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「片付けといてくれよ」

ガシャンッ!
皿が割れた。

「!」


ユーリは私を汚い物で見るような目つきで、出て行ってしまった。
彼はギルドの仕事へと向かったのだ。

「……」

私はただそれを無言で片付けていた。
散らばった皿の破片を、一つずつ拾って
以前、破片でブーツの履き心地が悪くなったと怒鳴られた。

「………」

拾っている最中に破片で怪我をしてしまった。
けど、それよりも皿の破片を何とかせねばならない
小さな怪我くらい、私にとっては何の造作もない

「…よし」

片付け終わったのはいいが、この怪我を治療せねばならない
軽く水で洗って、消毒して包帯をいくらか巻いた。

「………」

することがなくなった私はもう何度も読んだ本を開いた。
飽きてすることがないが、別に今はこれでもいい

レイヴンはギルドの方で頑張っているという話を聞いたり
イエガーはあの後救出されたと聞いてホッとして
デュークは相変わらずの反応だったのだが

皆、必死に頑張っている
私だけ楽をしてはならない

だからかもしれない
ユーリにされていることは嫌じゃない


ガタン

帰宅が早い

本を慌てて閉じた。
毎回夕飯を任されていて、遅れたらまた怒鳴られる

しかし予定の時間より遥かに早い
一切何も、用意をしていないのだ


「……」

ユーリが再び現れた。
ああ、怒鳴られる

ずかずかと私の前に歩いて来た。
もしかして殴られるのか

肩を竦め、目を閉じた。
早く、来るなら来てくれ


「アレクセイ」
それは、私の名前

そっと、抱きしめられた。
私は驚いて目を見開いた。

「な、ぜ…?」
ようやく出た言葉がこれだった。


「…オレは何もしないあんたに甘えてたんだ
あんだけのことをしたんだから何しても良いなんて…
そりゃ違うよな……あんたも、抵抗しろよ…」
「…私は……別に構わぬ されても仕方がない」
そう言ったらべちっ、と額を叩かれた。

「もうしねぇよ、あんた…親父みたいだな」
「お、おやっ…じ…!?」
急にあたふたし始めた私をユーリは笑った。
「今のあんた、イイ顔してるぜ」
ユーリは剣を持って行ってしまった。
「おや、じ…」
複雑な心境ながらも私は苦笑した。

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