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彼女は机に足を荒く乗せ、拳銃を私の額にぴったりと付けた。
「引き金を引いたらどうなると思う?」

しっかりと重いその拳銃には幾多もの命があった。
蘇って来るようで、悪夢だった。


『ワタシノイノチヲカエセ――――』


私は一度瞳を閉ざし、改めて彼女を見た。
それから彼女の手に自らの手を添えた。

「――――引いてみたら良かろう」

そう告げれば、彼女は拳銃を落とした。
ガシャン、と 重い音が鈍く広がった。

「……分かっておった、うちはもう、決別したのじゃ…」
息を一つ、呑んだようだ
「お前を…“仲間”とは……呼べん」

彼女の手を握り、込めた。

「呼ばなくて、良いです
私は貴方に恨まれても良い程のことをしました
ですから私は、それを背負う義務がある
貴方に殺されても、仕方ないと思っています」

彼女の眼には、光が無かった。
「…う゛、うぅ…ッ!」
光は、溢れ出るために存在した。

彼女は、崩れた。

「……………」
彼女を、抱き留めて謝ることしか出来なかった。

愚かな自分を何度も、何度も咎めた。



中々夜は寝付けなかった。
(…繰り返される……)
今のメンバーからの気持ちのこもった言葉に

(ダメだ、休みたい………)

ベッドに寝転がれば、それは深く沈んだ。
久々な個室で、窓に白く覗く大きな月
構わず手を挙げ、空を何度も掴む


(……今なら)


行けるだろうか





朝日が顔を出し、起き上がる
「―――……行きたい所があるのだが」
自由に行動は取れても監視はされているわけで
「……どこへ行きたいんだ?」
どうやらローウェル君が来てくれるらしい

「…トリム港に」
そう言うと、ローウェル君は眉を潜めた。
その様子を見ていたレイヴンは
「なら、俺も行きたいかな」
と、言い出した。
「うちも行くぞ」

「なら、皆で行った方が良いんじゃないかしら」
ジュディスがそう言い、皆賛成した。




始祖の隷長 その名はバウル
「さぁ、乗ってちょうだい」
ジュディスがそう言ったが

「――――……」

始祖の隷長を見て、立ち止まった。
遠くから、何度か見たことはあっても、こんな間近に見たことはなかった。
そしてまた、この始祖の隷長も私がどんな存在かは知っているはずで

「…ヴォオオ」

その始祖の隷長は唸った。
私を、読み取れない眼で見る。

(……、……見るな…っ)

靴が砂利と擦れた。

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