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「……まだ、嫌悪感は解けそうにないけど…」
モルディオはせわしく自らの指を絡めたり、解いたりしていた。

「でも、あたしなりには考えた
確かにあんたはバカでどうしようもない事をした…」
けど、と モルディオは繋げた。
「…バカみたいに、…優しくて…拍子抜けしたわ」

心外な言葉に私は口が半開きになった。
「や、優しい…?」
特別なことをした覚えはないのだが
「…あたしはあんたを試したの
あたしにあんたがどう接するか、ね」
思い返せば、モルディオはかなり私への恨みは剥き出しだった。

「私は……レイヴンの仲間である君を失ってはいけないと思ったからだ」
そう言えばモルディオの目は大きく開かれ、やがて怒りに満ちた。
「あんた、バカじゃないの!?
何がレイヴンよ!あんたはあんたでしょ!?
…あたしはあんたを少しでも良い関係に変えようと思ってたのに…
あんたは…“レイヴンの仲間”だからここに居るの!?」

モルディオは、どこか悲しそうだった。
「………もういい…」
肩の力が抜け、少女は一つ息を吐いて部屋へと入って行った。



「………」
しばらく呆けていた。

(しかし、私は……)

こんな状況下ではああとしか言えなかった。
少女の言いたい事も分かる
だが、私にはまだ…早いのだ
彼らを“仲間”と呼ぶなんて


そういえば、先程の話からしたら
少女はあの時私を試したと言った
私がちゃんと“仲間”として動けるのか

…私が加害者にされたのは気にしないことにしておく




「“仲間”とは表面付き合いだったかのぅ?」
驚いて振り向けば、小さくて大きな少女
私の横を通り、モルディオの居た位置辺りに立ち止まる
「お主はまだ、迷っておる
“仲間”としてまだ、居られないからじゃろ」
静かに視線を向ければ重く蒼い瞳が刺してくる

「…“うち”は、あくまで表面だけじゃがの」
ベランダから少女は静かに降りて行った。


ほう、と 一息つく
(仲間、か……仲間…)

頭を振り、一旦部屋に戻った。
日が暮れると下町は寂しく、寒く感じる
感情的になっているだけかもしれないが




「ぅ……あ゛ッ…!?」

矢が身体を貫くような
爽快で不愉快な気分

これは
本能が呼び掛ける

抑えなければ、抑えなければ!!!!

震える手で操作盤を展開し、命令を下そうとするが
言うことを聞かない手が非常に鬱陶しい


「あ゛あ゛ぁああ!!!」
軋む身体が反響した。

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