エフミドの丘へと向かう。
エフミドの丘は以前と大して変わっていないようだった。

「ここも、徐々に変わってはいるんですがね」
「行き届かんのか」
アレクセイは坂を上り、やがて海の見える崖へと歩いた。
隣にレイヴンが来て、少し淋しそうに私を見た。
「…シュヴァーン、私は……」
一息ついて
「世界を、変えられると、思っていた…」

レイヴンは何も言わなかった。
ただ、アレクセイを見るだけ

「今更、何を言っているんだと…それは分かっている」
潤う朱い瞳
「私は…平等な世界に、したかった……」
震える唇


「大将」

レイヴンが彼を引き戻すように呼び掛けた。

「もう後悔しても、過ぎた事なんですよ
最初、本当に貴方は世界を変える、と…言っていた
それは俺も賛成でしたし、異論はないです
…貴方が変わり、俺の知る貴方でなくなったと知った時
何度も殺して欲しかった……正常な心臓も、作り物…
けど、今は死にたくないって、思うんですよ
人魔戦争で死んだはずの俺でしたけど…だから、感謝します
…俺、本当に…ショックだったんですよ…大将が、道を踏み外し始めた時
変わった貴方を、幾度も止めて…それから段々止められなくて……」

「シュヴァーン……」


嗚呼、私は歪んでいた。
狂っていたのだ。

「すまない…」

謝る事しか、出来なかった。


落ち着いたところで、二人は再び歩き始めた。
目指すはノール港

街道を歩き、いくつもの魔物と出会い、戦った。

「…やはり、鈍っているみたいだな」
アレクセイは軽く溜息をついた。
「それでよく鈍ってるなんて言いますね」
そんな様子レイヴンは苦笑した。
「どう見たって鈍っているだろう?」
険しい顔のアレクセイにレイヴンは軽く溜息をついた。

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