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裏切る、そういう感覚はなかった。
なぜなら、それが常であったからだ

「やれやれ、ちょいと磨いた方が良さそうだな」
魔物の血が染み込んだ大剣は錆が目立って来ており、徐々に切れ味が悪くなっていた。
近くの岩に腰を下ろし、敵が居ないか確認する為に辺りを見回した。
それからふと空を見上げたが、呑気な青空が鬱陶しく広がっていた。
そんな様子に軽くため息をつき、剣を見直す。
「やれやれ、あんまり持ちが良くない感じ?」
せっかく買った新品だってのになー、と呟く

しかし、ジュードやミラ エリーゼやローエン、レイアに出会ってから分かったことがある。
彼らは敵か味方かも分からない中途半端な俺を、受け入れてくれた。

「ん?あれは…」
魔物から追いかけられていたのだろうか
木に登った猫が魔物に囲まれていた。
幸いにも登ることはしていなかったが、猫は木の上で完全に怯えていた。
まだ大きくもなく体力も消費しており、あのままでは完全に喰われるのが見えていた。

アルヴィンは辺りを見回し、息を潜めた。
それから立ち回り、銃口を向けて狙いを定めた。
(待ってろよ…)
引き金を一気に引き、一体を撃ち抜いた。
魔物らは騒ぎ、俺は迷わずもう一体撃ち抜いた。
しかしそれだけで怯む魔物ではない

アルヴィンは口笛を吹き、挑発をしてみせた。
魔物は全部三体だったらしく、俺をターゲットしたようだった。
そのままアルヴィンは木から少し離れ、魔物らを見事撃破した。

「ふぅ」
手元で銃を回し、しまい込む
大剣はそのままで先程の木に寄るが、猫はいなかった。

皆、それぞれ個性があった。
ジュードはお節介だったが、それがあいつの良さだ
俺が何度怪しい行動に出ても、ジュードは俺を信じてくれた。

ミラは四大精霊の主であるマクスウェルだ
だからといって頑なな性格じゃない
世界を統べる者であるが故に俺を必要としてくれた。

エリーゼは何もかも閉ざされた世界にいた。
友達から隔離されていた反動か、仲間もとい友達を大事にしてた。
半信半疑であったのに、最後は俺を受け入れてくれた。

ローエンはこんな得体の知れない俺でも、見据えてくれた。
人間的に一番最年長であるからか、それとも元軍師だったからなのか
心の隙間をしっかり見てくれた。

レイアは俺が得体の知れない人物だというのに、明るく接すのだ
怪我させてしまったにも関わらず、向き合ってくれた。

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