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一体どうしたいのか、今の俺には少し理解し難い
鋼皮で出来ている肉体だからといって、長い間擦られればそれは痛い
衣服の上だからまだよいが、いやよくはないか

「いい加減退いてくれ」

頭に仮面の名残がある彼、ジオ=ヴェガが俺の胸に張り付いて離れないのだ
すっ飛んで来た勢いで俺も受け止めたはいいが、しばらく床で転がったまま
声を掛けても応答はない、だがしがみつく手はしっかり力んでいる。
仕方がない、と彼を抱き抱えながら上体を起こした。

「邪魔だぞ」

ぺしぺしと背中を叩くが応答はない、まるで赤子をおぶっているようだ
こんな赤子居てたまるか、大体なぜこうなったのやらだ
様々な原因を考えている間に下から視線を感じた。

「…遅いじゃねーかよ」
「…何がだ」
ここで何が、と尋ねてしまうのは酷だったか
ずぶりと思いきり仮面にある牙で体を刺された。

「な…何がしたい」
ぷるぷる震えながら応答する、牙は痛いぞ牙は
彼の表情が険しくなる、また誤ったことでも言ったか

「…くっつくことの何が悪い!」
彼はそう言って俺から離れて即座に背後を見せた。
随分と怒っている、成る程ようやく思考も追い付いた。
「ジオ、怒るな」
「怒ってねぇ!」
それを怒っていると言うんだよ、とは言えず
彼も人間ではないとはいえ、まだ少年だ

彼に近付いて肩にポンと手を置いた。
「機嫌を損ねるな、俺が悪かった
任務が長引いたことは知っているだろう」

同じバラガン陛下の従属官なら聞いているはずだ
二手に分かれて我々は陛下からの命を受けた。
一組はクールホーン、アビラマ、そして俺
もう一組はポウ、ニルゲ、ジオだ
ジオ達は早めな帰還だったのだろう、俺にすっ飛んで来たのがその証拠だ

「……心配、した」
成体の破面がそんな呆気なくやられるはずはない
ないのだが、可能性がないとは言い切れない
やや沈んでいるような彼の表情を見て、納得が行った。

後頭部を撫で、自分なりに励ましてみた。
「俺は無事だよ、ただいま」
少年は目を見開いて、しばらく固まったと思ったら顔を朱くした。
どうしたのかと聞こうと思った時、彼は後ろへ飛び退いた。
「お、おま…フィンドールの心配なんか…し、してねぇよ!」
彼は響転ですぐさま去ってしまった、なかなか難しい年頃のようだ。
俺も正解を与える割には自身の正解が見つけられずに居て思わず苦笑した。

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