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私は、相変わらず、立ち止まった間々だった。
もう、嫌なのだ、嫌なんだ――――!



「アレクセイ」
少年が、私を、小さな腕で抱きしめた。

「難しいかもしれない、辛いかもしれない
でも、アレクセイになら分かるんじゃないかな …“仲間”の大切さが
例え結果がどうであれ、シュヴァーンもそうだったはず
支えてくれたのはそれが“仲間”だったからじゃないかな」
は、と 顔を上げた。

「僕は待ってるよ、アレクセイがいつか気付いてくれるって」
無意識に、一つ、雫が床を湿らせた。

「……ッ!…う…」



そうだ、仲間が居たから
私もやっていけた

気付かなかったんだ、本当の意味に





「…ありがとう…」



「――――どう致しましてっ」






ようやくアレクセイも動けるようになり、仕事を上手くこなしていった。
「えっと、ジュディスとアレクセイは倉庫の方 頼んで良い?」
アレクセイは頷き、進んで行った。

「…貴方、どうしたの?」
後ろから問われ、アレクセイは振り返った。
「カロルと仲が良い感じに見えたわ」
「…少し、な 私も分かって来たような気がするのだ」

そうなの、と 彼女は荷物を引っ張り出していた。
「……じゃあ、私の事をはっきり呼んで欲しいわ」
「…え?」

どういうことだ問い掛ければそのままよ、と彼女は立ち上がった。
「貴方にもはっきりとあるでしょ
“アレクセイ・ディノイア”
それが貴方を示す、立派な名前」


「ジュ、ディス…か……?」
そう言えば彼女は、ジュディスは笑った。


「初めて呼んでくれたわね」
笑顔が目から、頭から離れなかった。






「名前、か……」
休憩中に、何度も繰り返した。

気恥ずかしさと、戸惑いから中々名前で呼べなかったが
名前を呼ぶ、それは一つだから

(レイヴン…)




そうか
名前は、存在なのだ

それが汚れていようが
私はそれで存在する


ぽっかり開いた穴が、静かに埋まった。
立ったのだ、私という私が




(なら、私のすることは)


精一杯に罪を償う事
例えそれが辛いものであろうが
私は立ち向かわなくてはならない

そして、流すのだ
私の愚かな計画で死した人へ


体が軋もうが 関係ない
私が必ずやらなければならないのだ

私の代わりなんて居ないのだから
私がやるのだ、私が 絶対に

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