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ゆっくり、ゆっくり削り落とす。
それが粉々になるくらいまで

微塵以上に、無くしたいところだが
中々、否、そこまでは流石に無理だ


「デューク…私は、ずっとこのままか?」
暇そうに、何度か瞬きをして見せる。

「不満か?」
「……少し」

私は立ち上がり、背を向けた。
それから重い音が広がり、視線を向ければ黒い先

「行こう」
手を引かれた。




広がった先は、まるでアスピオに来たような
本棚が高々と広がり、私は身震いをした。
「読んで、良いのか?」

頷きを確認し、私は早速本を手にした。






再び訪れると、本に埋まるアレクセイの姿が

歩み、寝顔を伺う
生きている


幸せそうに


「アレクセイ」
まるで幼子のような印象を受ける。

「……あ、…デューク…」
眠そうに、だが私を見た。

「眠いか?」
「………平気だ」
体を起こし、本を揃えた。

「久々で、楽しかった」

昔、アレクセイと会った時を思い出した。



『お前、書物ばかり読んで楽しいのか?』

当時、読書は知恵の武器 と言われたものだ
知恵があることは無駄ではないが、アレクセイは他と比べても常に読書するか、修行しているかのどちらかだった。

『楽しいぞ、知恵も増えるし 何より、為になる』
そう彼は微笑んだが、私はそんなものには興味がなかった。

『お前は書物が友達なのか、哀れだな』
そう言えば、微笑んだその頬が、ひび割れたように 気のせいか、一瞬だけぴくりとした。

『…読書は、良いぞ』



あの時の微笑みとは少し変わっていたが、彼は嬉しそうだった。
「そうか……もっと読んでも構わぬ」

「ああ、でも今は疲れた」
ゆっくりと横になり、私を見た。

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