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何がカロルをここまで成長させたのか
「レイヴン、仲間だよ 仲間」
にっこりとカロルは笑い、部屋へと戻って行く
入れ代わりにパティがベランダに出る。
「……うちはまだ迷っとる」
「パティちゃん…」

それもそうだ
大切な、何もかもをアレクセイに壊された。

「うちはまだ、認められん」
「パティ、ちゃん…」

強く、深い蒼い瞳は、よく見えなかった。




それよりも、あの胸
アレクセイの心臓

考えられるのは一人
デューク・バンタレイ


なぜ、アレクセイを生き返らせたのか

生き返らせて悪かったのかとか
そういうことを言いたい訳じゃないが


生まれて、死んで
その循環を無視して生きる事は何より恐ろしく

酷く、孤独であるのだ


今のアレクセイの精神では支えきれない


とりあえず、彼が生きている事に感謝した。
何も考えずに、何も無かったかのように






深く、黒い沼から這い出し、顔を上げた。

「……、………!」

私に気付いたクリティアの娘が近付いて来た。
「待って、動かないで」

乾く身体がむず痒い
「これ、飲んで…」
疑問を投げ掛ければ彼女は軽く頷いた。
「治療薬よ」
独特な液体が喉を落下する。
飲み、コップを預けた。

(…あ……)

開かれた胸
心臓魔導器が、現れていた。

「…皆、見たのか……?」
彼女はゆっくりと頷いた。
そうか、と 呟くだけに終わった。


「………っ…」

覚えている
記憶の隅にはっきりと

「レイヴン…そうだ、レイヴンは…!」
怒りと衝撃を含んだ瞳が、繰り返される。

「落ち着いて、今はゆっくり休みましょ」

力のこもった指が、緩んだ。


「リタが貴方の魔導器を見てくれたわ
頭の怪我で記憶障害があるけれど、じきに治るそうよ」
「…感謝、する」

力が抜けて、ぽす と音が、手が落下する。



霞が掛かった緋には、誰も気付かない

探しても、聞いても、求めても

遠い、遠い 彼方のお話






翌朝、重い暗闇から目覚め、覚醒する。


「……誰、か…」


「誰、か……っ」



少年が、私に近寄って来た。
「どうしたの?」

澄んだ眼が、やけに苦しかった。
それでも、誰か、誰か、私を――――。


「アレクセイ…?」
ベッドから落ちるのも気にせず、少年にしがみついた。
「ど、どうしたの…っ?」
「………このままで…」


少年は承諾してくれた。

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